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トランスジェンダーかもしれないあなたへ ー自分と向き合う為のステップー

はじめに

自分がトランスジェンダーかもしれない。
その違和感を認める事は、非常に大きな勇気が必要になります。

この記事は私個人の経験を踏まえ、少しでも疑問や不安を抱える人の力になる事を目的としています。自分自身と向き合い、あなた自身の感情やジェンダーアイデンティティ(性自認)を理解し、受け入れるための方法を探しましょう。

この記事では、自分のジェンダーについて考える方法や自分がトランスジェンダーだった場合にサポートを得る方法、さらにどのような生活を目指すかについて説明します。また、メンタルヘルスを保つ方法や、今後のステップについても触れます。

あなたがこの記事を読んでいること自体が、最初のステップです。あなたがトランスジェンダーでなくても、違うとわかるのは大事なことです。自分の心の声に耳を傾け、自分自身を受け入れましょう。怖くても大丈夫。一歩ずつ足を踏み出してみましょう。

トランスジェンダーとは何か

まず、トランスジェンダーの定義を確かめましょう。トランスジェンダーとは、生まれたときの外見上の性別(出生時の性別)と、自分が内面で感じる性別(ジェンダーアイデンティティ・性自認)が一致しない人々を指します。これは、シスジェンダー(出生時の性別と性自認が一致する人々)とは対照的です。トランスジェンダーの人々は、男性、女性、あるいはノンバイナリー(男性でも女性でもない、またはその両方を含む)などのさまざまな性自認を持っています。

トランスジェンダーであること場合、人によって異なりますが、自分自身を理解し自分の内心に従って生きることが重要です。私の場合は男性として生まれましたが、常に違和感を持って、女性として生きる事を決めました。トランスジェンダーの人々は、自分のアイデンティティを受け入れ、さまざまな選択肢を検討することができます。これには、ホルモン療法や性別適合手術(SRS)、戸籍上の名前の変更などが含まれます。しかし、すべてのトランスジェンダーの人々がこれらの手段を求めるわけではありません。自分のアイデンティティを把握した上で、出世時の性別のまま生きるのも選択肢の一つです。

自分自身のアイデンティティと向き合う

自分に向き合うために

あなたが次のステップに進みトランスジェンダー外来などに通うと、改めて自分と向き合う為の課題が出てきます。2023年時点の日本では、学会のガイドラインとして定められています。ですが、トランスジェンダー外来に行くかどうか迷っている場合などに、まず自分と向き合う練習をしてみてはどうでしょうか。

自分に問いかける質問の例

以下のような質問を試してみましょう。これはガイドラインで使用されているものや、私自身が悩んでいる時に問いかけたものが入っています。

  1. 自分の性別についてどのように感じますか?

  2. どのような状況で、性別に関する不安や違和感を感じますか?

  3. もし制約がなく、自由な性別を選べるとしたらどのようにしますか?

  4. どの性別が自分にとって最も自然で快適に感じるか、その理由を考えてみましょう。

  5. 服装やヘアスタイル、化粧などを変えてみましょう。

  6. 自分の半生を振り返り、自分の物語を考えてください。

    1. ガイドラインでは、実際に時間をかけて自分史を紙に書き、それを提出するフェーズがあります。

面倒だと感じるかもしれません。ですが、これらの質問は性自認について考える手助けとなってくれるでしょう。大切なのは、自分に正直であり、自分の感情や経験を大事にして向き合うことです。人によってはこれらの質問は辛く感じるかもしれません。どうか焦らないで。

用語の説明

  • 性別適合手術 (Sex Reassignment Surgery, SRS): トランスジェンダーの人々が自分の身体を内面で感じる性別により適合させるために行う手術。性器切除、膣成形、乳房切除、乳房再建、子宮摘出、性器再建手術などが含まれます。

  • ホルモン療法 (Hormone Therapy): トランスジェンダーの人々が自分の身体を内面で感じる性別により適合させるために行う医療処置。性別に応じたホルモン(エストロゲンやテストステロン)を投与し、二次的性徴の発現を促進します。

  • 性自認(ジェンダーアイデンティティ): 個人が自分自身を男性、女性、両性、無性、または他のジェンダーとして認識する心のあり方を指します。性自認は、ジェンダーに関する自己認識や自己理解の一部であり、個人の心の中で形成されます。

  • トランスジェンダー外来: トランスジェンダーの人々がジェンダー適合治療や関連する医療サービスを受けることができる専門的な医療機関です。トランスジェンダー外来は、性自認に関する悩みや問題を持つ人々に対して、適切なケアやサポートを提供することを目的としています。

サポートを求める

自分をトランスジェンダーと認める時、人それぞれですが、困惑する人もいるでしょう。そんな時、周りのサポートを求めるのは大事です。私は、上手くサポートを得られずに大変苦しみました。なるべく良いサポートを得られるように準備しましょう。
性自認について家族や友人と対話する際には、以下のポイントに注意して、効果的なコミュニケーションを心がけましょう。

また、サポートを得たいからと言ってむやみに多くの人に話す必要はありません。話す、話さないは悩んでいる人の数だけ答えがあります。

家族や友人との対話の仕方

  1. 準備と計画

    • まずは自分自身の感情や考えを整理し、何を伝えたいか明確にしておくことが重要です。

    • 対話の目的や期待を明確にし、話す相手を選ぶ際には、慎重に考慮してください。

    • 現在の日本では残念ながら、話された相手が驚く事があります。また、少し前の日本では差別や偏見が多く、そこから知識をアップデートしていない方もいます。相手がトランスジェンダーに対してネガティブなイメージがあるのか、ある場合はより慎重に準備をしましょう。

  2. 適切なタイミングと場所の選択

    • 家族や友人との対話には適切なタイミングと場所が大切です。プライベートで静かな環境を選び、相手が十分な時間と精神的余裕を持っていることを確認しましょう。

  3. 簡潔で明確なメッセージ

    • 自分の性自認やこれまでの経験について、簡潔で明確な言葉で説明しましょう。

    • 用語や概念については、相手が理解できるレベルで説明することが重要です。

    • そのためにも、トランスジェンダーの事について学ぶのは意義があるでしょう。

  4. 感情の共有

    • 自分の感情を正直に伝えることで、相手に理解や共感を求めることができます。

    • 「私は不安に感じている」「あなたのサポートが必要だ」といった具体的な感情表現を使いましょう。

  5. 相手の意見や感情を尊重する

    • 対話中は、相手の意見や感情を尊重し、耳を傾けることが大切です。

    • 相手が自分の経験やアイデンティティについて理解し、受け入れるまでには時間がかかることがあります。その過程を尊重しましょう。

    • 相手があなたのアイデンティティが理解できなかったとしても、あなた自身が否定されている訳ではありません。

  6. 質問に答える用意

    • 相手から質問があるかもしれません。事前に答えを準備しておきましょう。

    • 必要に応じて、情報や説明資料を渡し、相手の理解を助けてあげましょう。

  7. サポートを求める

    • 対話の中で、具体的なサポートや助けを求めましょう。話している間に色々な答えが見えてくる事もあります。

信頼できる専門家やカウンセラーを見つける方法

ジェンダーアイデンティティに関する悩みや問題に対して、適切なサポートを受けるため信頼できる専門家やカウンセラーを見つけることも重要です。残念ながら、ジェンダーアイデンティティの不安に付け込んで法外な報酬を要求するところもありました。以下の方法を参考にして、自分に適した相談相手を探しましょう。

  1. 口コミや推薦

    • インターネットなどで、自分の通える範囲にあるトランスジェンダー外来やカウンセラーを探してみましょう。私はトランスジェンダー外来にとてもお世話になりました。信頼できる先生を見つける必要がありますが、出来た場合は色々な助言をしてくれるでしょう。

  2. カウンセリング機関

    • 地元のカウンセリング機関や精神保健センターで、ジェンダーに関する専門知識を持つカウンセラーや相談相手を探す事ができます。

  3. 電話相談やオンラインカウンセリングサービス

    • 電話相談やオンラインカウンセリングサービスを利用して、遠隔地にいる専門家やカウンセラーと相談する事ができます。直接顔を合わせる事がなく、電話だけで相談できる所もあるので、利用しやすい場合もあるかもしれません。

  4. 評判やレビューの確認

    • レビューや評判をチェックし、他のユーザーの意見や経験を参考にして、自分に適した専門家やカウンセラーを選びましょう。


自分に合ったジェンダー表現とは

ジェンダー表現(男らしさ・女らしさ等)は個人のアイデンティティや自己認識を表す重要な要素です。あなたが生きやすく生活を送る上でも、自分に合ったジェンダー表現を見つけるのが重要です。

内省と自己理解

自分の感情や考えを整理し、ジェンダーに対する自己認識を深めることが大切です。どのようなジェンダー表現が自分にとって心地よく、自然に感じるかを探求しましょう。

ここでは特に「自然に感じるか」を重要視しましょう。私自身そうだったのですが、望む性を演じる時に憧れが強すぎて、過度なジェンダー表現を好んでしまう事があります。特別な日ではなく、普段の一日を生きやすく過ごせる表現をみつけましょう。

ロールモデルを探す

ジェンダー表現を認識するために、異なるジェンダー表現を持つロールモデルを見つけると参考になるかもしれません。どうやったら生きやすいか、その参考になる人が見つかれば参考になるでしょう。

生きやすいスタイルを探す

さまざまなファッション、ヘアスタイル、アクセサリー、メイクアップなどを試し、自分がどのようなスタイルをすると生きやすいかを探求しましょう。自分にとって最も適したジェンダー表現を見つけるためには、実際に試してみることが重要です。

ロールモデルが見つかった場合、それに寄り添うスタイルを考えてみてもいいですね。

オンラインコミュニティと情報収集

インターネット上のジェンダーに関するフォーラムやソーシャルメディアグループに参加し、他の人たちと情報交換を行いましょう。その人たちの経験やアドバイスを参考にして、自分に適したジェンダー表現を見つけることができます。

焦らないで

自分に合ったジェンダー表現を見つけることは、一度にできることではありません。時間をかけて自分を探求し、自分の一番しっくりくるものを探すのが大事です。トランスジェンダーでなくても、自分に合うスタイルを探すのは時間がかかるものです。

メンタルヘルスとの付き合い方

トランスジェンダーかもしれない。そう思うと今までの価値観が揺らぎ、精神的に不安定になる人が多いです。また、自分がトランスジェンダーだと認識した後も、社会との折り合いでメンタルを崩す場合もあります。ここでは、できるだけメンタルヘルスを上手に保つ方法を紹介します。

ジェンダーに関する情報収集

ジェンダーの多様性やトランスジェンダーに関する情報を学ぶことで、自分自身を理解し、自分の状況に対処する力を身につけることができます。

セルフケアとリラクセーション

自分にやさしい時間を作ることが大切です。趣味やリラクセーション活動に時間を割くことで、ストレスを軽減することができます。また、精神的に落ち込んだ時に自分の時間を大事にする事で立ち直れる事もあるでしょう。

アイデンティティの肯定

自分のジェンダーアイデンティティを肯定しましょう。自分を大切にする事が大事です。あなたの心は誰にも否定されてはいけません。

心無い言葉への対処法

トランスジェンダーの人たちが心無い言葉などに直面することがあります。そのような状況でも、傷つき過ぎず落ち込まない事が大事です。

その次のステップ

あなたが、自分自身と向き合い自分がトランスジェンダーであると思った場合、その後にどう行動するのかを考えましょう。もちろん、自分がトランスジェンダーである事認識した上で、それを心に秘めて今まで通りの生活を送るのも一つの決断です。自分の身体の性別を心の性自認に寄せていくのも決断です。どういう決断にせよ、それを大事にしましょう。

ここから先は、あなたが身体の性別を心の性自認に寄せていく場合の話をします。全てを書いてもただ混乱するだけなので、大枠として記載します。どういうものがあるのか、俯瞰しておきましょう。

ジェンダー適合手術やホルモン療法について

ジェンダー適合手術やホルモン療法を検討している場合は、専門家とよく相談しましょう。トランスジェンダー外来やトランスジェンダーフレンドリーな精神科ではそのような相談を受け付けてくれています。

名前や性別の変更について

名前の変更と性別の変更で、それぞれアプローチが異なります。名前の変更の場合は通名として性自認に沿った名前を使い、それを一定期間使っているという情報が必要となります。性別の変更の場合は2023年現在では性別適合手術(SRS)が必要となります。現在この要件はちょうど法廷で争われているので変わるかもしれません。

これらのステップを踏むことで、自分のアイデンティティを肯定し、社会的・法的な権利を得ることができます。自分自身を大切にし、必要な情報やサポートを求めてより良い生活を送ってください。

最後に

この記事を見ると、当たり前の事が書いてあると思うかもしれません。トランスジェンダーだからと言って特別な何かがあるわけではなく、普段の生活の延長戦にあるものなのです。あなた自身から不安や混乱を少しでも取り除けることを願っています。

この記事では触れきれなかった内容がたくさんあります。実際のステップではもう少し細かい計画を立てて進んでいく必要があるでしょう。私も出来るだけの事は記事にして残そうと思います。私が性別移行するにあたって苦しんだ道は、他の人が少しでも楽に通れれば何よりうれしいです。

もし、特に困った事や聞きたい事があればTwitterなどでお知らせください。できるだけその辺りを加味してお届けしようと思います。

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