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Design Festaという存在

サブカルの立ち位置の変化の中で
デザフェスがくれたチャンス

Design Festaに行き始めたのが正確にどの回からなのか、正直なところ覚えていませんが「一般人が出店し展示販売できる二次創作禁止のマーケット」というコンセプトに新規性を感じ、通い始めたのが恐らく2000年の頃だったように思います。記憶にるのは、Vol.19〜21あたりでしょうか。

当時私は「原宿発進でデザインフェスタギャラリーが盛り上がって、デザフェスに発展した」と聞いていましたが、運営さんの説明だとどうやらデザインフェスタが先で、デザインフェスタギャラリーが後のようですね…

なんにせよ。コミケが同人誌即売会で日本最大で二次創作やコスプレなどのカルチャーを生み出す大きな立役者となったのに対し、版権ものは一切禁止、オリジナルならなんでもアリという”自己表現の場”として日本最大規模のイベントとなり、このイベントそのものがカルチャーになったという感覚があります。雰囲気を聞かれた時に私が答えるのは、「一般人で開催される文化祭みたいな感じ。ちょっと美大のノリが強い」と答えています。

1980年台のサブカルブームはとても大きく、アングラで静かに楽しむだけだった(比喩です)サブカルチャーが日の光を浴びるようになり、1990〜2000年初期にはさらに爆発的に身近なものとして広まり、カルチャーとして市民権を得るようになり、音楽も、絵も、モノづくりのどのジャンルでも、素人でも発進することができて、販売する権利を得て、メジャーになるチャンスを掴める機会が増るという流れが生まれた面白い時期でした。
メジャーになった瞬間「ああ結局あの人もそこに行きたかったのか」とがっかりする人が生まれるほどに…この感情的反応はビジュアル系が最も多かったように思いますが(笑)

デザフェスの出展アーティストさんは出展回数を重ねていくうちに、個展を開くようになったり、あるいはバイヤーさんや様々な取引先を手に入れて、このイベントを「もう卒業」と宣言する流れも生まれました。

デザフェスは、創作アーティストのプレゼンの場として多大なチャンスを与えてくれる場所でもあるのだとそこから理解しました。

海外からの注目

コミケとデザフェスは、それぞれが立役者として文化の変わり目に楔を打ち込んだことは間違いないと思います。コミケは、アニメ・コミック業界に。デザフェスは、音楽は残念ながら入りませんが様々な創作アーティスト業界に。そして、日本のサブカルチャーと共に、どちらもあっという間に日本を超えて海外の方に愛される場になっているのも当時とても嬉しく感じました。

観光地の一つとして紹介されたり、実際日本を旅行しにきた日本文化が大好きな海外の方達が来場して楽しそうに回っているのを見るのは思わず顔が綻びました。それだけでなく、Vol.20の後半あたりからは海外の方の出店も目に見えて増えてきていて、使用スペースは変わらずとも、来場者や出展者の範囲がどんどんと広まるのを実感しましたし、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどの方が日本語に苦戦しながらも笑顔で迎えてくれる機会が増えた様子も懐かしく思えます。

昨今では、海外観光客がいないため随分会場が寂しく感じられますが、その状況が変わるのもきっとそれほど時間はかからないと信じています。

主催とイベントの成長速度のギャップ

正直なところ、開催初期から運営さんがイベントの成長速度に追いついていないのではないかと思うことが多々ありました。

急成長していく中で致し方ないなと思うこともありますが、何年たっても変わらない部分もあり、SNSの発達が目まぐるしくなってからは所謂”炎上”も見受けられ、イベントの素晴らしさとのギャップを感じます。

運営さん+ボランティアで開催されていている当日だけでも、ボランティアさんが状況把握をしきれずに、誘導ができていないことも多々。困ったことがあって相談しても「わからない」と答えられることがほぼ、答えてくれることがあっても、たらい回しにならないことがなく、自らも学んで”運営事務局”に直接足を運ぶようになっても結局解決しないので、なにが起こっても自力で解決しなければならない場所だと理解するようになりました。

また、出展者さん側から聞こえてくる声は出展アーティストさんにとっては大きな問題が多く、こと運送会社との件については何年たっても耐えませんし、ブース間でのトラブルを聞くことも珍しくはありません。(勿論、出展アーティストさんに全く非がないわけではない事案もあるはずですが)

人がたくさん集まるだけでもトラブルは回避できませんし、尚且つここは自己表現を許された場。自己表現の場を求めているアーティスト同士ともなれば、発言の力もあるでしょうから…推して知るべき事象といえるでしょう。

当日の主催指揮系統は期待しない方が大吉

辛口になって申し訳ないのですが、このイベント規模と運営能力のギャップは、今も変わらず感じます。

あっちではOKだったことが、こちらではNGと言われる。というのは本当に珍しくなく、昨今のコロナ対策はものの見事に悲惨な結果になることが多く、再入場手続などでこのパターンがありました。

実際のところ、ボランティアの手で助けられているイベントで、当日の運営が完璧に成功している場所は…正直見たことがありません。”ハンドメイドイベント”は特に。

これはボランティアが悪いのではなく、指示系統を見直すべきであることは明確です。回を重ねているにもかかわらず、スタッフが何かしらマニュアルを持っているところを見たことがありませんし、運営本部スタッフですら情報が錯綜しているのを見るに、開催するのに手一杯なのか、または改善する気がないのでしょう。

これについてはデザフェスだけのことではないので、これ以上ここで語るのは控えます。実際に自分が体験したことを都度記載していきたいとおもいます。

クオリティはピンキリ、個性派レベルはハイレベル。

デザフェスの素晴らしさは、アーティストとの出会いの場だということです。

クオリティだけで語れば、デザフェス全体のクオリティはピンキリです。
他のイベントと比べた時に少し低く感じるところがあります。けれど、ハイレベルのアーティストのレベルの高さが桁違いなので、他の平均値の高いイベントだけに絞る理由にはなりません。

何年も必ずみかけるアーティストさんも多く、また、個性あふれる独特な世界観を表現しているアーティストさんを発掘するという楽しみ方もできるので、個性派と楽しさのレベルは、ハイレベルでトップだと思っています。

アートは、個人の趣向で批評が分かれるものです。
「アートとは」と思うことも多々ありますが、それがその人の個性なのだと思えばあまりの個性の数々に圧倒されます。パロディ作品は存在しますが、二次創作が許されていない場だからこそ、来場者も求めていないので二番煎じが通用しないといっても過言ではありません。

面白くないと感じた”低迷期”

回を追うごとに、いろんな人が出店してみたいと思えるようになった弊害と認識しているのですが、新規性のあるアーティストが人気になりファンが増えると、数回後にはその作品とよく似た傾向のブースが増えるというのは私にとってつまらないなと感じる部分でした。この流れ事態が面白くないですし、所謂「あなたのっかったんですね」と感じるアーティストさんの個性派レベルは正直高くないのです。どうせなら超えてくるかオリジナリティを入れてきてくれれば面白いのですが、それを感じられなかったから私は面白くなったわけです。

私が「デザフェス低迷期」と呼んでいる時期は、その頃から始まります。
(完全に私個人の主観なので、事実がどうかは、正直関係ないのです。)

2010年代のとあるタイミング…おおよそデザフェスが10周年を迎えたあたりから、先ほどの”よく似た傾向の作品を展開するブースが増える”流れと、ハイレベル・人気のアーティストさんが卒業していく時期が重なったのか、ガクンと「クオリティ低くなった。面白さがなくなった」と感じて満足感を得られない回が続いた時期がありました。

恐らくこれは長年デザフェスで活動されていったアーティストさんがみなさん何かしらを理由に卒業なさったりしたのが理由だと思うのですが…。

実際、卒業されたアーティストさんの情報を追いかけているとほとんどの方がご自身のアトリエや工房を持たれたり、オンラインショップの普及で顧客とのやりとりがオンラインショップや個展販売会で完結できるようになっていました。

そして、その頃からデザフェス出店は申し込めば誰でも出れる状況からじわじわと「抽選式」となりキャンセル待ちを望む人が存在する状況でしたから、審査もなく出店できたデザフェスがさらに1つ大きくなったタイミングとも取れます。

正直に言わせていただければ、デザフェスの出店費用はとても高額です。
毎回出店するコストを考えると個人の範囲で完結できるほどの顧客を捕まえたアーティストさんたちが卒業されていくのは、当然の流れでもあると思うのです。そうなれば出展者のサイクルがあるのも道理。

そして、デザフェスが人気になった頃以上に自分でモノづくりをする人が増えてきたからこそ、さらにクオリティの幅が広がり抽選に通る人が必ずしもハイレベルとは限らない…そういう色々な状況が重なって、私の呼ぶ低迷期になったのではないかと思っています。

その低迷期もある程度回を重ねていくと復活を遂げます。

デザフェスの来場客も、通えば通うのど、ある程度目が肥えていくと思います。クオリティや個性がなければ、売上が上がらず出展を続けない方もいるだろうと思います。(完全に私の妄想です)

そうやってサイクルが回った結果(と信じている)低迷期は、見事終了しました。神様、ありがとうございます。

広すぎる会場へのイライラ

デザフェスは、ある意味文化祭ではなく戦場ともいえます。
西棟の2フロアを1日でしっかりじっくり見ることが不可能なのです。
最後のほうは、時間との勝負なので早歩きです。一人一人のアーティストさんをリスペクトしてじっくり拝見させていただきたいのに時間がそれを許さない。2日通ったとしても、両日出展アーティストならいいですが、1日出展アーティストさんは見逃してしまう…これは結構残念だなと思います。

にもかかわらず。

前回のデザフェスから、使用会場が、西棟だけでなく南棟も増えました。
単純計算で、今までの2倍のエリアです。回りきれないのに、2倍です。もう絶対無理です。

勿論、申し込みが増え抽選形式になったのですから、主催さん側がブース数を増やして対処しようとするのは、ビジネスとしても、コンセプトとしても、然るべき対処なのだとおもいます。理解もできます、その流れは。

でも、2倍って…3日あっても足りないということではありませんか…

4フロアになって初めての前回は、同じことを考える方はやはり多かったようで、会場マップをボードに挟んでペンを持ち、ブース番号を見て回っている方が多々見受けられました。

みなさん時間との勝負に頭脳戦で対抗してきたわけですね。
まずは絶対見たいブースを確実に見ることを優先してきていらっしゃる…

そして案の定、閉場時間が近づいてくるにつれ周りから「回りきれないよ…」「もう諦めて帰ろうか」なんて声が聞こえてくるのは切なかったです。

それでもまた行きたいと思える素晴らしい出会いの場

デザフェスの魅力というのはこういうイライラする部分があってもなお、いきたいと思わせる個性溢れるアーティストに出会える場所だということだと思います。

ジャンルの多さ、アーティストの多さは勿論なんですが、出展者も来場者も楽しんでいるのが肌でわかるんですね。

自分では想像もつかない世界観でアートを生み出す人。
原宿発進ならでわのジャンルのファッションアーティストがいること。
流行をしっかり抑えておきながら、斜め上からオリジナリティを入れ込んでくるアーティストがいること。

多少オシャレをしたところで、しっかり個性的な人に埋もれて全く目立たないこと(笑)

他にも挙げ切れないほどの他のイベントにはない魅力があります。
まだ未体験の方は是非、一度足を運んでみるとよいと思います。

次回開催もすでに決まっています。楽しみですね。

地方にお住まいの方で愛知県在住または周辺の方は、個人的な感覚として名古屋の「クリエイターズマーケット」は、デザフェスをコンパクトにしたような感覚がありますので是非そちらで一度楽しんでみられるのもよいかもしれません。


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