おすそわけ日記 35「私を見てと咲く」

ケーキと花を買う。とても幸せな組み合わせだ。ショートケーキとピンクのラナンキュラス一輪。

電車の中で座っていたら、丁度、顔の前にラナンキュラスの花が近づいて、よい香りがする。目を閉じて、香りの中に漂っていたら、母と二人で薔薇の鉢植えをいくつも買って帰った日のことを思い出した。

あの時、隣に座った年配のご婦人が話しかけてきて、私のことを「綺麗なお嬢さんですね。」と褒めてくれたのだ。嬉しくて吃驚したのを覚えている。子供の頃からずっと「お母さん、綺麗ね。」と言われ続けて来たから。

私は、自分の容姿に自信がなく、母にその美しさを預けて生きてきた。五年前にAFP(Art of Feminine Presence™️)に出会って、美しくていいと自分に許可を出せるようになり、自分の一部を認めないことは自分の持つ力を削いでいることだと気づいた。

家に帰って、Amazon Primeで「ボールルームへ、ようこそ」というアニメを見る。やりたいことが見つからない中学三年生の男の子が社交ダンスに出会い、競技大会に出場する夢に向かって突き進むようになる物語。

主人公が社交ダンスに目覚めたきっかけが、競技ダンスのDVDを見た時に、全てのダンサーから「俺を見ろ!」と云う想いが伝わって来たからなのだが、そのシーンを見て、ハッとした。

「私より母の方が美しいですから。」なんて、自分を脇に置いておいたら、誰も私を見てはくれない。他の人に自分の力を預けて自分を認めないでいるのは、自ら脇役を選んでいると云うこと。

私の人生の主役は私だから。言い切るのは、責任を持つのは怖いけれど。変えようがない、大切な真実。

私を見てと、花は咲く。私を見てと、咲き誇れ、私。

毎日、書く歓びを感じていたい、書き続ける自分を信じていたいと願っています。