かつての感覚に浸る
かつてお気に入りだった場所、ルーティーン、よく聞いていた曲、つけていた香水などを今に取り入れて当時の感覚を呼び起こすと、穏やかな胸の疼きとときめきでいっぱいになり、それがとてつもなく幸福である。
私は長期休暇で実家(大阪)に帰省するとき、必ず一人で過ごす時間をつくる。そして、大学時代お気に入りだった場所を歩き尽くす。(BGMはアリアナ・グランデ中心の自作プレイリストか、倖田來未のsomedayをリピートかというこだわり。)
御堂筋線本町駅3番出口で降りて、淀屋橋側に向かって御堂筋を歩く。
備後町、今はもうない当時お気に入りだったカフェの跡地を気にしながら平野町、
odonaに寄るか寄らないか悩みながら淀屋橋、
土佐堀川が見えてきて肥後橋側に向かって歩き、
行くたび写真を撮ってしまうほどのお気に入りの建築堂島リバーフォーラム、
堂島アバンザのジュンク堂に行きたいけどそういや欲しい本あったっけと通り過ぎ、大阪駅ビルのファミマを探しながら西梅田。
西梅田が折り返し地点で、せっかくだからと梅田を満喫した後は同じ道を帰っていくが、本町の交差点まで戻ってきたら、本町通りを曲がり当時のアルバイト先へと寄る。そして帰りは7番出口から。
…なんてつまらないルートなのだろうか。
実は、当初私は場所そのものに魅力があると思っていた。だからそれを誰かに共有したくて、行き先として提案したり実際に連れて行ったりするものの、みんな反応は微妙だった。
あぁ、これは私の記憶ありきで成り立っている魅力なのだなとわかった。だから他人には到底理解しがたいものなのだなと。まるで宝石の原石を手にした気分。
言葉にしてみることで、この感覚の愛おしさがより一層増した気がする。
ちなみに、一人暮らしの自宅で湯船を使ったことは一度もなかったのだが、この年末年始がなんだか愛おしくて、実家と同じ入浴剤を買って4年越しに湯船を使ってみた。
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