鍾乳洞はいいぞ!三部作編。
旅先でふと行きたくなる鍾乳洞の魅力について、お話しします。
鍾乳洞とは、石灰岩地層を雨水や地下水が侵食することで生じた洞窟。
現代では観光地化されているため誰でも楽しめますが、日常生活で進入できる洞窟というのがかなりレアですので、いつ行っても想い出深い経験になります。
そしてその周辺を彩るカルスト地形たち、すなわちドリーネ、ポリエ、カッレンフェルトなど…
自然の妙と雄大な歴史を感じられるのはもちろんのこと、洞窟とは打って変わって、地上での人間の営みとの関わりも垣間見えることもあり、面白い。
石灰は文明の発展に必須ですからね!
というわけで今回は、昨年8月頃から今年の6月頃まで、空前の鍾乳洞巡りマイブームであったため、その時の想い出をざっと振り返っていきたいと思います。
日本全国大小さまざまな鍾乳洞があり、旅先でなんとなく訪問してみると、普段は味わえないような冒険気分を味わうことができ、実は面白い。
また、観光地化しているとはいえかつての威光、それを偲ばせるような廃墟たちとも屡々遭遇でき、鍾乳洞の魅力を引き立ててくれます。
そんな劇エモ鍾乳洞たちから、今回は選りすぐりの3つをご紹介!
石灰岩にありがたみを感じつつ、進んでいきましょうね!
その1:日本最古だ!幽玄洞編
おはようございます。
ここは岩手県一関市の大船渡線猊鼻渓駅。
峡谷の観光遊覧船で有名な、一関市の知られざる人気スポットですね。
そんなローカル駅からしばらく歩いた川沿いにあるのが、ひとつめの目的地である幽玄洞。
こちら幽玄洞は、古生代石炭紀後期・3憶5000万年前に形成された石灰岩層をお散歩できる鍾乳洞。
ふつうの鍾乳洞では、岩石表面が流れ石という皮膜のようなもので覆われるものの、この鍾乳洞では流れ石に覆われる前に土砂が堆積したために、ナマの地層の模様が浮き出ていることが特徴。
メロンの皮みたいなスベスベ石灰岩が卓越しており、なかなかに新鮮な感覚です。
しばらく進んでいると、鍾乳洞が如何にして形成されるのかが再認識させられる光景が。
鍾乳洞を構成する石灰岩とは、かつて海中で生まれた刺胞動物たちの遺骸が堆積したもの。
すなわち、数億年前はここはまさに海の底であったわけで。
微妙に色の違う砂岩たちは堆積した年代の違いを、そして傾いている地層は複雑な地殻変動の経験を物語っているのです。
波の浸食でできたノッチがそのまま残っていたり、そこにパックリと開いているクレバスだったり…
ほんとうに長い長い地球史を経て、我々の目の前に現れているのだなぁと、改めて、そしていつも以上に実感できる鍾乳洞でございました。
壁面に化石が露出している鍾乳洞も初見で良かった(小並感)
日本最古クラスの鍾乳洞である幽玄洞、鍾乳洞の幽玄な歴史を体感するにはオススメの物件です!
とはいえ、私以外のお客さんが一人もいないように見えるんスけど…
いいんスかこれ
・・・もっと流行れ!!!
その2:初心者にオススメ!龍河洞編
続いてやって来ましたのは高知県香美市。
「マレーの虎」こと山下奉文閣下、アンパンマンの作者であるやなせたかし氏の故郷として有名ですね。
さて土讃線土佐山田駅で下車、バスでしばらく揺られてやって来ましたのは龍河洞。
外目で見てもよくよくわかる、石灰岩の白い岩肌が鍾乳洞へのワクワク感を誘ってくれます。
いざ入洞。
それなりに名の知れた鍾乳洞ですし、只管に感動しながら徒然と歩けばよいだろうと思っていましたが、如何せん歩きにくい!
クッソ狭い岩の間を抜けたり、天井が低すぎて屈んだり…
まさに冒険体験といった行程です。
観光コースは1㎞ほどとのことですが、アトラクション感が強すぎて実際にはそれ以上に長かったような気もします…
これで観光コースを名乗るとか各方面に失礼だよね
落ち着いたところで岩肌チェック。
石灰岩らしいヌメヌメの白い肌とサンゴの殻がはっきりと見える岩、そして偶に現れる砂岩質の地層。
いい鍾乳洞だなぁ…
足元の水たまりに視線を落としてみると、透き通った甲殻類が泳いでいるのを観察できました。
洞窟内に蝙蝠がいても、鳴き声だけで姿まで見えることは珍しいのですが…
こんなにも小さな洞窟性生物と出会えるのはお得だ!
初心者にお勧めの鍾乳洞は龍河洞!!!
出口付近には弥生時代の遺跡と鍾乳石と同化しつつある弥生土器があり、これも見物です。
ダイナミックな洞窟散歩を、安全かつ学術ロマンをもって体験できる龍河洞、ぜひご体感あれ!
そんな龍河洞、一般観光ルートも満足感の高いものでありましたが、これとは別に、ヘルメット・長靴着用の冒険ルートなるものがあります。
自称鍾乳洞マニアとしては入洞必須級の代物ですが、今回は断念。
バスの時間の都合も、ありますからね!
高知…高知に行って再走しなければ…!
その3:これこそ洞窟だな!橋立鍾乳洞編
最後に紹介するのは、関東石灰岩の聖地として有名な秩父。
埼玉県最高峰・武甲山は石灰岩からなる山で、ヤマトタケル伝説もある古くからの信仰の対象。
…なのですが、現代工業化社会にとって必需品である石灰岩が、東京湾の近くで産出されてしまったのが運の尽き。
今日も今日とで粉々にされ続けているその異様な山体は、否が応でも記憶の中に閉じ込められてしまいます。
さて、降り立ったのは秩父鉄道浦山口駅。
天気の良い朝方ですがここは武甲山登山の裏口ルート、少々寂しげで暗い感じもします。
お邪魔しますのは橋立鍾乳洞…
なのですが、チケット購入時に気になる文言が。
「撮影禁止」らしい。
まァ、できないならそれはそれでですが…
何故撮影不可なのか聞いてみたところ、かつて、撮影に夢中だった観光客が転倒して大怪我したからとのこと。
十分に注意しながらであれば撮影OKであると許可をいただいたので、十分に注意しつつ、撮影させていただきました。
う あ あ あ あ あ あ(PC書き文字)
実際危険ですねぇ、これは…
階段が急すぎる!その階段が水でヌメヌメだ!
もちろん道も狭いし天井も低いぞ!!
写真撮影に集中しているとマジで滑って死にますね…
あまり規模の大きくない隠れ家的な鍾乳洞であるだけに、滑って大ケガしても誰にも発見されなそう(恐怖)
悍ましい緊張感に支配されつつ、この穏やかな鍾乳洞を楽しみましょうね!
結局、私以外は誰もお客さんが来ないまま、独り占めの個性的鍾乳洞を味わうことができました。
上二枚の写真は出口付近です。マジで狭いし危ないですね…
とはいえ、あの武甲山の石灰岩の大迫力を、改めて鍾乳洞という形で知ることができるというのはステキ。
東京からもアクセス抜群の秩父にある鍾乳洞、オススメです!
おわりに
以上、鍾乳洞の想い出を振り返りつつ、簡単に紹介させていただきました。
やはり良いですねぇ、鍾乳洞。
唯一無二に近い洞窟体験のワクワク感、地質学的な巨大ロマンを同時に満たすことができるというは、やはり良い。
個人的マイブームの中に、水族館やら登山やら廃線巡りやら何かと経験したわけですが…
子ども心を擽られるワクワク感は、鍾乳洞に勝るものはないでしょう。
とはいえ、私の場合は基本公共交通機関でのアクセスになるので、山奥には訪問できていない有名鍾乳洞も、いまだ全国に多くあります。
最近、ようやくレンタカー旅行を解禁し楽しみ始めるようになったので…
近いうちに、これらも攻略していきたいですね!
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