日本いい橋探訪その4:橋は強く、美しい。吊橋と斜張橋編。
美しくも機能的でロマンを感じる橋たちの魅力について、お話します。
こちらもお久しぶりとなりました、日本全国の橋の名称をなんとなく覚えて感性を高めていくシリーズ。
移り変わるマイブームの中、いまでも橋を見るのは好き。
本ブログではトラス橋、アーチ橋、潜水橋と続きまして、今回は機能美溢れるふたつの橋たちを取り扱います!
すなわち、吊橋と斜張橋。
いつもより覚えることは少ないので、思い出に浸りつつ、橋を愛でていきましょう!
吊橋:大は小を兼ねません
それでは、まずは吊橋からご紹介。
その名の通り、桁を吊り下げて支える(=張力構造)橋であって、構造自体はシンプルなもの。
塔からぶら下がるメインケーブルが滑らかな弧を描き、そこから桁へ鉛直方向にハンガーケーブルが伸び、荷重を分散します。
古典的で小ぶりな可愛らしいものから、海峡を跨ぐ巨大なものまで、バリエーション豊かな個性的な面々が集まります。
こちらは旧甲州街道沿いにある長垣の吊橋。
日川が創造した峡谷を渡る、いにしえの橋梁です。
現在でも国道20号・高速自動車国道E20が並行するこの土地ですが、いまは廃れたこの橋も、かつては向かいの集落への生活道路であったと…
噛み締めるロマンを感じる、これがミニマム吊橋の魅力ですね。
サルにとっては現役道路のようでしたらね!
打って変わってこちらは、愛媛県今治市にある来島海峡大橋。
しまなみ海道はこの三連続長大吊橋で支径間をアホ程稼いどったんや
その全長・・・4105m
しまなみ海道サイクリング始まりの地であり、そのド迫力とワクワク感がたまらない橋梁です。
トラス橋回でもお話した通り、長大な吊橋の場合、桁の強度と橋全体の安定性を高めるために、桁をトラス構造で組んで剛性を高めることもあります。
かっこいいし、かわいいですね!
斜張橋:放射型、ファン型、ハープ型
さて次は斜張橋です。
鉛直方向に延びる塔から桁に向かって斜めにケーブル(斜材)を張り、直接支える構造の橋梁です。
(すなわち、広義には吊橋に含まれるともいえます)
塔のどこからケーブルが張られているかによって名称が変わりまして、放射型、ファン型、ハープ型があります。
順に見ていきましょう!
まずは放射型。
塔の先端一点からケーブルが伸びる斜張橋で、その形状から小型の橋梁に多い印象。
尾道大橋がこれに該当するのですが、実物を遠景からしか眺めたことしかなくいいかんじの写真がありませんでした…
(港の向こうのふたつの橋、その奥側です)
ファン型ではケーブルをややずらし、塔の上部から順に張っていく型式になります。
体感としては、斜張橋のほとんどがファン型である印象。
こちら多々羅大橋は愛媛県今治市・広島県尾道市の中間に位置する橋梁であり、その長さは斜張橋として日本最長。
しまなみ海道サイクリングのロマンと合わせて、あまりにも印象に残りすぎるステキな橋梁であります。
こちらたっぷ大橋は、北海道岩見沢市・石狩郡新篠津村を跨ぎ石狩川を横断するファン型斜張橋。
いざ歩いてみると石狩川の雄大さを改めて実感でき、この橋自身の巨大さも相俟って、カムイの宿りを実感できるような豪快さがあります。
どんよりとした天気と、延々に続くかの如く雄大すぎる石狩川がはたまた逆説的に、この橋を巨大なものに見せかけます。
こちらは東京都中央区にある中央大橋で、隅田川を渡り石川島へと向かうマチナカ斜張橋。
周辺の昭和然としたアーチ橋・トラス橋とは異なり都市景観に合った洗練されたデザインで、道自体が屈曲していることも特徴的です。
日本の水準原点を生んだ霊岸島水位観測所が位置していた地であり、歴史的にみてもロマンを感じれられますね。
おまんこぉ^~(気さくな干潟)
こちらは沖縄県豊見城市にあるとよみ大橋。
漫湖(まんこ)湿地帯を跨ぐそこそこのサイズの橋梁で、都市の景観に自然の薫りがするマングローブの景観がいい塩梅に合わさっている、なかなかに良い場所です。
橋付近には潮吹くクジラ像もありますので、こちらも要チェックだぞ!!!
ハープ型では塔からケーブルが出る位置をよりずらし、ケーブル同士がほぼ平行となり、バランスの良い美しい感じの見た目になります。
⚠️写真は全くありません!⚠️
旅行中にハープ型だと思って撮っていた橋梁が、帰宅後精査すると全てファン型でした。
(先の写真の、新尾道大橋がハープ型だと思いますが…)
再送案件ですね!!!ハープ型の目撃情報、募集中です。
おまけ:エクストラドーズド橋
斜張橋としばしば混同されるのがエクストラドーズド橋。
一見して結構似ているのですが、斜張橋よりは主塔が低く、支間が短い場合が多い。
構造としては、橋梁全体の剛性を斜材と主桁の剛性でもって確保するため、PC(=Prestressed Concrete)桁を斜材でもって支えて強化しているようなイメージ。
つまるところ、主桁のみで剛性を確保する通常のPC桁橋と、斜めに緊張した斜材で剛性を確保するPC斜張橋との相の子のような構造形式ですね!
やや無骨ながらも美しさが溢れる感がステキ!
おわりに
以上、吊橋と斜張橋を顧みてみました。
まちなかでも旅先の田舎でも屡々見かける、美しくも力強い構造の橋たち。
どちらの橋も、大きいのから小さいのまで、それぞれに特徴があるのが観ていて楽しい。
アーチ橋やトラス橋よりも覚えるべき名称も構造も少ないので、初心者にオススメの橋梁は斜張橋&吊橋!!!
とはいえ、ちょっと標本が足りなかったかなァ…。
特にハープ型。全然見かけないですね、ええ。
このままでは、さすがに中途半端な気もしなくはない。
またフィールドワークして勉強続けますゥーーー