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煉瓦その1:京都で煉瓦を認識する編。

山梨県甲州市勝沼 菱山隧道
山梨県甲州市勝沼 菱山隧道

最近ハマっている煉瓦建築について、お話しします。


新潟県糸魚川市市振 旧北陸本線遺構
新潟県糸魚川市市振 旧北陸本線遺構

あぁ^~たまらねぇぜ。
煉瓦の手作り感覚の温かみと、明治時代からの確かな時代の流れを感じる古めかしさ。
人間の文明と自然との鬩ぎ合いを体感するこの瞬間が、とってもいい。
 
さて、そうなると様式についても理解したいと思うわけで。

迫真の手書きメモ
余計なメモもあるけど気にしてはいけない

ざっと調べたところの基本情報はこんな感じでしょうか。
長手などの部位名、羊羹などの資材名、そして積み方をマスターしていきたい。
でもこのままでは机上の空論止まり…。なくなってしまう前に、ホンモノの煉瓦を観て心で味わいたいの…。

というわけで、京都にある味わい深い煉瓦建築物たちを堪能していきます!


東舞鶴編

おはようございます。
今日は京都府舞鶴市に来ました。
ここ舞鶴市はわが国でも有数の煉瓦のまちであり、至る所に煉瓦遺構が残されています。

京都府舞鶴市北吸 北吸隧道
京都府舞鶴市北吸 北吸隧道

駅から目的地へと歩く途中でさえこれですよ。
住宅街の中に唐突に現れる異様な色合いに、足が止まる。
美しい馬蹄形の坑口シルエット、旧廃線系の煉瓦隧道だぁ…。

しばらく進み、目的地はここ。
旧帝国海軍の舞鶴鎮守府倉庫施設。
現在は赤れんがパークおよび赤れんが博物館として、地域住民の憩いの場所から観光まで、様々に活用されています。
視界一面に映る煉瓦煉瓦煉瓦。
煉瓦のテーマパークに来たみたいだぜ テンション上がるなあ~

赤れんが博物館へ入場。
ここは世界でも珍しい煉瓦を専門にした博物館であり、ここで知識を深めたかったわけですね。
詳しく知りたいことも直接学芸員さんに尋ねることができました。
満足!

なんだこの分布密度は!?
この規模なら丸一日かけて散策したいんよ~
再走しなきゃ(使命感)


トロッコ亀岡駅編

続いて実践編です。
ここは京都府亀山市。トロッコ亀岡駅脇の橋脚下にいます。
右に見切れているのが現在の山陰本線の武骨な鉄道橋梁、左がトロッコ列車の、すなわち旧山陰本線の橋梁です。
トロッコ列車に実際に乗ってみると分かるように、府内の山陰本線にはステキな煉瓦構造物が多数残存。
ふらっと立ち寄ったこの駅でも、なんとも味のある煉瓦に遭遇したわけです。

しかし、この例では断面を三角形に整えているので、積み方の実例としては分かりにくいナア…。
これはこれで美しいのだけど…。

そういうわけで、こちらは同駅の西側にある高架橋です。
旧山陰本線の橋梁と古びたコンクリートがくっ付いた、なんともカオスな光景です。
だからこそというべきか、ここでは端部の処理が明瞭に判別できました。
長手段と小口段が交互の積み方に加え、端部の処理に七五を使用。
導き出される結論は…オランダ積みですね!!!
 
知識が現実の風景に昇華されていく瞬間が、良い!良い!良い!
さてはボクに鑑賞されるために保存されているな?かわいいね♡ドスケベ隧道がよ!


蹴上インクライン編

続きまして京都市内です。東山区の市営地下鉄東西線蹴上駅。
琵琶湖疎水やインクラインで有名な場所であり、夕方でありながら地元民ならず観光客も多いのですが、どうやらこちらの隧道についてはそこまで人気がない様子です…。

おまんぽぉ^~(気さくな挨拶)
これは「ねじりまんぽ」。斜拱。まんぽとは隧道=トンネルの意。
上部にインクライン・傾斜鉄道という特殊な構造物がある都合上から、たった2m程度の歩行者用橋梁ながら、内壁の煉瓦を螺旋状に積み上げることで強度を確保!
上記の机上論では得られなかった、凄まじい工学の成果が現出しています。

いったいどんな原理で成り立っているんですかね…。
やば…やば…わかんないね…
東海道本線には他にもいくつか橋梁として残存しているようですし、それを観て理解を深めたいところさんですね…。


月ケ瀬口駅編

最後に、京都府最南端の相楽郡南山城村、関西本線月ヶ瀬口駅へ。
当駅は高架、というよりは小さな谷の尾根に位置しており、南北の集落および続く関西本線東方への三重県側とはそれなりの高低差があります。
その全貌を掴むため県道沿いへ進んでみると、ふたつの大きな隧道が出現。
右側の現代的なボックスカルバートは車道の新今山隧道、左側の煉瓦隧道は歩道(あるいはゴミ捨て場として)供用されている今山隧道。
しかし、一般道路に架かっている鉄道橋だから架道橋が適切なのかもしれない。
スパンドレルは長手面と小口面を交互に組み合わせたフランス積み、隧道内部の壁面はイギリス積みでしょうか。

これだけでも迫力のある光景ですが、反対側へ向かっていくと煉瓦+石材の組み合わせが、急激にコンクリートへ変貌。
反対側坑口を望むと、謎の支えのようなオブジェクトが目を引く以外はなんとも普通のトンネル感がにじみ出ています。
全く同じ隧道とは思えない、不思議な感覚です。
この謎の支え、流出を防ぐほどの土砂や圧もなさそうですし、多分飾りなのでしょうが…。
独特!

北側坑口を引きから撮影。隣には水路があるのですが…

その真の姿がこちら!
再度南側からこの水路を覗いてみると、車一台分が余裕で通れそうなサイズの水路トンネル煉瓦坑門が出現だ!
月ヶ瀬駅下は、まさかのトリプル隧道だったのである!!!
 
これはイギリス積み…だと思うのですが、擁壁の処理と草木のせいで確実な視認は出来てないですね…。
何故こんな日に限って双眼鏡を持ってきていないのか。
また課題が見つかってしまいましたね・・・。


おわりに

以上、煉瓦についてはまだまだ理解が進んでいないことが分かった、京都煉瓦巡り編。
煉瓦の世界は奥深い。
次回の煉瓦回では…もっと確実なことが言えるようにさらに理解をしていきたいところですね!

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