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【戯言】あなたは家事が『上手い』ですか?

先日、既婚者の友人(女性)に
『なこちゃんは家事が上手くていいなぁ。私は苦手だからほんと困ってる』
と言われました。

上手い…?
家事に上手いとか下手とかあるのか…?
なんだかもやもやっとしまして。

彼女は既婚者で、私は独身です。
お互い30歳。
お互い大学生になるタイミングで一人暮らしを始めました。

得意かどうか、と聞かれると、不得手ではない方だと思います。
でも別に『上手く』はない(と思う)。

一昔前なら『女子は家事ができないとお嫁にいけない』的な考えもベーシックだったことでしょう。
しかしながら、今や、男子でも料理が得意な人はたくさんいますし、『主夫』なんて言葉も普通に遣われるようになりました。

『男女雇用機会均等法』や『男女共同参画社会』という言葉も、小学校高学年の社会の授業で習いました。
(実際に現在の日本社会がそれらをきちんと行えているのかは別として)

とにかく『男女平等』を強く推しているなぁ、と学びました。

そんなわけで、現代においては『家事』というものは『女子がやるもの』ではなく、『男女問わずやるもの』になっているはずです。
(育児…はまだ出産経験もないので、ここでは語りません)

さて、話を戻します。
『家事が“上手い“』とは一体なんぞや。

わたしは『家事が上手くなりたい』と思ったこともないですし、上手くなるために努力をしたかと言われると…多少はしたかもしれませんね。
たとえば『今日はビーフストロガノフが食べたい!』と思ったけれども、作り方がわからない。材料は…牛肉と…何だろう。
そう思ったときにクックパッドで調べたりはしました。
洗濯をしたのに、このシミが取れなかった…クリーニングに出すほどの服でもないし、どうにか自力でシミ抜きできないか…とGoogle大先生に尋ねたりしました。
そういう努力はしました。
でも、それ以上のことはしていません。
きっと、普通に日常生活を送る人で、家事を自分でやる人なら、誰しもやったことがあるでしょうし、努力とも呼ばないと思います。
私も正直、レシピを調べたり、Googleで検索する程度は努力だと思っていません。

私が思うに、家事は『上手い』とか『下手』なのではなくて
『好き』か『嫌い』か、だと思うのです。

もっと言うなれば、
『どうしてもやらなくてはいけない必要がある環境だったか』
それとも
『やらなくても平気な環境だったか』
のどちらかだと思うのです。

ふたつほど例を挙げてみましょう。

【パターン1】
初めて一人暮らしをする大学1年生の男の子が、洗濯の仕方がわからないとしましょう。
選択肢は
①説明書を読む
②親などわかりそうな人に聞く(ネットで調べる)
③コインランドリーに行く
④親にやってもらう

といったところでしょうか。
多くの人は、①とか②あたりを選ぶと思います。
しかし稀に、③コインランドリーに行く、を選ぶ人もいます。
親からの仕送りが潤沢なのか、アルバイト代をたくさん持っているのかわかりませんが、
『洗濯機とかわからん。もういい、コインランドリー行こ』
となる人がいるのです(最近のコインランドリーは、忙しい社会人や大家族の主婦などに向けて『洗濯代行』なるサービスもあったりするので、お金さえあれば汚れた洗濯物を持っていくと、洗って乾燥してたたんで返却してくれる、至れり尽くせりなのです)。
そして本当に本当にめっちゃ稀に④親にやってもらう、を選ぶ人もいるのです。
(私の友人(男性)に、実際いました。笑 別に悪いとは思いませんが、もし親御さんがいなくなったら大変だろうなぁとは少し思いました)
近所に親御さんが住んでいれば、取りに来てくれる、もしくはお母さまが定期的に子どもの一人暮らしの部屋に行って、掃除をするついでにたまった洗濯物もやってあげる、などなど、パターンは違えど『親にやってもらう』という選択肢も実際に選ばれています。

ちょっとレアなパターンだったかな。
それでは次のパターンはどうでしょうか。

【パターン2】
料理があまり得意ではない女の子(別に男性でも可)がいます。
作るのも苦手だし、後片付けも面倒です。
でもお夕飯の時間帯、お腹は空きます。
どうしますか?
選択肢は
①しょうがないので自炊する。
②コンビニで買ってきちゃう!
③外食にする(ファミレス・居酒屋・レストラン問わず)

こんなもんですかね。
ルームシェアをしている子なら、相方が作ってくれたりもするかもしれませんね。もしくは、パターン1のように、親が近所に住んでいれば定期的に作り置きをしてくれたり、クール便で手料理を送ってくれたりもしているかもしれませんね(実際、友人にいました)。
多くの方は、やっぱり①を選ぶでしょう。
それがたとえ不味かろうと。
そして『どうにか美味しく作れんものか…』と、時短技を調べてみたり、『簡単レシピ』なんてワードで検索して、試行錯誤する方もいるかもしれません。
次に多いのは②ではないでしょうか。
基本的に自炊メインの私も、体調が優れないとき、今にも寝てしまいそうなほど疲れているとき、アルバイトが深夜までかかってスーパーが開いていないときなど、本当によくお世話になりました、コンビニ飯。
しかしここで、スーパーが開いている時間で、体力も余っているのにコンビニを選ぶ人もいます。
別に悪いことだとは思いません。
そして稀に③を選ぶ人もいます。
田舎から都会に出て、悠々自適に一人暮らし。
お洒落なカフェで優雅にお夕飯。
多くの女の子が憧れるんじゃないでしょうか。
私も大好きです、夜カフェ。

どうでしょうか、少しはイメージが沸いたでしょうか?

パターン1で③コインランドリーに行く④親にやってもらう
パターン2で③コンビニで買ってきちゃう!④外食にする
これらを選んだ人には共通点があります。
③④を選ぶ人たちは、金銭的に余裕がある、近所に物理的に助けてくれる人がいる、などが挙げられると思います。
これらを端的に言うと
『別に無理して家事をしなくても平気(どうにかなる)環境にあった』
ということではないでしょうか。

お金で時間やテクニックを買うことは、悪いことではありません。
そのサービスにお金を払って買う人がいるから、仕事として成り立っているのです。
近所に親御さんがいるからやらなくても平気、というのも別にいいのではないでしょうか。
親御さんも、初めての一人暮らしをする我が子が心配でしょうし、何より家に我が子がいないのは寂しいと思いますから、頼んでなくても親御さんが合鍵で勝手にやってくる、なんて方もいると思います。
学生さんが部屋を借りるとなると、親が賃貸の保証人になることがほとんどでしょうから。
(超個人的な意見を申し上げますと、成人にもなって親にパンツを洗ってもらったり、わざわざ部屋を片付けに来てもらうのは、私は恥ずかしいと思ってしまいます)(私も最初、関西から上京した際、親に『合鍵を渡せ』と言われました…が、断りました。笑)(おうちの保証人も、最初は親に頼んでいましたが、その後は保証人不要の賃貸や、保証会社を利用する賃貸を選び、親に迷惑がかからないようにしています)

『なこちゃんは家事が上手くていいなぁ』
と言った彼女と私、何が違ってこうなったのでしょうか。
普通に考えれば、既婚者の彼女の方が家事は上手そうなイメージがありませんか?
一昔前の考えですが、旦那さんに食事を作って…なんて。
あくまでイメージですが。

たまに壊滅的に料理ができない人なんかもいますが、彼女はそういうわけではないと思います。
何なら、昔ブログでなんだかお洒落に盛り付けたパスタなんかをアップしていた記憶すらあります(そのブログもいつの間にか消えていましたが)。

私は、東京の私大に進み、大学4年間の学費のみ、親が『最後の親のつとめ』として支払ってくれましたが、他は一切の支援・援助はありませんでした。
人生で一度も『お小遣い制』というものがない家庭で育ちました。
もちろん、仕送りは1円だって貰えませんでした。
帰省するときも、基本的に自腹です(何か急用で帰省しなくてはならない場合は出してくれたりしました)。
私の家賃や光熱費、通信費、食費、お小遣い等々は、どうやって捻出していたかというと…日本学生支援機構から借りていた奨学金と、自分のアルバイト代だけが頼りでした。
月に8万円の奨学金と、アルバイト代が12万円~月によってまちまち。
(長期休みのときは昼夜かけもちで短期バイトも入れたりして、MAX33万稼いだ月もありました)
毎月8万円、ほっといても入ってくるとはいえ、返済義務のある『借金』です
なんなら、社会人になってから毎月2万くらいずつ、20年かけて返済する、しかも利子付き。
せっかく大学で学んで社会人になるのに、スタートから借金背負うのか…と軽く暗い気持ちになりつつ、母親には『奨学金は借金なんやで、なるべくアルバイトいっぱいして、貯金しなさいよ』と言われていました。
なので、毎月決まった額を貯金していました。
そうすると、必然的に生活資金が少なくなります。
ひもじい思いもしました。
100円ローソンで菓子パンひとつ買うのも悩んだりして、結局29円のもやしを買って帰り、冷蔵庫の卵を使って、卵もやし炒めを作って食べていました。
そうです、私は『家事をせざるを得ない環境』にありました
別に貯金をせずにいれば、月に2回ネイルサロンに通ったり、女子会をやったり、豊かな女子大生ライフをエンジョイできていたと思います。
しかし、貯金をすることを選んだのは、あくまで私自身なのです。

対して彼女は、1浪のあと国公立大に入学。
彼女の話では、学費と仕送りも多少あったようです。
それでも、彼女は日々の膨大な大学の課題に追われながら、アルバイトを詰め込み、本当に忙しそうにしていました。
インスタグラムやTwitterには、地方の音楽フェスに行ったり、普通の大学生にしては頻繁に海外旅行をしたり、カフェで女子会をしている写真がたくさんアップされていました。

さて、ざっくり私と彼女の違いがわかりましたでしょうか。
きっと、彼女と私では、月のアルバイト代は同じくらいだったかもしれません。
(私は大学2年生からホステスをしていた(といっても、皆様が想像するような高給取りではありません、田舎のホステスなのでたかが知れていますよ)ので、アルバイト代自体は私の方が多少多いかもしれません。でも、アルバイト代の中から『普通の大学生が1か月に稼ぐ額』だけを手元に残し、残りは貯金用の口座に入金し、一切手をつけずにいました。金銭感覚を狂わさないために。なので、あくまで『自由に遣える金額』が彼女と同じ、ということです)

では、何が違ったのでしょうか。
それは『用途』でした。
月のアルバイト代が同じとはいえ、私のアルバイト代のほとんどは最低限の生活費に消えます。
対して彼女は、アルバイト代から多少の生活費を捻出していたかもしれませんが、自由に遣えるお小遣いが多かったのだと思います。
だから、地方の音楽フェスに行ったり、海外に行ったり、外食したりとできていたのでしょう。
それが悪いことだとは、私は一切思いません。
大学生活はモラトリアム。
本来であればそういう生活を送れるのは、この大学4年間という期間だけかもしれませんし、時間の有効活用だと思います。
超絶うらやましいと思うし、私もそんな大学生活を送りたかったです。
でもそれを選ばなかったのも、自分です。
そして選べなかった、のです。

家事をする『必要がない』彼女と
家事を『せざるを得ない』私。

育ってきた環境や、家庭事情もありますから、こればっかりはもうしょうがないと思いますし、私は親を恨んだりもしていません。

私は、あるひとつの結論にたどり着きました。
【家事をする『必要がない』人】に『なこちゃんは家事が上手くていいなぁ。私は苦手だからほんと困ってる』と言われたから、もやもやしたのです。
私は、やりたくてやっていたわけではないのです。
必要に迫られて、やらざるを得なかっただけなのです。
なんなら、彼女や多くの大学生のように、飲み会に参加したり、女子会だ、音楽フェスだ、と参加したかった。
でも、奨学金という『借金』を背負っている私。(普通は社会人になって地道に返済するのが『当たり前』なのですが、私は『借金』『ローン』というものが嫌いなのです)
親に甘えたくても、自分のプライドが許しません。
親に泣き言なんて言いたくないし、自立したいがために一人暮らしをさせてもらったのです。
だから私は、友人たちが飲み会をやっているとき、長期休みに旅行に行っているとき、人より働き、人より稼ぎ、人より貯金していたのです。
貯金していたのも、決して楽ではありませんでした。
外に出れば誘惑がたくさんあります。
服も欲しくなるし、コスメも欲しくなる。
カフェのスイーツも気になるし、ネイルサロンにも行きたくなる。
だから、なるべく家にいました…と言っても、日中は大学、夕方以降はアルバイトでほとんど家では寝るだけでした。
休みの日は、趣味のバンド活動がなければ、掃除や洗濯をしました。
私がしないと、誰もやってくれません。
コインランドリーに行くにも、1回500円くらいかかります。
乾燥機も使ったら、もっとかかります。
お気に入りの服にシミがついても、同じのをもう1着買うこともできませんから、どうにかしてシミを抜こうと調べました。

気づけば、初めの頃は『めんどくさい』『お母さんはこんなこと毎日やってんのか…』と思っていましたが、続けていくにつれ、楽しみを見出していました
『どう干したら、シワになりにくいだろうか…』
『この洗剤と柔軟剤の組み合わせ、最高に私の好みやん!!』
『この料理、案外自分でも作れるもんやな』
『あれ?下手したらあそこのお店より美味しいんちゃう?笑』
『お風呂上がりに換気扇回してドア開けとけば、部屋の中も結露せんし、お風呂場のカビも生えにくい気がする~!』
『お皿洗って、こう並べると乾くん早いな』
など、新たな発見、そして新たなスキルを手に入れたという達成感…いつしか、楽しくなっていました。
(もちろんめんどくささが勝つ日もあります。むしろその方が多い)

家事は、私にとって、ライフワークの一部です
人生の中のルーティンです。
生きるために必要なスキルだったのです、私にとっては
もちろん、やる必要がないならやらなくてもいいと思います。
その分、他のことに時間も使えますし、有意義なものになることでしょう。

『私は苦手だからほんと困ってる』
…果たして彼女は本当に困っているのでしょうか?
彼女の口ぶりと、暮らしぶりを見る限り、にわかに信じがたいのです。
もしかしたら本当に困ってるのかもしれないけれど、『せざるを得ない』というような切羽詰まった状況ではないのでしょう。
生活が困難になるとかそういう意味の切羽詰まる、ではなくて、たとえば洗濯物が溜まっていても、生ごみが三角コーナーで腐敗していても、きっと誰か(旦那さんなど)がやってくれたり、助けてくれたりしているのだと思います。
そういう意味で、彼女は『切羽詰まっていない』し、家事を『する必要がない』のです。
本当の本当に困っているなら、クックパッドで調べて料理したり(それでも無理なら料理教室に通うとか)、掃除に関するライフハックを調べたりするもんだと思います。
でも残念ながら、彼女の暮らしぶりからはそれは感じ取れないのです。

私はきっと『家事をしなくても生活が成り立つ、優雅な暮らしを送る人』に『苦手で困ってる』なんて、あまり心にもないことを言われたからもやもやしたのでしょう。
なんだか馬鹿にされた気さえしました。
『家事をやる必要がない人』の方が『家事をせざるを得ない人』より、優雅でリッチで潤沢な生活をしている、と私の歪んだ心が決めつけていたからです。

先述しましたが、私の家事スキルは不得手ではないけれど、得意・上手いという程でもありません。
謙遜や遠慮ではなく、本当にそう思うのです。
私にとって、必要最低限の家事スキル(=生活スキル)というだけ。
家事をやりたくてやってきたわけではない。
やらざるを得ないから、必然的にできるようになった、それだけのことなのです。
彼女が生きるために必要な生活スキルは、そこまで必要ではないというだけでしょう。

まぁ、簡単に言えば、私自身の心が狭い、という話です。笑
彼女のような、既婚でありながら、ほぼ専業主婦というポジションで、家事が苦手でも問題なく、自分の趣味や好きなことに時間やお金を割ける生活が羨ましくてたまらないのです。
とはいえ、私の性格では、同じ立場になっても、自分でせっせと洗濯したり、食事を作っていると思います。笑
彼女は、私にとって本当に憧れの存在です。
キラキラしていて、美しくて、人当たりもよくて…私にないものを全部持っていると思います。
しかし私がそれらを手にしても、満足に扱える気はしていません。
与えられた場所が今の自分にとって最善の場所であり、そこでどうやって咲くのか、が大切だよな、とつぶやきつつ、でもやっぱりうらやましーーーーーー!!!!!!と心の底から叫ぶ私なのでした。

おわり。









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