日本には業務プロセスの専門家がほとんどいない!だから、SAP ERPプロジェクトでもめる!

日本企業にこそ「プロセスオフィス」が必要
 さて、そろそろプロセスオフィスの説明をしないといけないな。プロセスオフィスとは、全社的に業務プロセスを見える化して把握・分析し、その改善や変革、標準化を通して生産性の向上などを図る専門部門のことだ。日本企業ならこうした取り組みはDXなどテンポラリー(一時的)な変革プロジェクトとして実施されるが、それを常設の部門が日常的な業務として担うわけである。で、重要なことは、欧米企業などにはこのプロセスオフィスが普通にあるということだ。
 プロセスオフィスが普通にあるということは、日本企業がコンサルタントら外部に依存している変革のノウハウなどの一部、あるいは全部について、欧米企業は自社で保有できているということだ。しかも、日本企業とは違って日常的に何らかの業務改革に取り組む体制ができているということでもある。もちろん、日本企業がテンポラリーに企てるDXプロジェクトなどのような大規模な取り組みではないだろうが、変革のノウハウや知見が日常的に蓄積できる点は大きい。これでIT部門が内製力を持っているならば、DXの推進にとって鬼に金棒である。

日経クロステック

欧米には、業務プロセスの整理・統合(BPR)の専門部署があるが、日本にはほとんど無い。

工場の業務改善を行う部署はあるが、全社的(もしくは事業部全体)で業務を俯瞰的に分析し、整理・統合・改革するミッションをもった部署はない。

日本のビジネスパーソンは、会計・販売・購買・在庫管理・生産管理など、それぞれの業務プロセスの専門家はいるが、俯瞰的に業務プロセスの整理や改革案をつくれる人はほとんどいないのだ。そのため、BPRは、SAPなどERP導入プロジェクトの時に一斉に実施される。そのために、要件定義フェーズが膨れ上がるのだろう。普段から、業務改革を実施したり、改革プランを検討しておけば、要件定義フェーズの工期は短縮できるだろう。

現状のSAPプロジェクトでは、コンサルタントが業務プロセスをヒアリングして、そこから改革案をまとめる。これに時間がかかってしまう。普段からコミュニケーションをとっていないから、あーでもない、こーでもない、そして時には抵抗勢力も出てくるのだ。

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