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〈伊藤さん、知識量・取材量・勉強量が多いと感じる小説は何ですか?〉〈読みにくさ=悪文が魅力の作家は誰?〉〈ライトノベルの魅力って何?〉――伊藤として答える

知友が入り交じるディスコードサーバーにどんどん質問がたまっていく。多いんだよ。長い質問はこっちで端折ってやらなきゃなんないし。一番付き合いの長い奴から伊藤って誰、とかきかれるし(DJの時はちがう芸名なんだね。だから伊藤として答える、とさせていただいている。なんのこっちゃろーけど)。

知識量・取材量・勉強量が多いと感じる小説は何ですか?

 こういう質問、急に訊かれてもだれかいたはずなのに、すぐ出て来ないですね。ぱっと思いついたものを挙げるだけなのですが、ウンベルト・エーコの各小説。代表作ほか、「プラハの墓地」など、本当に知的な人でなければ書けない、しかし衒学的にならず読み物として面白く読ませる技術が本当に素晴らしい。日本では佐藤亜紀でしょうか。ナポレオンものがおすすめです。目利きですので資料の選択のセンスがよく、それを小説にするに際してのエンジンも違う。

読みにくさ=悪文が魅力の作家は誰?

 日本でまず筆頭にあげられるべきは小島信夫。言語感覚が脱臼をしたかのような彼の日本語の文章は、ジョイスの意識の流れを踏襲しているともとることができ、きわめてスリリングで魅力的です。
 ああ、ジム・トンプソンとか、パルプ小説の魅力もそういう魅力ですね、そういえば。

ライトノベルの魅力って何?

 私は純文学をおもに読んでいてライトノベルの熱心な読者ではありませんが、若い書き手が多いこと。ひと昔前の講談社第三文芸部的=「メフィスト」的な尖った作品が大賞を獲ってきた歴史があり、文章力は乏しくても独特の感性を重視した作品が散見されること(おもに電撃文庫についての話になっていますが)、などでしょうか。
 余談ですが、新本格ミステリって新人類世代によるポストモダン小説だったわけです。でまあ、それがムーブメントではなくなって、京極夏彦が真面目だからちゃんと書けなくなったりしていたりとか、あるわけですが、新潮nexやメディアワークスといった対抗馬が出てきたことによって、講談社第三もキャラクター小説を書ける人材を求めるようになった、というのが十年か、もっと前だっけ、……からの動きですね。翻訳ミステリー読書会とかやってる意識高い系のミステリー坊やたちにはそこが分からんのです。

静かに本を読みたいとおもっており、家にネット環境はありません。が、このnoteについては今後も更新していく予定です。どうぞ宜しくお願いいたします。