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なぜ韓国メディアは偏向するのか

波紋を呼んだ韓国MBCの報道


韓国の「文化放送」(MBC)が批判を浴びている。2020東京五輪の開会式で各国を揶揄する映像を流したり、男子サッカー予選の中継放送で不適切な写真と字幕を使用したことで批判を受け、MBCのパク・ソンジェ社長が謝罪する事態に追い込まれた。が、その後も問題放送を連発しているのは周知の通りだ。

日本のメディアではその本質まで掘り下げられている記事が少ない。上記、ネットメディアの記事でも「MBCの各種事故に対しての原因究明、関係者の問責および再発防止策作りは言うまでもないとしている」という現地報道を引用するに止まっている。

実は問題放送を連発する背景には、ある構造的な問題が横たわっている。


「今回謝罪会見を開いた文化放送(MBC)社長にパク・ソンジェは新任社長です。パク氏は昨年、ソウル・瑞草洞の大検察庁前で開かれた『チョ・グク(元法相)擁護集会』の参加者数について、「ざっと見て100万人」と発言したことでも話題になったゴリゴリの左派で労組出身です。同じく左派で同じように偏向放送を繰り広げていた前社長の路線を受け継いでいるのです」(韓国人ジャーナリスト)

左派に牛耳られたMBC


パク氏は1993年にMBCに入社し、労組委員長を務め、李明博政権期の2012年に行われた長期ストライキで解任される。その後、崔承浩(前MBC社長)と共に調査報道機関「ニュース打破(タパ)」で活動。文在寅政権発足後の17年12月に復職していた。


「MBCの労組系ディレクターは政治的な番組作りで有名でした。パク氏以下、事実よりも偏向報道、文在寅政権翼賛報道を続けてきた。韓国では大統領によって、大学からメディアまで全ての人事が一変すると言われています。左派系の人物がMBCを牛耳ったことで保守系だった幹部は次々と左遷された。某局長だった人物はパージされ地方支局に飛ばされるなど粛清人事が断行されたのです。左派幹部の最大の後ろ盾は文在寅政権であり、民族主義を鼓舞する文大統領の思想に沿った報道をすることに左派は意味があると考えている節がある。その成れの果てが、オリンピック放送なのです」(韓国メディア関係者)

日本とは異なり韓国では左派のほうが民族主義要素が強い。MBCは左派に牛耳られたことで偏向報道を連発するようになったのだ。

プライタイムニュースで”偏向”批判

実は僕とMBCにはある因縁がある。

僕が週刊ポストに書いた徴用工記事について、韓国MBCはプライムタイムのニュース番組で取り上げ、「捏造だ」と批判したのだ。それを見た日本のネットメディアも、以下のような後追い記事を書いた。

このとき僕は韓国メディアのいい加減さに驚くと同時に、日本の一部ネットメディアの適当さにも呆れたこと思い出す。上記記事を読んでもらえばわかるが、記者は僕には取材もせずtweetを引用するだけで記事を書き、しかもポスト編集部を通じて証拠があると伝えたにも関わらず取材を疎かにしたのだ。挙句の果てに、記事では『「翻訳の誤り」という可能性も否めない』と、何を根拠にそう言っているのかが分からない”謎の説”で記事を書き終えているのだ。 

しかし、「思い込み」で報道している人たちに僕はあえて反論はしなかった。取材が来れば応じるというのスタンスだったが、韓国MBCからもネットメディアからもついぞ僕に取材は来なかった。同じイチ記者として改めて言いたいのは結論ありきで報道をすることは容易い。その安易さに甘んじたまま仕事をすると、やがて技術は衰えて行く。

週刊ポストの記事について、取材はテレビカメラも入れたものであり、当然録音テープもある。語句の翻訳も複数回行った。

週刊ポスト編集部には韓国MBCからメールで問い合わせがあっただけで、一方的に僕の記事がニュースショーで糾弾されることになったのだ。証言者が言葉を変節させたのは理由があったと思われる。徴用工を巡る韓国MBC報道の詳しい経緯については、2020年に執筆した『韓国人、韓国を叱る 日韓歴史問題の新証言者たち』(小学館新書)で詳しくレポートしているので、ご興味あれば参照頂ければと思う。



十分な裏取りをせず報道を行う。左派に牛耳られるなかで韓国MBCはその報道を劣化させて行ったように思う。その一端がオリンピック報道で露呈し、国際水準に満たないお粗末な報道実態が明らかになったといえよう。


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