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焦げた食べ物で本当にガンになるのか?

みなさんこんにちは、はるです

私のnoteでは下線部に参考文献を埋め込んだ学術論文に近いものですが、疑問に思ったら下線のリンクに飛んだり、ご自身で調べてみてください。私のnote文献ベースの根拠のあるnoteですが、全て鵜呑みにせずあくまで一個人の意見として捉えてください。

はじめに

算数の世界で3つの辺で3つの頂点の図形といえば、三角形です。音楽で言えば、トライアングルという、そのまま三角形の英語名を由来とするものがあります。世の中に3で区切れるものや、その数字に関係するものは多いです。

今日紹介するのは料理にも関係する化学にある三角形です。

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このような接着剤は、一般の家庭どこでもあり、皆さんも一度は使ったことがあると思います。この接着剤は、特に金属同士をくっつけるのに便利で、小さな頃に鉄の端材同士を面白いぐらいに繋げられた記憶があります。

化学的にいうとエポキシ-アミン反応を使うタイプの接着剤は2種類のチューブに分かれています。二種混合タイプです。

これらの製品が2つのチューブに分かれているのは、1つのチューブにはアミンが入っており、もう1つのチューブにはエポキシが入っているからです。両者が接触しなければ、それぞれはただ濃厚な粘着性液体です。

誤ってそれらのガスを吸ってしまったときに、それぞれのチューブの中のものが違うにおいがすることに気づくでしょう。ちなみにアミンは生臭いにおいがしました。

これらを混ぜ合わせると発熱反応とともに、架橋の化学反応が起こり、硬い固体に固まります。ここで知っておかなければならないのは、アミンはエポキシドと比べてそれほど反応性がないということです。

エポキシドはどのようなものかというと、次のようになります。

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エポキシドの分子ははっきりとした三角形の形をしていますが、この三角形の形は非常に歪んでいることが知られています。

エポキシドは、化学の世界ではよく見かける歪んだ複素環です。合成が簡単で、安定性も高く、環炭素への求核剤の付加など、環の歪みを解消する反応を介して容易で、反応します。エポキシ-アミン反応では、アミンが求核剤として機能してエポキシド環と反応します。つまりエポキシド環の歪みは求核剤としてのアミンと反応して解消されることができるのです。

あれ?今日のトピックとエポキシ-アミン反応の話はうまく接着していない?いえいえ、これからくっつけていきます。

そもそも焦げた食べ物って何?

さてここからが本題、あなたは食べ物を焦がしたことがありますか?

直火で高熱をかけて食材を焼くと、表面が焦げてしまいますよね。焦げた表面には、ベンゾピレンなどの多環芳香族炭化水素(PAHs:polycyclic aromatic hydrocarbons)が含まれています。そのため、焦げた食品を食べると、ベンゾピレンも摂取することになります。残念ながら、ベンゾピレンは肝臓で反応性の高いエポキシドに変換されるという研究結果が出ています。しかし、これらは細胞が生成しているグルタチオン抗酸化物質によって中和されます。私たちの体内のデオキシリボ核酸(DNA:deoxyribonucleic acid)を構成するタンパク質や核酸には、かなりの量のアミン基が含まれています。

まとめると肝臓ではPAHsをエポキシドに変換し、エポキシドは体内のアミンと反応してエポキシ-アミン反応を起こります。

これらの焦げた食品を大量に摂取するとどうなるのでしょうか?

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焦げた食べ物をたくさん食べたらどうなるの?

問題は、DNAがエポキシドと反応すると、DNAの構造が変化し、細胞内に不必要な突然変異を引き起こすことです。そうなると、細胞は永久的にダメージを受け、『欠陥品』となってしまうのです。

オートファジー(自食作用)が働けば、この損傷した欠陥細胞を除去することができます。しかしオートファジーがこの細胞を除去するのに間に合わなければ、この細胞は何世代にもわたって増殖することができます...そして、これらの欠陥細胞の蓄積が臨界量に達した後、悪性新生物、つまりはガンの腫瘍に変わる可能性があります。

焦げたものを食べ過ぎると健康にいいというものではありません。しかし焦げたものは、それだけでは本質的に危険ではないことも理解する必要があります。簡単なプロセスを以下にまとめました。

1.肝細胞はこれらの物質を反応性のあるエポキシドに変えることができる。

2.肝臓の細胞がこれらのエポキシ化物を解毒するのに十分なグルタチオンを生産していれば、中和されるかもしれない。

3.グルタチオンが不足していると、これらのエポキシ化合物は細胞のDNAに突然変異を引き起こす。

4.しかし、オートファジーのプロセスがうまく機能していれば、それも処理できる。

つまり、焦げた食べ物でガンになった人は、オートファジーの機能低下とグルタチオンの生成に問題があると考えられます。

おわりに

世の中では「焦げた食べ物がガンの原因」と極端に端折って説明しているのです。完全に正しいわけではありませんが、シンプルに伝えようとした結果、そうなってしまったのです。

ただし、オートファジーの異常やグルタチオンの生成といった問題は無視されているので、他の慢性的な炎症状態が引き起こされて、すでに悪い状況を悪化させる可能性がある、など他の危険性を無視していることになるのでシンプルな理解では火傷します。

肝細胞によるPAHsのエポキシドへの代謝が重要な鍵ですので、少なくとも、私たちの肝臓がまだ元気に働いていることに感謝しなければなりませんね。肝臓は大切にしてあげてください。

ではまた次の記事で!

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