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呼び出しからの?
女番長に体育館裏に呼び出された。
女番長なんて、そんな時代遅れな物が進学校で有名なこの学校にいるとは驚きだし、その女番長に群がってる連中の数にも驚きだ。男女合わせて一クラス分いるだろうか。
そもそも彼女が女番長ということも驚きだ。学年首位の天堂院竜子さん。委員長の間違いじゃないか?
「田中太郎」
ドスの効いた声で女番長は僕の名を口にする。すごい迫力で、無意識に猫背がピンとまっすぐになる。彼女の美貌とのギャップがすごい。
「おい、返事は?」
「ひゃ、ひゃい!」
緊張のあまり声が裏がってしまった。僕の裏がった返事に群がる連中が笑い出す。
「るせぇ! 黙ってろ!」
その一言で、連中は慌てて口を閉じる。冷や汗をかいてるものもいる。
「おい、田中太郎。あたいはお前に言いたいことがある」
熊でも殺せそうな目で僕を見る。僕の体はもう硬直して動けない。
「いいか、耳かっぽじってよく聞け」
――ゴクリ。
誰が唾を飲み込む音が体育館裏で響く。
「あたいと結婚を前提に付き合ってください」
「はい、仰せのままに! ……え、いやなんて?」
僕は反射的答えてしまう。ちょっと待って何がどういうこと?
「やったー、姉御おめでとうございます!」
「姉さん、やりましたね! ついに念願の彼氏っすよ! 百回目の正直っすね!」
「ばっかやろ! 彼氏じゃなくて旦那だよ!竜子様! お幸せに!」
周りの取り巻きたちはワールドカップで日本代表が優勝したように喜び、歓喜のあまりに泣くやつもいた。
「ま、まぁ! あたいか見込んだ男だからな。断る理由はねぇよな!」
「あ、あの。僕は……」
「よし、早速デートだ。ここは下手にネズミーランドだ! オメェら邪魔すんじゃねぇぞ!」
「へい! 姉御!」
おかしい。ちょっと整理させて欲しい。けどそんなことはお構いなしに、天堂院さんは僕の首根っこ掴んで連行していく。
「あ、あの! 授業は……」
「サボりだ! サボり!」
その日、初めて授業をサボり、そした平日のネズミーランドはすごく空いていた。
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