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今日で最後

「ねぇ、アンディ。敵はどのくらい?」
「四千くらいじゃね」
「……明らかにその十倍はいそうだけど」
 するとアンディは「そうか?」と言って豪快に笑った。いつも耳障りなその笑いも、この状況下では、不思議と安心感を感じさせてくれる。
「しっかし。今日も増援なしか。辛いが信頼されることは嬉しい限りだな」
「けど今日で私たちも終わりね」
 流石にこの人数を二人で守るのは無理がある。一気に攻められたら終わりだ。
 私はもう諦めていた。
「そうだな。終わったら朝まで飲もう」
「は? あんた勝つ気でいるの?」
「あたぼうよ。酒場の酒がなくなるまで飲んでやるぜ。当然お前も付き合ってもらうぜ」
 いつもの変わらない言葉と表情。強がりっているんだろうけど、それを感じさせない。
 なんだか本当に勝てる気がしてくる。これもまた不思議だ。
「はぁ。イケメンと朝まで飲みたいわ」
「がはは、俺も色っぽいボインなネェちゃんと飲みたいぜ」
 敵が進行開始の狼煙をあげた。
 あと数分もすれば、この砦までくるだろう。
「さぁ気張るぜ、相棒!」
「飲み代はあんたの奢りね、アンディ」
 今日で私達は終わる。

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