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小幌駅の夏休み 後編 2020夏

前回の続きで、最強の秘境駅小幌駅を違う視点で紹介していきます。前編で文太郎浜を訪れた後、続いては岩屋観音に行くことにした。

 岩屋観音へは歩いて15分くらいかかった。道自体は獣道のような場所がほとんどだったが、決して歩きにくくはなかった。途中、斜面がかなり急なところもあったが、そこにはロープが備えられていてそれを使えば簡単に次に進むことができた。(19歳の体力です)

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 しかし、一つだけ難点があった。

それは非常に虫が多いことである。コバエかなんかだと思うが、とにかく体にまとわりついてくる。北海道って涼しいから虫が多いイメージなんてまるでなかったが、その考え方が一気に覆された。自分はリトルトゥースの帽子をかぶっていたので、その帽子で顔の周りをはたきながら進んでいった。そして、海辺が見えてきた。

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 海も綺麗だったが、日本なんて島国なんだから海が綺麗なのは当たり前。自分はそこに流れ込む小川の方が素敵に感じ、架けられている橋にも趣を感じた。先ほど行った文太郎浜と違い、こちらは先客が数名いらっしゃった。自分は海を眺めながら、フジファブリックの曲を聴いていた。他にいた人達はここに来て何を考えているのか、どんな気持ちなのか、そば派かうどん派か知りたかった。しかし、他の人達の時間の邪魔もできないので、20分ほど滞在して、引き返していった。

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最後の写真は加工してるように見えますが、加工なしです。

 虫の猛攻を受けながら、でも後半になると慣れてしまい何も思わなくなったら、小幌駅に再び戻ってきた。帰りの列車まではあと40分ほどあった。ここまで来るとあとはありきたりなことばかりになるが、駅自体を散策した。しかし、散策といっても小さな駅なのですぐに終わってしまう。じゃあ秘境駅には必ずと言ってもいいほど置いてある駅ノートでも書いて時間を潰そうかとも思ったが、一人の少年が30分近くずっと駅ノートに何かを書いていて、自分のところには回って来なかった。30分も書くことあるんだったら、note始めればいいのに。

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 あとはホームで待つしかなかった。他の人達も大体同じだ。一人の人が本を読んでいたが、自分もそうすればよかったかなと後悔している。読書好きな自分にとって、本を読むには最高の環境じゃないか。本を読んでいる方は、宮脇俊三さんの最長片道切符の旅だった。自分はその方を覗き込んで見ていたわけではない。最長片道切符の旅は何度も読み返したため、離れていた場所からでも分かったのだ。

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 そんなこんなで列車がトンネルの向こうから定刻通りにやってきた。小幌駅にいた全員が乗り込んでいった。夕方近かったので、降りてくる人は誰もいなかった。

長万部駅に戻ると、コインロッカーから小型のキャリーケースと大きなリュックを取り出し、函館方面へと旅を進めた。

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 (終)

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