前にいた会社のこと。

あまり振り返るようなことはしたくないのですが、最近ちょっと思い出す状況があったので、いい機会だから書いておきます。

もちろん、実名は伏せます。

私は何度か会社を変わりましたが、最後にいた会社は、いわゆる、東証一部上場の大きな企業でした。入社したのは30代後半と、かなり遅かったのですが、その時はとてもラッキーだと思いました。その前まで、フリーランスで活動していたのですが、大病を患って入院をしたことをきっかけに仕事がなくなり、途方に暮れていました。そんな時、その会社にいた友人から偶然連絡がありました。実は前々から誘いの相談はあったのですが、大病する前は全く興味がなく、自由に生活できるフリーランスを満喫していたので、「そのうちね」っていう曖昧な返事をしていました。病院を退院して、仕事もなく蓄えもそこを突きかけたところに、その友人からの電話です。大病していたことは伝えてなかったので、まさに絶妙のタイミングでした。アラフォーの無職じゃこの先真っ暗、なんとかしなければと思っていたので、思い切って面接に行くことにしました。

結果、入社が決まり、晴れて会社員(しかも正社員)ということになりました。最初の一ヶ月はなんて楽なんだと逆にびっくりしました。だって、毎月決まったお給料がもらえるし、土日祝日はお休みだし、なんだかわからない福利厚生やら、イベントごとやら、楽しく時間を潰せる事ばかりでした。

でも、三ヶ月も経つと、いろんなことがわかってきます。私はいわゆる営業の部署ではなかったのですが、ある部署を統括するポジションにいたので、いわゆる営業会議に出席することになりました。驚くべきことに(いや、普通なのか?)私が出席する会議は週一回、3時間行われていました。それ以外に、グループミーティングが週一回、2時間行われています。営業部がすごくて、3時間近くやる会議が週3回、役職者に至っては週5回も会議をやっているのです。なんでこんなにみんな集まるのか、時間がもったいないと思いつつも、あまり深く考えず修行だと思って会議に出ていました。

会議の内容は、社長や重役への売り上げ報告がほとんどです。そんなの書類を回せば済むだけなのにと思いながら、数字と、レポートなるものをメンバー一人ずつ朗読していきます。明らかに、朗読です。それを全員で聞いていきます。出席者全員(三十名程度?)が朗読するので、3時間くらいになります。途中トイレ休憩はあったかな。

この、朗読の会に反発する若手営業マンがいました。

「もっと、戦略の相談やアイデア、今後について皆さんと意見交換の場にしませんか?」


意気揚々と話をした彼は、一ヶ月後に退社しました。ある時、直属の上司にこっそり聞いたことがあります。つまり、そういうことじゃないんですと。この会議は、こういうことをすることが決まっているもの、変えるという選択肢はないのだそうです。数字至上主義はわからなくもないですが、そのための効率化は全くもって古臭いやり方なのだと思いました。成績が良い社員が誉められることも、悪い社員が怒鳴られることもなく、ただダラダラと時間が過ぎていきます。ただきっと、幹部の方々だけの首脳会議では、部長課長がどやされているのだろうと、想像がつきました。でも部長課長が私たちをどやしたりすることなどあれば、簡単に辞めていく人たちが多かったので(これも不思議)、あまりそこまでは言いません。むしろ、結婚や子供を持つことをどんどん推奨していました。おそらく、家庭を築けば簡単に辞めれないからだろうかと思います。でも結局やめる人は辞めるんですけどね。

売上、粗利、利益率、ノルマ・・・・。今では懐かしい響きです。こんなものに人生の一番いい時期を振り回されていたのだなと思うと、ちょっと切なくなります。でも悪い事ばかりではなくて、経済の構図みたいなものは身に染みつきました。だから、辞めてからも今まで、仕事をやれてこれている部分は確実にあるのと思います。


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