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新入職員教育

9月1日から新しく中途で職員を採用した。
人事異動による欠員で、約2年ぶりの職員採用。
久しぶりの新入職員教育。

入職してくれた方は、去る2ヵ月前の7月にホームを職場体験して、ホームのケアに共感してうちに決めてくれた。

初日はオリエンテーションを行い、ホームの認知症ケアの考え方等をお話しし、2日目からはOJTを行っている。

私が現場で新しい職員を教育するにあたり、業務については優先順位が低い。
業務は繰り返していれば覚えるし、業務ファーストではないので、そのうち利用者に合わせて業務も変わってしまうからである。

一番伝えなければいけないのは、
利用者さんに関わる姿勢だと考えている。

ある利用者さんの排泄介助を見てもらった。
その方は、こちら主導でケアをすると怒ってしまい、叫んだり叩いたりという行為で拒否を表す。

それなので、
まず利用者さんが今の状況を「わかる」ようにする為に
・突然本題に入らず、目の前に入って少し話して私を認識してもらう
・これから行おうとする事を丁寧に説明する
・言葉で通じない事も多いので視覚で何をするのかをわかるようにする
等がポイントだ。

ポイントを伝えながら見本を見せた。
先ずは、トイレへの声掛けだ。
人前でトイレのお誘いをするのも憚れるので、
「お花を見に行きましょう」
等と言って、席から立って車椅子に座ってもらう。
その際は、本人が
「じゃあ、行ってみようか」
と思ってくれる事を意識する。
そう思えば、自分で立つからだ。介助は要らない。

お花を少し見たら、
「ごはんを食べたので、トイレに行ってみませんか」
等の声掛けをする。
「行ってみようか」
となれば、話は早い。
しかし、そう言ってくれない場合もある。
その場合は、
待つ場合もあるし、
便座の前まで車椅子を押して行き
状況をわかるようにして再度声をかけてみる。
「行ってみようか」
となれば、次の行為の声掛けをしていくが、
そうならなければ、
自分の顔や声掛けを疑う。
信用できない・怪しい・と思われているかもしれない。
そう思ったら、
一旦職員はその場を離れて仕切り直す。

職員が離れる事で
トイレと言う状況がわかる場合もある。
車椅子で急に連れてこられて状況を理解していない事が考えられるからである。
大切なのは、言葉だけではなく状況でわかるようにする事である。

一つ先の事が認識できない場合もある。
それなので、一つづつ伝えていく事も大切だ。
トイレを前にして
まず、立ってもらう。
立ち上がる事で初めて本人も状況を認識し
「トイレに行くんだ」とわかる場合もある。
立ち上がってから、
ズボンを下げる事や
便座に座る事を
その都度一つづつ伝えていく。

これらの内容をまず見せて
説明した。
新入職員の意向を確認した上で、
夕方のトイレ誘導をやってもらった。
最初、拒否されてしまったが、
私から見た原因を説明して
続けてやってもらい
最終的に拒否されずにケアを行っていた。

新入職員にわかってもらいたいのは、
認知症の方は状況を掴みづらいという特徴と
特徴を踏まえて
職員が、環境を整えたり丁寧に声掛けをしたり段取り踏んだりする
関わり方である。

今回は、最初私がケアをして
拒否されずに介助をする事ができた。
しかし、結果として拒否されたり怒られたりしても良いと思う。
怒られたり拒否された原因を考えて、
認知症の方に合わせる関わりをし続ける
姿勢を示す事が大切だと考えるからだ。

やってはいけないのは、
怒る人だから
のように
拒否する理由を認知症の方のせいにする事である。

認知症の方のせいにして
拒否される事を前提としてケアをすれば、
拒否されたり怒られたりした事への言い訳も立つ。
仕事の価値を、業務を回す事にすり替え、
「時間がないから仕方ない…」
「他の人も居るから終わらさないと…」
等もっともらしく感じさせる事もできるだろう。

しかし、
どういう風に関わったら認知症の方が生きやすいのか
を現場から体系化していく事が、認知症ケアに携わる人の役目なのだから、
ケアのアプローチを省いてしまったら、なんの仕事をしているのかがわからない。
それなので、
一つひとつのケアを探っていく事が大切だし、
新入職員さんに対して上から教えるだけではなく、
その姿を見せる事がOJTの意味なのだと考えている。

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