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六本木の昼の顔

有名所を話題に挙げるに際し、どんな場所かという説明は共通認識もあってほとんどすることがない。だが、昼と夜で大きく変わるような街であればどうだろうか。
六本木。言わずとしれた夜の街だが、昼時のこの街にはこれと言った印象もない。
「六本木ヒルズ」以外で……と指定が入ろうものなら話題に窮すること間違いなし。
そんなデイタイムの夜の街。はたしてどんな一面を覗けるだろうか。

さて、デイタイムとは言ったもののまだ朝という時間帯。太陽の位置は低く、少し眩しく感じる。
六本木駅から市三坂を下って「THE ROPPONGI TOKYO」の角を曲がり、「ブロッサムガーデン」へ。小さな公園だが見晴らしがよく、まさに盆地という風景が味わえる。
そもそも坂の多い港区なのでおかしなことは無いのだが、高いビルが立ち並んでいるだけに面白い景色になっている。

すぐ近くの閻魔坂と呼ばれる大層な坂を登る。「六本木墓苑」に沿って道を曲がると、ツタにまみれた路地裏が。墓苑の金網や外壁に張り付いたツタは、ビルの裏側ということもあって不思議な雰囲気を醸している。

すぐ先にある公園で一休み。児童遊園という名目だが、ここに子どもは来るのだろうか。隣にある店から出てきたあんちゃんたちが、兵どもが夢の跡――昨晩の夢を道端に戻しているのだが。まあ、六本木の朝なんてこんなもんですよ……。
目を背けても聞こえてくる不愉快な音に我慢の限界を迎え、絶対に子どもが来ることのない児童遊園を出る。私も二度と来ないだろう。

さて、夜の街の名残はこれぐらいにして、昼ならではの楽しみを探していこう。
とりあえず綺麗なものでも見てリセットしたいので一旦来た道を引き返し、反対方向を目指す。

市三坂に戻り、「三河台公園」近くの信号を渡る。まっすぐ進み、大きな交差点を右に。とってもキレイな「檜町公園」に到着だ。
大きな池を、小さな建物内のベンチからゆっくり眺めることのできる、人心地つくのにピッタリのスポット。
公園内の道を歩いて、池のすぐ側まで近づく。池を囲む草木が水面に映る様はまさに緑一色。自然と調和する和風な感じがイイ。
公園とはこうあるべきだと思う。本当に……。

リセットもできたので今回はこの辺で一区切り。
昼の六本木の旅は、また今度。

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