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桜丘とさよならと

ドラマや映画などの舞台となった土地に訪れる”聖地巡礼”。近年ではその言葉を聞く機会も多くなってきたが、未だ私には縁遠い。
と思っていたのだが、意外に早くその機会はやってきた。

きっかけは、あいみょんの「さよならの今日に」のMVを見ていた時。背景に映る景色が目に付いた。
そこは渋谷。あいみょんの居るその場所は、今は入ることができない桜丘の再開発地区。
ふと、あの辺りに大きなグラフィティがあったことを思い出した。まだあるのだろうかと考え始めたら、気になって仕方がない。確かめるべく渋谷駅へと向かった。

来るたびに様変わりしている渋谷の街を眺めながら、西口のデッキを歩く。階段を降りるとさくら坂が。名前の通り、春になると桜並木が道を覆う、まさに桜丘の顔。まだ咲く様子もない木々を横目に隣の道へ。向かって左の線路側は絶賛再開発の工事中。頻繁に訪れているわけではないので、以前何が建っていたとかそういうことは全く覚えていない。当然、グラフィティの描かれたビルの所在も定かでないので、あてもなく探し回るも一向に見つからない。
観念して調べてみると、アーティストのNOISEMAKERとストリートアーティストであるWK Interactとのコラボレーション企画で制作されたグラフィティとのこと。
記載されていたビルの住所を検索してみたが、やはり再開発地区の中だった。残念ではあるが、取り壊されてしまうことも含めての企画だったらしい。

せっかくなので、NOISEMAKERの「NAME」のMVを見てみる。全く前知識は無かったのだが、寂しさも吹き飛ばしてくれる、激情的ないい曲だった。途中、探していたビルとグラフィティも映っており、画面越しではあるがもう一度相まみえることができた。
目的は果たせなかったが、出会いもあった。ここに来るきっかけとなった「さよならの今日に」を聴きながら、変わりゆく桜丘に別れを告げた。

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