いとうちえ

どんなことになるのか、とにかく書いてみます

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最近の記事

高校生の器

高校生の時、同じクラスの男子は女子に比べて圧倒的におとなしかった。3年間クラス替えは無かったにも関わらず、話した事がある人は数人だった。話してみれば気が合う人や、おもしろい人もいたのかもしれないのに、たいして知ろうともしないまま「なんか、仲良くなりたい人、いないな」なんて初めの印象だけで、上から目線で思っていた。3年生になっても名前を知らない男子がいるほど私は関わろうとしていなかった。 卒業が近づいてきた頃、いつも一緒にいた友達から「(クラスメイトの)Aくんが、お礼を言いた

    • 鬼の子 感想

      ながしまひろみさんのマンガ『鬼の子』に出てくるオニくんは、たまらなくかわいい。 すなおで、やさしくて、がんばり屋の鬼の子。 そんな子がある日突然現れて、中学生のみのると一緒に暮らし始める。 ドラえもんがいたらなぁと思うみたいに夢のような始まりだけど、そこから始まるストーリーはとても現実的だ。 私が好きなシーンの1つ、 オニくんが落ち込んだ次の日、 元気を出すぞ!とばくばく朝ごはんを食べる。 するとお母さんが “それだけ食べたらもう大丈夫“ “大丈夫だからね“ と

      • 憧れのおやつ

        こどもを育てていると、自分の時はどうだったかな、と思い出すことがよくある。 当然、時代の差があるし、私の出身は長野県、こどもたちは東京で育っていて、更にそれぞれの学校のルール、家庭環境など違うことだらけだから、「お母さんがこどもの時はね…」と話すとびっくりされるようなこともよくある。 その中でもかなり笑われたのが「きゅうり」だ。 私が通っていた小学校では行事の中に登山があった。 全校生徒が同じ山の、1、2年生は途中の神社まで、3年生からは頂上まで登る。 学校からぞろぞろ

        • 夫のこと

          私にとって「やさしい」と言えば夫だ。 夫は出会った時からずっとやさしい。 もちろん、怒ったりイライラしてる時だってあるけど、結婚して13年経つ今でも、やさしいなぁと思うし、そのやさしさに驚いたりもする。 夏に電車に乗ると、けっこうなボリュームの、大きな羽や、たくましい脚を持つ虫も一緒に乗ることになる。 手の届かない壁にとまっていてくれるなら、 「あの虫、どこの駅まで行くのかなー」なんて言えるほど余裕があるけど、移動し始めてしまうと目が離せない。 虫に触れるのが苦手な私が「

        高校生の器

          読書感想文

          岸田奈美さんの「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」を読み終わって、思い浮かべた人がいた。 ちびまる子ちゃんの作者、岸田さんも大好きだと言っている、さくらももこさんのこと。 私はさくらももこさんが好きだ。 こどもの頃からずっと作品を読んできたし、読者の一人として思い出がいっぱいある。 小学生の頃、りぼんを買ってもらえば一番先に「ちびまる子ちゃん」を読んでいたし、中学生になってからはエッセイを知って、活字だらけの本でもこんなにおもしろい本があるのかと「ももの

          読書感想文

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          これは あなたの手帖です いろいろのことが ここには書きつけてある 雑誌「暮らしの手帖」の表紙をめくると書いてある、花森安治さんの文章のはじまり。 家にあるものも、本屋さんで見かけた時も、手に取ったら必ず読んでしまう。何度でも。 厳しい事はなにも書いてないのに、正されるような気持ちにもなるし、落ち着いた、かわいい楽しみを大事に思ったりもする。 おいしいクッキーの作り方、ちょっとやっておくとうれしい掃除、冬の煮込み料理、明るく挨拶をする心がけ、靴下の編み方、香味野菜の

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