見出し画像

プロポーズ

永遠なんてものがないことを知ってもなお、私たちは永遠を望んでしまう。たとえばあなたの唇をなぞる指先の感覚や、あなたと目が合ってきらめきを瞬く睫毛のゆれる瞬間、あなたが私を呼ぶ声も、次の瞬間に消えてしまうようなものが、私には愛おしくてたまらない。瞬間のあたたかさというものは、永遠から程遠いところにあるからこそ儚くて、輝きを潜めているのかと思うとなんだかやるせない気持ちになるとともに、「私はあなたとそういった瞬間を幾つも刻んでいきたいのよ」と告白したくなるのだ。

掌編や詩を書いています。 サポートしていただけましたら嬉しいです!