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自然災害と家とお金:4-2-1. 雨水処理がキャパオーバー!それが、内水氾濫

大雨で何度も浸水被害にあった街を調査したときのこと。
お金持ちが多いある街も何度も浸水被害に見まわれていました。
他の街とは違うとある理由……。お金持ちだからこそ起きたその理由とは。

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こんばんは、あじさいです。
ついに始まりましたね、師走。
今年は忘年会もないので、その分、時間をゆっくり使えそうです。
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さて、今日お伝えするのは、「内水氾濫(ないすいはんらん)」です。
内水氾濫!?名前はあまり聞きなれないかもしれません。
実は意外にも、私たちの身の回りでたくさん発生しています。
特に、都市部で起こりやすいと言われています。
一読すれば、「あっ、あれね。」とお分かりいただけるはず。

前回の記事、大雨による被害はこちらから

内水氾濫とは?

内水氾濫を一言でいえば、
「大雨で、降った大量の雨水の排水が追い付かずに、建物や道路、街が水浸しになること」です。

内水氾濫

出典:国土交通省「近年の降雨及び内水被害の状況、下水道整備の現状について」

雨が降ると、雨水は土壌に吸収されたり、または、道路の排水口から地下に排水されますね(よく傘の柄やヒールが引っかかるところ💦)。

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内水氾濫は、排水能力を超える量の雨が降り、排水が雨量に追い付かずに建物や土地が水に浸かる現象です。「浸水害」とも言われます。

上の説明図では、雨が降って黄色い都市部のエリアでは降った雨水が排水しきれずに青い水たまりとになった様子が描かれています。

えっ、上の方に描かれている郊外では内水氾濫が発生していない!?
いったい、その理由は何でしょう?(ヒントは地面)

◆2つのタイプ
もう少しだけ詳しくお伝えすると、内水氾濫には「氾濫型」と「湛水(たんすい)型」に分かれます。

左側の氾濫型は、川の近くでなくても起こる雨水の排水能力が追い付かずに水浸しになるタイプ。
右側の湛水型は、いつもは水がたまると河川に水を流していたのに、河川の水位高くて河川に水を流すことが出来ず、結果、水浸しになるタイプ。
2019年10月に発生した台風19号で多摩川が逆流し、湛水型の内水氾濫が発生しました。タワーマンションの水害被害が話題になっていました。

気象庁_内水氾濫

出典:気象庁「防災気象情報講座⑦ 避難勧告等に関する諸情報(洪水・浸水)の技術について」

どんなところで起きるの……?

内水氾濫は、標高の低い場所であるほど発生のリスクがあると言われています。たとえば、外側から内側にかけて谷のようにくぼんでいる場所や地下室や地下街などは内水氾濫が発生しやすいです。

例えば、渋谷のような地形ですね。

渋谷

出典:国土地理院 地理院地図に陰影起伏図と色別標高図を重ね合わせ

周辺は黄緑色で少し標高が高く、円の中心当たりは色が薄くて窪地になっていますね。地名も「谷」ですし。

先ほどの、郊外では内水氾濫が起きていないのに都市部では内水氾濫が起きていた理由は、地面の違いによるものです。アスファルトは土よりも水の浸透が遅いため、アスファルトで舗装されている都市部も内水氾濫を招きやすいとされています。

水をコンクリートと土に降らせると、コンクリートは表面を水が流れてますが、土は地下に浸み込みますよね。植物に水をあげるときのように。
この違いです。

家にはどんな被害が起こるの?

ずばり、浸水です(えっ、まんまやん……)。

戸建て住宅の場合
よく、大雨のときにテレビを見ると、床下浸水、床上浸水って、出ていますね。浸水が発生します。

雨水の侵入経路としては、床下換気口の部分が挙げられます。

水のは入り口

また、洗濯機・洗面所の排水口、キッチン、トイレの排水口から逆流することにより水が家の中に浸水してしまいます。

集合住宅(マンションや団地など)

1階に住んでいない限り、家屋に水が浸入してくることはないですが、実は意外と被害が発生しています。

最近だと、2019年台風19号で武蔵小杉のタワーマンションで地下にあった電気設備などが水没し、マンション内が停電してしまいました。エレベーター使えないし、電気使えないし、トイレも使えなくなりました。このときは、エントランスなどから流れ込んだ汚水や泥が、地下にある電気室を水没させたようでした。

また、地下駐車場の場合、車が浸水、冠水してしまうこともあり得ます。
なので、地下は要注意ですね。

そうそう、冒頭の話。

答えは……、
地下室があって、駐車場が道路面から下がって傾斜している家
オシャレな家が多い地域でした。

※地下室を作ると、建築基準法では建蔽(けんぺい)率や容積率が緩和されるんですよね。土地がお高いところなので、横に大きくするよりも縦でスペースを確保することが好まれていたようでした。
また、その手のおうちは駐車場が道路面よりも低い位置(斜めに傾斜)に設置されていました。

版権フリーの写真が見つからなかったため、イメージを伝えるために近所の建物を(場所は全然違います)。道路面よりも駐車場が低くなっていて、車が傾斜している様子が分かると思います。

下り~

み、水がね…………入ってこないか心配です。

最後までご覧いただきありがとうございました!
次回は、引き続き内水氾濫についてお伝えします。
―危ない場所、どうやって見つけるの?
―どんな対策があるの?

あじさい

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