結局のところ、本体はメガネ【エッセイ】

他人が嫌がっている事を、喜んで繰り返す。

ドSなら当たり前だし、うちの2歳児にとっても至極当たり前の行動だ。
2歳児なりに空気は読むので、こちらが本気で怒っているな……と思えばさすがに続けてはこない。それでも構って欲求なのか、独占欲求なのか知らないけれど、執拗にこちらのイヤがることを続けてくることもある。

最もダメージが大きいのはメガネだ。

プロレスごっことまでいかなくても、じゃれてひっくり返して、ソファーにドンとか。クルッと回転させて床に着地、とか。うちの2歳はそういうアクロバットな遊びも好きだ。

そんなときに調子が出てくると、やられっぱなしで居ることに我慢ができなくなるのだろうか。

反撃を試みてくるのだ。
対象は主にメガネだ。

メガネというのは罪な道具だ。
私はそこまで目が悪くないけれど、伊達メガネではないし、なければそれなりに不便だ。人によっては無いと生きていけない人もいるだろう。
そして、多くの人がそうであるように、レンズに指紋を付けられるのは結構イヤだ。

そんなダメージの大きさを把握しているのかしていないのか。うちの2歳児はメガネを的確に、この生物の『急所』だと認識しており、執拗に攻撃を加えてくるのだ。

時にはメガネをはたき落とされ。時にはメガネを鷲掴みにされ。場合によっては、奪われたた挙句、食べられるということもある。

2歳の脳内には、相手の弱点を的確に把握し、そこに最も効率よくダメージを与える方法を示唆する何らかの機能が搭載されていると思って間違いないだろう。スカウターどころの騒ぎではない。

恐るべき戦闘民族なのだ。

実際、か弱い細腕でアンパンチをいくらもらった所でほとんどダメージなどない。この前、寝転がっていたところ、頭をサッカーボールの様に蹴り飛ばされた時は火花が散ったけれど、それはまれなケースだ。

そんな中、問答無用でダメージが高いのがメガネに対する攻撃である。それを的確に選択してくる2歳は褒め称えられるべきだが、加えてひとつ思うこともある。

私という存在は、むしろメガネこそが本体なのではないか、と。

メガネとは、そこが急所で最もダメージが大きく、襲われたら最初に隠す場所。とっさに守るのは頭というよりメガネ。そう考えると、やはりメガネこそが私の本体なのだろう。
寺でいうところの「御神体」がメガネで、後の建物とかは入れ物に過ぎない。体とか頭とかはメガネに付随しているだけのただの付属物なのだ。

私は今日も2歳から御神体を守り、そのご機嫌を損ねない様、こっそり念入りに磨きあげる。

無事に守り抜けるかどうか。
その答えは神様のみが知っている。



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