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君に贈る読書(ショートショートnote杯)

「とにかく今すぐこの本を返品させてくれ!」
 男は店に入ってくるなりそう叫んだ。ここは有名な魔術師がやっている魔術道具屋だ。とはいえ誰彼かまわず道具を売るわけではない。高額な金額を吹っかけ追いはらうこともあるし、逆に客と道具が呼びあっているのであれば無料で贈呈する場合もある。
 そして彼はつい先日『予言の書』を贈呈された客だった。
「何か問題でもありましたか? ちゃんと明日の自分の様子が見えましたでしょう?」
「ああ見えたさ。ばっちりだ。明日の天気から行動から競馬の予想まで完全に当たっていた」
「それは良かった。見えた情報を使っていくばくか儲けたりもしたのでしょう?」
「この数日はかなり稼がせてもらった」
「ではなぜ? なぜ、返品されるのですか?」
「僕はね――、三度の飯よりミステリーが好きなんだ。それなのに、今まさに読んでいるミステリーの犯人が見えてきてしまうんだ。こんな仕打ちにはとても耐えられそうにない」



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さて「君に贈る」「読書」でした!

「君に贈る」も「読書」ちゃんと使えたか怪しい感じになっていますね(笑 ここ数日はちょっと不穏エンドにしようと思っているので、無理やりでもこんな格好にしてみました。

変わったお題の方が書きやすいですけど、書きやすいということは誰もが思い当たりやすいということでもありますもんね。
そんな明日のお題は「初めての」「感想文」ということで、小学校の夏休みの宿題か、というね。もうちょっとお題を選んでもいいのではないかと本気で思っているところです。


#ショートショートnote #ショートショート #ショートショートnote杯 #君に贈る #読書 #魔術

「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)