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『コロコロ変わる名探偵』(ショートショートnote杯)

「じゃ探偵さん。あんたはアニキが犯人だって言うのか」
「状況からすれば間違いないでしょう。あんな力のいる犯行ができるのはお兄さんだけですからね」
 男は右手で口ヒゲを触り、薄く笑いながら答えた。彼の名前は奥平進次郎。知る人ぞ知る名探偵だ。
「でも兄さんはあのとき浮気相手と一緒にいたわよ。彼女から聞いたから間違いないわ」
「え、お前なにを……」
「なんですと!? で、ではお兄さんはシロですか。いやしかし気を取り直して考えれば簡単なことです……犯人は弟さん、あなたに間違いない! 動機もありアリバイがないのはあなただけだ!」
「いいえそれもないわ。盗聴器の音声からすると犯行時刻、弟は愛人たちと乱痴気騒ぎの真っ最中ね」
「ちょっと姉貴、盗聴はやめてよ」
「となると、犯人は……いったい……」
「あなた本当に名探偵なの? 弟でも兄さんでもなければ私しかいないじゃない。もう……華麗に自首するつもりで呼んだのに全然役にたたないんだから……」


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