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お爺さんの昔話②【小噺】

昔々、太郎という男がいました。

ある日太郎は、いい年をした大人たちがカメをいじめているのを見かけます。時間を持て余していた太郎は、無言で大人たちに近づき、有無を言わさず殴りつけました。大人たちはびっくりして、ちりじりになって逃げていきます。助けてもらったカメは言いました。
「お礼にキレイどころにお連れいたしますで、どうぞお楽しみください」
そういって連れてこられたのがキャバレー竜宮城。太郎はそこのナンバー1の子、乙姫を気にいって、それ以降足しげく竜宮城に通いつめます。

最初は良かったのですが、だんだん太郎の態度は横柄になり、何よりビタ一文、お代を払おうとしません。いい加減スタッフもキャストもうんざりしてきます。太郎がストライプの裏地のスーツを好んでいたため、「ねぇ昨日また来たよ、ウラシマ」「えーホント! お疲れー、あたし入ってなくて良かったー。サイアクだよねウラシマ」と、隠語でののしられる存在になったのでした。


……え? これも聞いたことない? なに、知ってる話と違う? ――そうかいな。「ウラシマ太郎」て、これも有名な話なんやけど。まあまだまだじいちゃんが色々話したるからな……


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「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)