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休日に向けたカスタード。

『今度うちにおいでよ。新しく買ったオーブンもあるし。料理しようよ』

あれよあれよという間に予定が決まった。

土曜日の午前9時45分。デパートの開店を待って材料を買う。
ほのかも同じタイミングで合流して3人で家に行くことになった。

4月の異動で私の職場に来た二つ年上の吉田さんは、
何事も丁寧でそれでいて勢いがあって、誰からも慕われている素敵な人だ。

何が食べたいか尋ねるとすぐさま
『肉かな。ローストビーフとか、ハンバーグとか。わかりやすいのがいい』
とのこと。じゃあミートソースは?と私が尋ねると
わかりにくいという理由で却下された。

さて。一体何を作ればいいのだろう。。。

家に帰り、昔せっせと集めていたレシピ本と、
料理番組を見てはメモして作ったファイルを開く。
あと、今も時々買っているダンチュウも。

『肉』という大きい問いはもらったけれど、
家で作る肉料理といっても限られる。
焼肉は片付けも大変だし散らかる。
ローストビーフは塊肉なのでお金がかかるし、
とんかつやチキンソテーはいわゆる『肉』とは少し違う気がする。

やっぱりハンバーグなのかな。

ハンバーグはひき肉が使えるし、サイズは思い通り、
さらにオーブンがある家なら尚更やるべき料理だと私は思う。

よし。ハンバーグにしよう。

スープは夏が近いから冷たいじゃがいものスープに。

それからデザートは…

ケーキやプリンを考えながらレシピ本を見ていると、一枚の紙が床に落ちた。

シュークリームのレシピだった。

シュークリームかぁ…

「無理でしょ。」と私の中のわたしが私に自制を求める。
その一方で、「やってみたら?できるかもよ。」と背中を押す私もいる。

シュークリームは見た目では難しそうに見えるけど、
いくつかのポイントを的確にクリアすれば形になるお菓子。だと思う。

やってみようかな。シュークリーム。。。

私は私の中にいるもう一人のわたしを説得することにした。

シュークリームには、オーブンがいる。
オーブンのある家で作るにはぴったりだ。

土曜日を前に中に入れるカスタードだけでも作っておこう。

金曜日の夜、会社を出てスーパーへ寄った。

牛乳と卵と砂糖をカゴへ。

バニラエッセンスは家にある。

家に着いて早速レシピを開く。

卵黄3つと砂糖70g。泡立て器で白くなるまでカチャカチャ混ぜて、
薄力粉30g一気に入れてダマがなくなるまでさっと混ぜる。

温めた牛乳400mlを少しずつ加え、バッ、ニッ、ラッ。と香りをつける。

混ざったら綺麗な鍋に茶漉しでこしながら移して中火にかける。

ゆっくり、それでいて隙がないように混ぜ続けてボコボコと沸騰してきたら弱火にしてもう少し。最後にざるでこして出来上がり。

カスタードを冷やして冷蔵庫に入れると一気に自信が湧いてきた。

モチモチしていて優しく甘い。明日が楽しみになるカスタード。

なんだ。まだまだやれるじゃんわたし。

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