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すっからかんになれる魔法

訪れてくださり、ありがとうございます。本記事は、米国オレゴン州・ワシントン州を中心に毎月発行されている日系紙「ゆうやけ新聞」に連載中のコラム『第8スタジオ』からの転載(加筆含む)です。本記事は250円の入場料をいただきます(場合によって変動しますのでご了承下さい)。定期購読のマガジンは1000円です。
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好きなスポーツはありますか?

なぜ人はスポーツをするのだと思いますか? 

私はこれまで、剣道、バスケットボール、バレーボール、卓球、ゴルフなど、いくつかのスポーツをしてきましたが、何をおいてもテニスがいっとう好きです。自分にフィットするのを感じます。

テニスを初めてやったのは、中学一年生のときでした(軟式テニス部に入部しました)。初日を今でも覚えています。ラケットを振る、ボールを追いかける、ラケットがボールにあたる、ただそれだけのことに心が踊りました。「出会った」と思いました。他のスポーツとはまったく違いました。

振り返ってみると、私はコンタクトスポーツが苦手だったのです。自分では明瞭にわかっていなかっただけで。

体でぶつかりあうような、例えばバスケットボール、剣道。自分の体に他人の体を触れさせることが好きではありません。とたんに萎縮してしまう。動き方がわからなくなってしまう。

けれどもテニスは違います。自分のパーソナルスペースがそもそもあって、そこに来た球を打ち返すことで成立するスポーツです。自分の場所の中なら、私は自分の行為に集中できるのがわかります。それは自分との対話なのです。他人と戦っているように見えて、私にとってテニスは、自分と戦うスポーツなのです。

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