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夕焼け新聞

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本記事は、米国オレゴン州ポートランドを中心に毎月発行されている日系紙「夕焼け新聞」に連載中のコラム『第8スタジオ』からの転載(修正・加筆含む)です。アメリカで暮らす日本人の葛藤、…
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記事一覧

人間のダメなところが出ているね

 毎年思うことだけれども「今年日本に帰れるかなあ」と心配する。仕事をどう休むか、高騰する飛行機チケットを買えるか、残してくる夫のことなども頭によぎる。  改めて思うのは一年に一度日本に帰ることのできる贅沢だ。これって当たり前のことじゃないなと思う。父と母が生きて待っていてくれる場所がわたしにとって日本で、これをあと何年続けていけるだろうなあ。永遠はないから、よけいに。  今回の一時帰国では東京ではなく関西空港を利用した。東京行きは軒並み飛行機がなかったが、関空行きならたま

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オールイングリッシュの取材から見えてきたこと

 最近の大きなトピックといえば、日本語を話せない方にオールイングリッシュで1対1で取材したこと。それも2時間!  その際、録音したものを聞き返しながら記事を書き(覚悟はしていたものの自分の話す英語がひどすぎて落ち込んだ&聴けたもんじゃない)、書いたものを英語に翻訳し、インタビューイーに送って、真っ赤に赤入れされたその英文記事を、彼の指摘した内容を漏らさないように落とさないように今度は日本語に翻訳し、それをまたインタビューイーに送って確認してもらって…ということを繰り返し、最

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現地校の代理教員になった話

▶︎季節が過ぎていくのがどんどん早くなる季節が過ぎていくのはどうしてこうも早いのだろう。先日いちご狩りに行った。広大な畑をまわりながら、最初は白い部分が目立ついちごばかりに出会ったが、そこで「この畑は今回はまだ時が来ていないのだ」と決めずに、ずんずんずんずん奥に進んでくと、真っ赤に熟れたいちごが並んでいる列を一列だけを発見した。先に発見したのは長女で、諦めないって大事だなとそんなことを思った。 人生はこれに似ている。 どこかで決めつけてしまったらもう動けなくなるということ

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パートナーシップは壊れやすい薄いガラス

早いもので3月が過ぎ、季節はもう4月。春ですね。花粉が飛んでいます。花が見事に咲き乱れています。気温はぽかぽかとちょうどいい。きっと日本では桜が美しいことでしょう。東京・千鳥ヶ淵の桜、福岡・舞鶴城の桜、とても懐かしくなります。見たいなあ。 でも遠くから見たいという気持ちを持つのがいちばん美しいのかもしれません。もう何年、日本の桜を見ていないでしょうか。 ドジャースへの大谷翔平選手の移籍は、日本でもアメリカ在住日本人においても大きな話題となりましたが、もちろんドジャースの本

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わたしの哲学では挫折は必要(レイオフの話)

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人生はどのように設計されているか

2024年が始まって2月になりました。オレゴンには寒波が来ているとのこと、皆さん大丈夫でしょうか。 どうか暖かくして、しっかり食べてしっかり寝て、この冬を乗り切ってほしいと願っています。 わたしは以前ボストンに住んでいたことがありますが、本当に冬の大変さは尋常じゃありませんでした。スノーストームで大学やデイケアはしょっちゅう休みになるし、車なしの雪のなかの赤ちゃん連れ食料調達の徒歩の苦行といったら(以下略)。 ともかくも心と体の健康が本当に大事だと思いますので、くれぐれ

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謹賀新年 「選んだことなんてわずか」

▶︎謹賀新年挨拶 新年あけましておめでとうございます。2024年になりました。 年始に能登地震が発生し、今もまだ日常とは大変に遠いということを心配しています。どうか被災された皆さんが安心と安全を1日でもはやく取り戻すことをお祈りしています。暗い始まりですが、どうかどうかその中に一筋の光を見つけることができますように。 あなたは新年の幕開けをどこで迎えましたか。初日の出を見ましたか。誰と過ごしましたか。 この原稿を書いている今は、12月半ばなのですが、私は、サンディエゴで

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体と向き合ったら心と向き合ったお話

▶︎なぜあっという間に感じるのか   今年も終わろうとしている。スクールイヤーのスタートも、仕事の開始年度もいずれも9月からなので(スクールイヤーは正確には8月だけどまあいいや)9月を迎えると毎年新しい気持ちになるのだけど、考えたら1年としての終わりまで4ヶ月しかないのだ。だから余計にアッという間に感じてしまうんじゃないかと思うのですが、皆さんいかがですか。  でもね、一方で1年のうちによくよく考えたら3回も(3回って多いよね)新しい気持ちになってるんですよ、わたし。  

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泣きそうになる

▶︎プロローグ お元気ですか。紙面に向かっている今は10月末で、街はハロウィンを直前にしてうきうきとしています。 いつもは仮装しない私ですが、今年は少し気分が違い、魔女に変身しようと思っています。 変身をお考えの成人の方はおられますか。何に擬態しますか?(興味あります) アフターコロナといわれる時期に入って以降は「イベントを楽しむ」ということの意味もまた変容しているように思うのは私だけでしょうか。 会うという重さを知りながら、人々と接していると感じます。会うというの

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お金と土地にまつわる考察

プロローグ お元気ですか。秋ですね。窓の外の景色を見ても緑は青々としていて黄色や赤になっている樹木はあまり見当たらないのですが、ポートランドの木々はどうでしょうか。秋を感じていますか。 私たちの日本では、10月初旬になっても30度を超えるといわれており(今は9月下旬)、地球温暖化は季節という概念を少しずつ少しずつ壊してくのかもしれないな、と思っています。 私が住むロサンゼルスは温暖で、季節の移り変わりが少ない地域として知られていますが、この地のすばらしさというのはやはり

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生産者と消費者の世界を行き来して

早いもので夏は過ぎ、季節は9月に突入しました。永遠に続くと思われた夏もやっぱり過ぎ去っていくんだなあと思います。まだまだ残暑厳しいですけれども。さて今回は「生産者と消費者」について考えてみたいと思います。 夏の2ヶ月、私は子供を連れて日本に帰りますが、そのときに脳内で起きる転換について考えてみたい。それは「生産者になる」ということです。

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「プラスワン」に参加して

①今年も帰ってきたよ 夕焼け新聞読者の皆さま、どんな夏をお過ごしでしょうか。私は毎夏、故郷は九州福岡に帰り、70代になる両親と1ヶ月くらい暮らしています。 子供たちは各学年1クラスしかない田舎の小学校に通い(しかも上の子に至ってはクラスに女の子2人!6年間ずっと2人という驚くべき嘘みたいなほんとの話)、初日こそ嫌がっていたものの、2日目からは「5年前から通っている子供」みたいな顔をしているので安堵しています。 同じように体験入学で一時帰国しているご家庭と連絡を取る場合が

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モテやすい人とそうじゃない人の考察

私にとって1年に一度の貴重なリセット時間、つまり一時帰国をしている。東京で数日過ごし、地元福岡に帰ってきた。 じめっとした日本特有の季節を覚悟して降り立ったが、案外からっとしていて拍子抜けした。 しかしそこから1週間後の今日、大降りである。朝からずっと雨音を聴いている。 実家の樋を伝う雨音はこれはこれで気持ちいいのだが、子供の身体中にできる汗疹(あせも)が気になるといえば気になる。あちらを立てればこちらが立たず。まあ人生、そんなものである。 昨今、世の日本は不倫に騒が

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アメリカで文学賞の授賞式に出てみた

ご挨拶 お元気ですか。今日こちらは曇天。寒いくらいです。だんだんと夏に向かって暖かく、暑くなっているのでしょうか。季節の変わり目は体調を崩しやすいですからお気をつけくださいね。                                       執筆業に従事してから7年目に入り、小説の公募に挑戦し始めてからは(おそらく)3年が過ぎましたが、日本の文芸界だけでなくアメリカの文芸界というものには常々興味をもってみていました。 日本とはまったく違うだろうと思うからです。

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