No.31～35

No.31　3月、バターミルクパンケーキ

　三月になりました。はい。バターがありません。はい。何でですか。君が完食したからです。本日は、バターミルクパンケーキを作ります。バターは？　バターミルクは、バターじゃありません。あるんですか。ありません。

No.32　草も生えない

　そこは、草一本生えていません。彼岸花すら期待してはいけない不毛の地。干からびた大地には罅が走っています。そこに彼は立っています。記憶も曖昧な中、打ち棄てられたのです。乾いた笑いすら、響きませんでした。

No.33　ジルとジゼル

　お嬢さん、どうして泣いているの？　お嫁さんになる前に死んじゃったの。愛する人と？　ええ、でも愛していたのは私だけだった。……お嬢さんは、玉乗りは好きかな？　見たことないわ。では君が泣き止むまで、ご鑑賞を。

No.34　十字路と三叉路の会話

「誤解されやすいんです」三叉路は言いました。「一本の路が三本に分かれていると」「同感です」十字路は肯きました。「十字路とは見た目だけです。路は十も分かれていません。二本の路が重なっているだけなのです」

No.35　赤い糸は巻くものです

　たぶん、あなたは運命の人（笑）なんです。たぶんなので（笑）を付けました。……コレをほどけ？　せっかく、運命の人らしく赤い糸を用意したのに。あなたが（笑）じゃなくなれば、考えますよ。頑張ってくださいね♡