No.41～45

No.41　「パースペクティブって何ですか？」

　用語だよ、建築に写真に……哲学に心理学？　守備範囲広すぎますよ、意味は？　見方とか、見通しとか。それでいいじゃないですか、わざわざ英語使わなくても。見映えがいいんじゃない？　先輩は、カッコつけなんですね。

No.42　ライオンじゃないハート

　君がかわいい。誰よりかわいい。それなのに。どうしてあのとき、手を伸ばせなかったんだ？　僕がかわいいのは僕だったのか？　「君を守るため、そのために生まれてきた」んじゃなかったのか？　僕はもう、自分に酔うしか

No.43　ブランケット・ガール

　彼女は都市伝説だった。特徴は一つだけ。毛布を纏っていること。彼女に訊ねていいのも一つだけ。「毛布を一枚」彼女は一枚しかないソレで訊ねた人間をくるむ。それ以来、ただのガールになった彼女は僕のそばにいる。

No.44　ZZZ

　彼のいびきはひどい。大音量なのは当たり前。ほら見ろよ、口から鼻から出てくる出てくる。ZZZ。どのZも人間大。今や、部屋のどこを見てもZZZ。彼は寝てばかりで、僕が圧死したことに気付きやしない。

No.45　加藤とショコラ

　加藤は、ガトーショコラを自分の心臓だと考えていた。「あんなに黒焦げにされちまって」加藤は心臓を取り戻そうと、ワンホールをまるごとほおばった。それは甘くほろ苦く、加藤を人間不信にするには充分だった。