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No.76~80

No.76 逢魔が時

 君は、勘がいいらしいね。……誰でもわかる?そっか。でも、わざわざ気にかけてくれる人はめずらしいんだよ。少なくとも、僕にとっては。……止めるつもりはない?ありがたいね。じゃあ、あと五分だけ話してもいい?

No.77 有神論者

 神はいます。冗談ではありません。私は、この目で見たものしか信じません。ええ、見たのです。この目で。神を。この世の全てを。あなたにも、お見せしたいです。じっとしてください。今、眼球を取り換えますから。

No.78 収穫祭

「よしよし、今年は豊作だ」「不作続きだったからな」「これを見ろ。稀に見る別嬪だぞ」「良い値が付くな」「で、こっちは……器量も悪いし、頭の出来も期待できないな」「出荷は無理だ。チッ」「ごめんなさい」

No.79 白虹貫日

 よく晴れた日だった。アスファルトの照り返しがひどく、目に見える全てが生白い。何もかも、静止してしまったように見える。本当に、止まればいいのに。ずっと、このまま。そう思った。次の日、世界は終わった。

No.80 dizzy...

 八月一日。炎天下。雨傘を差す僕。を、奇異なものを見る目、目、目が刺す。「どうしたんです?」誰かの声がした。「雨を待っているんです」「こんな所で?」「このまま溶けてしまうのも、一興だと思いません?」

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