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No.96~100

No.96 tiny

……僕ですか?気付かず、すみません。何しろ、僕はそこら中にいますから。……はい?ええ、そうです。そこら中にいます。ほら。この人も僕で、僕はこの人です。あの人も、その人も……。あなたも、僕ですよね?

No.97 ( )粥

 その粥は、ずいぶん薄かった。君が持っていた、残りわずかな米の。塩も振りかけていない椀の中へ、涙が次々にこぼれ落ちる。君を匿ったのは、自分のためだったのに。礼なんて、君がいればそれだけで。俺は。

No.98 wind rose

 その針は、僕を指している。次は、どちらへ向ければいい? 生きるべきか死ぬべきか。多数決は、満場一致の後者。けれど、他人に委ねていいんだろうか? その時、風が吹いた。針は振れ、遥か彼方へ飛んで行った。

No.99 シャーデンフロイデ

 君が嫌い。僕の落涙で君は哂う。気に入らない。「生かさず、苦しめ」何度も願った。でも君なんか目にしたくないし、その血で汚れたくもない。ある日突然、君は×んだ。惨憺たる最期だったとか。僕はやっと笑えた。

No.100 etc.

 僕は僕で違いない?「今のところは」君は君で違いない?「いいえ。私はあなたの知る私じゃない」……。「冗談よ」僕が僕であること、君が君であること。不変じゃないんだね。「変わるからこそ、あなたが好きよ」

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