小説「僕の心臓を使えばいいよ」
優しくもあり、残酷でもある世界。
人に優しくありたいと思うことはあるけれど、実際に十分な優しさを持って人と接することができているとは言えない。
相手の感じ方まではコントロールできないし、無意識に傷つけていることもあるからだ。
もしかしたら、優しさで満ちた世界はただの理想なのかもしれない。
ただ、最後くらい、誰かに優しくありたい。
そういうわけなので、君に僕の心臓をあげる。
だって、ただで死んだらもったいないだろ。
使ってくれ。そして、僕の代わりに生きてくれ。
これは悲しい別れではなくて、君が再生する物語だ。それじゃ、僕は先に行くね。おやすみ。
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