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【24時間TV】「安い感動(笑い)」が地球を救う?岡田斗司夫氏の主張をめぐって~第3回~

■シリーズ概要

この記事は、全4回にわたるシリーズの第3回目である。全5回になるおそれあり💦

本シリーズでは、毎年夏に放送される「24時間テレビ」と、NHKの「バリバラ」の対立を中心に、感動ポルノと呼ばれる問題に焦点をあてる。

さらに、岡田斗司夫氏の主張を通して、現代のメディアがどのように障害者をえがき、視聴者にどのような影響を与えているのかを考える。

そして最後に、24時間テレビに投げかけられた問題の論点は何なのかを明らかにし、今後の障害者に関するメディアのあり方を提示したい。

■前回のふり返り

前回は、岡田氏が自身の主張を述べるにあたって使用しているふたつの概念、すなわち
1.「安い/ベタな感動(笑い)」
2.「高い/高尚な感動(笑い)」
について、それぞれがどのようなものであるか、具体例を用いて解説した。
前回の記事はこちら👇️

今回は、この「感動(笑い)」の種類を用いた岡田氏による「バリバラ」批判を見ていきたい。


1.岡田氏のバリバラ批判

まずは、岡田氏が動画内で述べている批判をそのまま載せる。かなり長いので、必要であれば次の項まで飛ばしてもらっても構わない。

24時間テレビの感動ポルノを笑い者する、つまり優越性の笑いにズラして笑いを取ろうとするNHKは、募金金額を減らす役割しかしていない。

「笑いが地球を救う」というならば、民放のドラマの中で民間のサラリーマンが、スポンサー至上主義や視聴率至上主義の中であくせくしているサラリーマンクリエイターの姿なんて、これまでのバラエティの中で何回も描かれている。

悪辣なNHK集金人の苦労の話をおまえらドラマで作れよ。コントでやれよ。
「さぁ、コイツからどうやって金とってやろうか」
「NHKです」
「ドアが開いた!さぁ足を突っ込んでやれ!」
というコント番組を作れるんだったら「笑いは地球を救う」と思う。それは自分を笑える覚悟があるから。

そうじゃなくて日テレの24時間テレビを用意して、わざわざ笑いに行ってすぐに帰ってくるという、そういう卑怯な手だけやってるようなやつらは、大人とは思えない。それは子どもが大人をからかってるだけ。

バリバラは障害者に対する認識を一変させた、それはいいことなんだけど、だからといって、”バリバラの今回の番組は素晴らしい、24時間テレビはダメ”っていうのは考え方として安直。

世の中にはベタでしか感動できない人がいる。それは身体障害者と同じように感性の問題、能力の問題なんだ。

ベタでしか感動出来な人がいる。それなのにベタを笑うような番組を作っちゃうとそれは世の中の大半であるセンスが古い人、センスが遅れている人、難しい笑いをわからない人を差別しているということ。

バリバラがやったことは、知的に劣る人、センスが劣る人を笑いものにすることで成り立っているようにも見えるのでそんなもんなんだなと思った。

岡田氏が主張を展開している動画を下に貼っておく。


2.岡田氏の主張の要約

岡田氏の主張を要約すると次のようになるだろう。

「24時間テレビ」は「感動ポルノ」すなわち「安い/ベタな感動(笑い)」である。しかし、世の中の大半は、それでしか笑えない人々なのだ。

そういう人々というのは、身体障害者と同じである。つまり、「知的に劣る人たち」なのである。

「バリバラ」は、障害者の認識を一変させたという意味では、いい番組だと思うが、「24時間テレビ」のような「安い/ベタな感動(笑い)」でしか感動できない人々を差別している。

そうして、募金金額を減らす役割しかしていない。それは障害者にとってデメリットでしかない。

そして岡田氏は、「もしNHK(バリバラ)が、自分自身のことを笑う番組、要するに「安い/ベタな番組」を作り、それで笑いを取るということであれば、「笑いは地球を救う」と言えるかもしれない。それは、自分を笑う覚悟があるからだ。しかし、それをしないNHKはその程度のものである」とも述べている。

3.「高い/高尚な感動(笑い)」とは

岡田氏は「高い/高尚な感動(笑い)」の作品を「ハイドラマ」と名づけ、次のように説明している。

「ハイドラマ」とは、ドラマの中で”泣くシーン”や”回想シーン”、または”セリフそのもの”などで感動や笑いを誘わないドラマである。言い換えれば、「安い/ベタな感動(笑い)」をさせるシーンを作らないドラマ形式だ。

「ハイドラマ」は、観ている人の心の中に”感動”でも”違和感”でもいい、はたまた”やりきれない気持ち”や”誰に怒ったらいいのかわからない複雑な気持ち”でもいいので、とにかく”心が動けばよい”とされるものである。

なお、「ハイドラマ」の対極にあるものは「ロードラマ」であり、それは「安い/ベタな感動(笑い)」の作品のことである。

4.「ハイドラマ」よりも高度なドラマ形式

岡田氏は、「ハイドラマ」よりもさらに高度な技を使った作品として、ふたつあげている。

ひとつめは、「ハイドラマ」をズラして「笑い」にしようとした『アドベンチャータイムズ』、ふたつめは「ハイドラマ」を「安い/ベタな感動(笑い)」にズラした『君の名は。』である。

■まとめ

今回は、岡田氏による「バリバラ」批判について見てきた。次回は、これを参考に、「バリバラ」の「感動ポルノ」批判について見ていきたい。

⬛︎YouTubeライブでも触れました

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