【花と少年】

心地よいまどろみから目を覚ますと、目の前には一面の花が咲き乱れていた。
そのどれもが紫色の綺麗な花だった。
ふと立ち上がろうと手を地面に置くと花を潰してしまった。
あっと思い手を持ち上げると手のひらは赤く染っていた。
これは一体?ここはまだ夢の中?
今度は思い切って立ち上がり少年は歩き出した。しばらく歩き続けてもどこまでも果ては見えずどこまでも花は咲いていた。
足を進めるたびに花を踏みつぶす。そのたび花からは鮮やかな赤いしぶきが舞い上がり花びらを散らしていた。
やがて目の前に1人の少女が立っているのが見えた。少女は紫色のワンピースを着ていた。
少年は走り出し花はそのたびに散っていった。
少女の元へ辿り着き少年は問う。
みんなはどうなった?
少女は何も答えずすっと少年の足元の花を指さした。目をやると足元にはいくつもの少年が転がっていた。
ああ、そうか…。次の瞬間少年の体からは血が溢れやがて少年も花になった。
その花を少女は愛しそうにひとつ摘んだ。