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15.分からないことだらけの1日〜朝


翌朝(というか昼頃だった気がしますが)僕が目を覚ますとKさんはコーヒーを飲みながらテレビを見ていて、目覚めた僕に気づくと「よかったらたいも飲むかい?」とコーヒーを淹れてくれました。僕がそれを受け取ると、

Kさん「ところでたいはなんでソファーで寝てたの?(笑)」

と聞かれました。僕は全く意味が分からなくて、『え?どういう意味ですか?』と聞きました。

Kさん「君は女の子との経験はないの?」

質問に質問で返されて、まだ頭が回らない僕は何も入ってないブラックのコーヒーを飲みながら、寝る前のことを思い出そうとしました。

Kさん「何を言ってるか分からないって顔だね(笑)たいが何もしてこないからって、Rちゃんは先に帰っちゃったんだよ」

僕の頭の中は『?』でいっぱいでした。どうやらKさんが僕に言いたかったのは、Rちゃんは『何か』を期待したままベットで朝まで待っていたらしいということのようでした。

たい「え、でも僕はRちゃんと初めて会ったばっかりだし、そんなことはないと思いますよ?」

Kさんは慌てて答える僕を見ると、昨日の言葉の意味を教えてくれました。

Kさん「昨日俺は『Rちゃんはベットで寝てるから』、『好きなところで』って言ったよね?Rちゃんがもしそんなことを望んでなかったら、最初から『たいはソファーで寝なさい』って言うと思わない?(笑)」

僕は何か手品のタネ明かしをされたような、理屈はわかるけどイマイチ理解できないような…なんだか腑に落ちない感覚になりました。あと『そんなつもりはなかった』僕の気持ちが、置いてけぼりをくらってまだ追いついてきてなかったように思います。

Kさん「もしかしてたいは男の方が好きなの?(笑)もし俺がたいの横で寝てたら嫌じゃない?」

僕はなんとなく『嫌かどうかよく分からないけど…Kさんだったら嫌じゃないと思います』と答えました。少し驚いたKさんは、そのあと大きな声で笑って僕の頭を軽く叩いて言いました。

Kさん「君は面白い子だね!今日はこれから出掛けるから無理だけど、また今度ゆっくり話そうか。たいの時間があるときでいいから連絡しておいで」

そう言うと、ラフな格好だったKさんはまたスーツに着替え始めて、その間に僕はコーヒーカップを2つ洗いました。そしてKさんの支度が終わると2人でKさんの家を後にしました。僕は面白いことを言ったつもりはまったくなかったけど、『男の人が好きかどうか分からないのにKさんだったら嫌じゃない』と無意識に思ってしまったことに気付いて、自分でも不思議な気持ちになりました。

僕はお気持ちだけでも十分嬉しいのです。読んでくださってありがとうございます🥰