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提供する価値に焦点を

ここ数日、いくつかのピッチ壁打ちをさせていただく中で共通してお伝えしたことがあったので、ピッチではなかったとしても誰かに何かを伝えようとしている方にとって参考になればと思い記しておく。
(それはもしかしたら自分自身かもしれない。岡目八目とはいうものの、自分自身を振り返って出来ているかと言えば疑問符が付くため)

「今度、新規事業としてこんな事をやろうと思ってるんです。良いと思いませんか?」と、やること自体、すなわちソリューションを伝えること自体は悪い事ではない。
でも、本当に伝えるべきは行う事そのものよりも、まずはそれによって誰にどんな価値を提供できるのか、という事。

顧客が製品やサービスを購買するのは、ソリューションではなく得られる価値を求めているからだ。
「ドリルを買う人が求めているのは”穴”である」という言葉を聞いたことはないだろうか?
どんなに優れたドリルを開発したとしても、結局のところドリルの役割は穴をあけることであって、その効果を欲していない顧客には売れないということ。

また、伝える側にとって、誰が顧客なのかを見つめ直すきっかけになる。
先ほどの例で「効果を欲していない顧客には売れない」とは言ったものの、何をもって効果とするかはターゲットとする顧客次第であり、言い換えれば顧客設定が適切に行われているかどうかの問いかけともいえる。
例えば、一般的にはドリルの価値は穴をあけることだが(だからこそ先ほどの理由につながる)、中には穴をあける以外の用途(美術品として眺める)として捉える人もいるかもしれない。
それならば、何をもって優れているか、そのターゲットとなる顧客が求めているものは何か、今現在世の中に存在する代替品では満足できていないポイント(課題)は何なのか、それらを見つめ直すことにつながる。
ただ漫然と良いもの="誰にとってもあったら良いな"レベルのものではなく、"特定層にとってぜひ欲しい"製品・サービスを開発していこう。

なお、広く聴衆に伝えるときには、実際にそれが求めている顧客の存在を明示していこう。
匿名化はするにせよ「具体的にこの人です」と指し示せるような存在を伝えられることが望ましい。
たかだか数十人に取ったアンケートの中で「こんな製品・サービスがあったら欲しいと思いますか?」を示したところで大した意味はない。
そんな実在するかどうかも分からない、社交辞令で答えたかもしれないアンケート結果ではなく、実際に買ってくれる最初の一人の声を届けていこう。

審査員がいるような場においても、審査員自身、あなたが取り組もうとしている製品・サービス分野の専門家ではないケースがほとんど。
たまたま審査員の専門性やこれまでの経験からの共感で高評価を得る可能性もないわけではないが、それはまぐれ当たりのようなもの。
与えられたわずかな時間でまぐれ当たりに期待するのではなく、「あなたは違うかもしれないが、少なくともこの人には心の底からほしいと思われているんです」という"事実"を伝えていこう。

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