見出し画像

Startup Weekend田川vol.3

はじめに

先週末の3日間、11/10-12の日程でStartup Weekend(以下、SW)田川vol.3が実施され、ファシリテーターとして務めさせていただきました。

StartupWeekendとは?といったご説明は先だってのSWファシリテーター就任所信表明内で記載しておりますので、そちらをご覧いただければ幸いです。

また、当日の様子など、公式レポートはオーガナイザーにより作成予定ですので、こちらは私目線からのレポート、裏話に書かせていただきます。

SW田川の始まり

SW田川のはじまりについては、2021年の初開催時のレポートとしてまとめていますので、そちらをご参照ください。

長々と呼んでいる暇がない、という方向けに超ざっくり書くと「SWを知った田川市役所の職員であるユキさんが、四国開催SWに参加ののちSW北九州オーガナイザーを経て、念願のSW田川を実現した。」という流れです。
ユキさんが居なければSW田川は無かった、と言っても過言ではありません。

そのSW田川は2021年にvol.1、2022年にvol.2を開催しており、その両方にオーガナイザーとして関わらせていただきました。田川の方々には「私がオーガナイザーとして関わるのはvol.2まで」とお伝えしていた中で、その後私がファシリテーターとなったことで、vol.3にも立ち位置は変われど関わらせていただくことは、逆にいえばオーガナイザーコミュニティとしてもきちんと自走できているという事の証左とも感じ、SW田川オーガナイザー卒業生として嬉しい限りでした(私がvol.2までしかオーガナイザーをやらない、と宣言していたのは、まさに自走を促すためでした)。

SW田川vol.3に向けて

とは言いつつも、SW田川の開催準備が順風満帆だったわけではありません。SW田川オーガナイザーの中には葛藤がありました。
vol.1、vol.2と回を重ねていく中で、協力いただいている方も少しずつ増え、特に今回はスポンサーでありながらも積極的にMTGにもご出席いただき、最終的には会場まで提供いただいたサポーターもいらっしゃり、vol.2では全面的な協力をいただいた方もいらっしゃいました。
そんな中でも、SW田川オーガナイザーの中では「このままで良いのだろうか?」という想いが渦巻いていました。

「もっと街を巻き込めないか」「もっと参加者に多様性を持たせられないか」「どうすればもっと田川にとって良いSWになるのか」

その様な、安定を求めればきっと順風に準備を進められた中でも、敢えて逆境を選択していくオーガナイザー達に逞しさと誇らしさを覚えつつ、ファシリテーターとして見守るばかりでした。(誤解されがちですが、ファシリテーターはあくまでも開催サポート要員であって、主催者はオーガナイザー達。そこをずらしてしまうと、結局のところオーガナイザーも単なるスタッフになってしまい、SW本番内で伝えていた「No talk, All action」から外れていってしまうのです)

その葛藤、試行錯誤の結果として、SW田川vol.3はこれまでの会場ではなく、プレイベントを田川伊田商店街内のシャッター店舗、そして田川伊田駅舎からは徒歩17分程度の株式会社 楠本浩 総合会計事務所 筑豊オフィスにてワークショップを実施し、最終発表はvol.2と同じ田川伊田駅舎内会議室で実施することとなりました。(これに関連して学んだ点は色々あったのですが割愛。一言で言うと Learning by Doingを実践した、という事です)

結果的には、この選択は間違えてなかったと振り返っている今では思います。商店街内でプレイベントを実施したことで、商店街のインスタにも取り上げられており、地域内での告知はもとより、関係性としてつながりました。

また、会計事務所の会場は広々として利用可能で、6チームに分かれてのワークにも不自由さがなかったのはとてもありがたかったです。

広々としておりチーム間の机の幅も十分に取ることが出来ました

こうした決定を下すためにも、オーガナイザーチームは頻繁にオンラインミーティングや現地確認を繰り返し、着々と準備を進めていきました。

SW田川で感じたプログラムの妙

そうして実施されたSW田川において、私はSWとしては熊本、名古屋に引き続き3回目のファシリテーションを行わせていただきましたが、改めてSWプログラムの妙について感じさせられた次第です。(一応捕捉しておくと、「妙」というのは”巧みである”という意味であって、”珍奇である”という事ではないので悪しからず)
1回目2回目は人数規模もそれぞれで私自身もまだ完全に慣れてはいない、という状況で妙を感じるところまでは至れていませんでしたが、特に10/20-22の名古屋でのファシリテーションと翌週10/27-29の北九州でのリードオーガナイズ、そして今回のSW田川でのファシリテーションを短期間で実施した事でも改めて感じた次第です。
そうして感じたいくつかをご紹介できればと。ここからは実際に(他地域ででも)参加した事がある人向けの記述になるので、そうでない方にはいまいちピンとこないかと思います。

妙①:チーム数コントロール

複数地域で(正確には複数ファシリテーター)の回を経験した方ならお気付きかもしれませんが、初日のチーム形成のプロセスも、ファシリテーター次第、かつ参加者規模で少しずつやり方が違ってたりします。

60秒ピッチの後、すぐに投票させるファシリテーターもいれば、半分ずつに分けて相互に説明させる時間を作るファシリテーターもいる。投票後もそのままチーム形成に進むファシリテーターもいれば、いったんそこで改めて発表させるファシリテーターもいる。そして投票で何割のアイデアを脱落させるかもファシリテーターそれぞれで微妙に違う。

この辺りは「全世界で同じプログラムを提供するのがSWの魅力」と言いながらも少しずつブレているのがSWの魅力でもあると感じています。
たとえるならば、ラーメン二郎では三田本店の味が本家本丸とされながらも、量を重要視する神田神保町店や野猿街道店、マイルドさが魅力の目黒店や府中店、まぜそばが売りの関内店などでそれぞれ異なり、またその店舗でも毎日同じ味ではないというブレがあるからこそ、ジロリアンは各店舗巡りをしてしまうという魅力を感じるのと一緒ではないかと思います。
…すみません、思わず脱線してしまいました。ちなみに2022年時点で一旦福岡県内の二郎系全店を回った際に書いた下記の記事が私のnote内で最もコンスタントにビューがある記事となっており、コンテンツってすごいんだなぁと思った次第ではありつつ、その後出来たお店でまだ2店ほど行けていない宿題があるのでいつ更新しようか悩んでいたりします(またもや脱線)。

話を戻すと、そのようなバリエーションもありつつ、出来上がるチーム数=チーム内人数の平均値をどう持っていくか、という点もファシリテーターによって傾向が違うと思われます。
私はどちらかというとチーム内人数は少な目(3~5名)が適切と感じているがゆえにチーム数は多くなるような誘導をしたりするのですが、逆にチーム内人数が多い方が、分裂や移動が発生しやすくなったりもするので、それはそれで醍醐味になったりして、これはどちらが良いというよりはどちらも良いな、というところです。

妙②:コーチングタイミングと時間

コーチングのタイミングこそ全世界で二日目の14:00~16:00と決まっているものの、コーチを何人呼ぶか、あるいは各コーチに何分ずつチーム対応をしていただくか、という点もファシリテーター次第で違っていたりもします(コーチの人数はオーガナイザー次第でもある)。
地域によってはコーチを3名しか呼ばないところもあれば、6名以上呼ぶ地域もある。そしてコーチングの時間も1枠20分の所もあれば20分の所もある。地域によっては(本当はあまり推奨されないとは思うが)コーチング経験があるオーガナイザーが3日間会場にいて参加者フォローにまわるケースもある。

ここにも実は正解はないな、とは思う一方で、SW内で参加者の立場およびコーチングをした経験からすると、正直、20分の枠だと深掘りし難いし、何人ものコーチと話をすること自体はそんなにプラスには働かないのでは、とも感じています。そのため、私がファシリをする場合は1枠30分という比較的しっかり会話が出来て、かつ、1チームにつき2名~3名のコーチが付くような設計にすることを心がけています。
1枠30分にすると2時間というコーチング時間の中では最大4名にはなりますが、2時間の中でずっとコーチングを受けている状況にしてしまうと、チーム内で振り返り、見直しを行う時間が取れなくなってしまうのですよね。
そうすると結局延々とサンドバックになるだけの時間になってしまい、返って聞いているだけの人になってしまう恐れがあると感じています。

とはいえ、この時間が2日目の14:00~16:00というのも極めて絶妙だなと思ったりします。おそらくこれよりも前だと全く芯も固まらない状況でコーチングを受けてふらふらするだけでしょうし、これより後だとコーチング後からの巻き返しが難しくなってしまうでしょうし。
(私が知るファシリテーターのほとんどは2日目の夕食はチーム混在で夕食を取らせているというのもあり。この時間自体、チームでのワークにあてるべし、という意見もあるかもしれませんが、やはり少し離れた視点から互いのアイデアを見つめるきっかけを得るのは悪いことではないと思ってます)

妙③:審査基準

SWの審査基準は全国共通で「Validation」「Execution&Design」「Business Model」の3つです。要は「足を動かしたか、手を動かしたか、頭を動かしたか」ですね。
これに対して、起業経験者であるジャッジからは「チーム構成や個人のWill(Why you)、そしてビジネスの成長性などは審査基準に含まれないのか」というお声を良くいただきます。
これに対しては私は「この3日間はあくまでも起業家の行動様式を実践できたかのプロセス評価であって、会場内でたまたま出会ったチームメンバーの強みなどを発表してもあまり意味がない」とお伝えしていたりするのですが、改めて感じるのは、「SWではなぜ審査、そして評価をするのか」という事です。

SWに参加し慣れている方からすると「1~3位を決めるのは当たり前では?」と思われるかもしれませんが、ワークショップ形式でチームに分かれて3日間を過ごしているというだけで、順位付けをしなければならないという理由にはならなかったりします(実際、総評としてお伝えして1~3は決めない事業も多い)。

でも今回、SW田川を実施してみて思ったのは、「順位をつけるのは参加者を悔しがらせるためであって、それが故に審査基準にチーム編成や個人のWillを入れていないのだ、とも思い至りました。
個人のWillを審査基準に入れてしまうと、当然それが強い人の方が入賞しやすくなり(どう図るかはさておき)、結果的にその人は受賞したことに満足してしまい、次の1歩を踏み出さなくなってしまう恐れもある。
また、チーム編成を審査基準に入れると、複数回参加している人の方が有利になりすぎる上に、広く多様性に開かれているプログラムなのにスキルを持った人がもてはやされ、そうでない人はないがしろにされてしまい、SWが目指すアントレプレナーコミュニティ形成からは外れてしまう、ということと感じました。
もちろん、チームを上手く編成したほうがそのあとの分担も含めて3日間を効果的に過ごすことが出来るのは間違いないとしても(今回の優勝チームはまさにそれだったかと)、それだけじゃ基盤形成としては意味がないのだな、と。

逆にWillが強すぎるがゆえに会場内では協力者が少数しか得られず、悔しい想いをする人も出るし、仮にチームを形成できたとしてもそれだけでは入賞が難しいとなれば、受賞を逃して悔しい想いをする可能性は高い。
でもそれが次のActionに繋がる原動力になるのでは、と、これまでSWを通じて起業したり、プロダクトを製作していっている過去参加者を思い返すと自分の中では腹落ちする部分だったりします。むしろ悔しい想いもせず楽しかった、だけで終わってしまっていては、単なる娯楽であってアントレプレナーとしてはまだまだ、ということになるのでは、とも思えた場面もありました。巷には「ワークショップ温泉」「セミナー温泉」という言葉がありますが、「SW温泉」もまた存在する、という事でしょうね。

特にこの記事の締めの部分。

 ワークショップ温泉、たまには、よいのかもしれません。
 また、働き過ぎで底冷えを体験している日本の組織で働く人にとっては、温泉につかるくらいが、ちょうどよいのかもしれません
  
 しかし、あんまりつかりすぎていると、ふやけてしまいます。
 あんまり入らないでいても、体が冷えてしまいます。
  
 あまりにも凡庸で、あまりにも月並みですが、「何事もバランス」ということなのでしょうか。
  
 そして、このことは、ワークショップを時折なすものとして、心にとめておきたいと思います。
 自戒をこめて
   
 そして人生はつづく

この言葉はとても大事だなぁ、とファシリテーターとして改めて感じた次第です。

そうこうしているとまた5,500字を突破して6,000字に到達しかねない勢いなのでそろそろ筆をおくとして。
もはや連続してやり過ぎて少し感覚がマヒしてきましたが、次回は12/15-17のSW苫小牧、1か月後という事でちょっと期間が空いている感すらしています(笑)
ちょうど昨日プレイベントが行われた苫小牧ではどのような場になるか、とても楽しみです。まだお席に若干の余裕もあるようなので、気になる方はぜひお越しくださいませ。皆様にお会いできるのを楽しみにしております。


いただいたサポートは、地域の課題をITの力で解決するITコミュニティ「Code for Kitakysuhu」の活動や、北九州市内のテイクアウト情報を提供するサービス「北九州テイクアウトマップ」の運営に充てさせていただきます。