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糸川、SW北九州オーガナイザーやめるってよ


SW北九州オーガナイザーとしてのこれまで

タイトルの元ネタとなった小説/映画が既に10年前のものという事実におののきつつ書き出し始めたわけですが。
おりしも昨日はStartupWeekend(以下、SW)北九州では第10回の開催に向けたプレイベントを開催しました。

オーガナイザー含めて20数名が参加
アイスブレイクとリーンキャンバスについて学びました

私の記事を読んでいただいている方には既に説明不要かもしれませんが、SWって何?という方はまずこちらの記事をお読みください。

SW北九州vol.10は来月10/27~29の日程で開催予定です。北九州市の中心からは少し離れた場所での開催ですが、宿泊付きチケットもありますのでご興味のある方はぜひご参加くださいませ。

そしてそんなSW北九州vol.10のプレイベント終了後のオーガナイザー懇親会の冒頭で宣言しましたが、このvol.10の終わりをもって、私はSW北九州オーガナイザーを引退しようと思います。
懇親会内でも「ショック…」「なんで?」という声をいただきましたので、改めて詳細を現オーガナイザーの皆さま、そしてこれまで関わっていただいた方々にも向けて記しておきたいと思う次第です。

SW北九州オーガナイザーとしての目的

思い返せは2017年のvol.1開催のサポートから始まり、vol.2からは正式にオーガナイザーとなりvol.10の今回まで長らくSW北九州を一つのライフワークとして取り組んできました。
そもそもSWだけでなく、私がやりたいことの根底には「北九州の人たちが北九州のことを好きなのと同じ位、北九州に誇りを持てるようにしたい」という想いがあります。この件に関しても語ると長くなるので割愛しますが、元々システムエンジニアの私にとっては、この状態は紛れもなく「バグ」であり、諸々の活動の根底は「バグつぶし」と言い換えることもできます。
その様な活動の一環として北九州で始めたのが「北九州みらいのビジネス創り対話会」でしたが、その中で共助が公助と絡むとどうなるか、という事を身をもって実感しました。これも簡単に言うと、公助が絡めば絡むほど共助の結果生み出されたかもしれない自助の可能性がつぶれてしまう、という事です。その様なこともあり、対話会は2年で終了し、おりしも別軸で開催されていたSW北九州に活動を移転した、という経緯があります。

この中で私が目的としていたのは、「北九州は昔も今もこれからも熱い街である」と、まずは起業家・投資家や起業支援者に刮目して見ていただきたい、という事。すなわち、SWにおいてはコーチ・ジャッジ・スポンサーの方々に地域と繋がっていただくことでした。
何より北九州にかかわりを持って先陣を走られている方々に、北九州のポテンシャルを見限っていただきたくない、ということです。
そうしてvol.1からお声がけしてきた方々は実にコーチ・ジャッジだけで65名にのぼります。この他にもスポンサーとして関わっていただいている方も含めると、100名まではいかないものの近い数字になります。
このような方々も含めて、地域内のアントレプレナーコミュニティの一員として共に盛り上げていただいてきたことは、オーガナイザー冥利に尽きます。

SW北九州オーガナイザーとしてやってきたこと

少し前述と被りますが、私がSW北九州オーガナイザーとして自身に課してきたのは、「繋ぐ身」であり、あくまでもヨソモノであるということ。よく「地域を変えるのは、ヨソモノ・ワカモノ・バカモノ」であるといいますが、私はこれは少し違うと思っていて、きっかけを与えることは出来ても、本当に変わっていくかどうかは、その地域内の方々・全年齢の方々次第だと思っています。
その様な意識のもと、私はvol.2からvol.5まで自分の名前をイベントページには載せていませんでした。

状況が変わったのがvol.6です。当初vol.6は2020/7/10-12開催に向けて、同年1月から準備を始めていました。そこに襲来したのが某流行り病。日々世の中のモードが暗くなっていく中、どうすべきかという検討が繰り返し行われた結果、4月中旬には延期を決定しました。7/10開催に向けては5月頭がイベントリリースになるため、ぎりぎりのラインでした。
参加者こそまだ募っていないものの、関係者(コーチ・ジャッジ・スポンサー)への連絡に追われたり、せっかく作ったフライヤーがお蔵入りになったりと、オーガナイザー内に暗雲が立ち込めます。
状況が分からないなりに、いったん延期先は2021/1としました。
そうこうしているうちに、当初キックオフで集ったオーガナイザーメンバーも社内事情やご自身の事情で一人減り、二人減り…。
そうした中でも準備を進めながら迎えた2021/1、再び緊急事態宣言が発令。この時の宣言は知事すら寝耳に水状態であり、日本中が混乱のさなか、翌週に本番開催を控えていた我々オーガナイザーも手が空いている人でひたすら延期対応をこなすという経験をしました。
その後、再延期を経て3月19~21日に開催できたものの、オーガナイザー陣は疲労困憊で、当日の運営に携わったのは3~4名程度。そしてイベント終了後、多くのオーガナイザーが継続しない道を選択しました。(これは本当に致し方ないと思ってます)

ここに及んで、私自身も次のvol.7を正念場として捉え、リードオーガナイザーとして務めることを決意、声掛けられる人には声をかけまくりオーガナイザーに勧誘していった結果、vol.7は7名⇒vol.8,9は15名⇒vol.10は19名とオーガナイザーを担ってくれる人たちが増えていき、オーガナイザーコミュニティが復活できたのではないかと思っています。
特に、vol.8,9では新たなリードオーガナイザーとして本田さんが担っていただけたのはとてもありがたかったです。

SW北九州オーガナイザーチームの現状

vol.10では私の本業でもある財団がリードスポンサーという事もあり、再び私がリードオーガナイザーを務めています。
19名いらっしゃるオーガナイザー内を渉外・広報・デザイン・プレイベント・SW交流会(過去回の関係者を招いたもの)・飲食という6チームに編成し、それぞれのチームリーダーにて各タスクをマネジメントしていただきながら全体の統括を私の方でやっている形で、実質的な動きとしてはチームリーダーに担っていただいています。
各オーガナイザーは、関わってみたい役割を挙げていただき、最低2チームには所属していただきながら、諸々の準備を進めています。
これは、vol.9では1チーム所属としていたところ、各メンバー間の交流も生まれにくく、せっかくボランティアで実施しているにもかかわらずオーガナイザーとしての達成感が得られにくい、ということもあっての苦肉の策でもあります。

SW北九州オーガナイザーMTGの様子。欠席者もいてこの人数。

また、前述の通り、私が勧誘したメンバーも多く、SWオーガナイザーコミュニティの理念であるチェーン型ではなく、アンチパターンとしての玉ねぎ型に陥りつつあるのも実情です。
玉ねぎ型とは、声の大きい人が中心となり、その人と親しさをベースにコミュニティ内のヒエラルキーが決まってしまうような形です。このようなコミュニティは一定の強靭性は持つものの、その人がいなくなるとコミュニティが瓦解してしまうのも特徴です。

私としては、これ以上私がこのSW北九州オーガナイザーコミュニティにいることで、逆にコミュニティの発展を妨げる因子になることを危惧しており、今回引退することを決めた次第です。
ファシリテーター所信表明でも書きましたが、私がオーガナイザーをやめたとしても、安心して託せるメンバーが多くいてくれる、と考えています。
言い方を変えると、大事に育ててきたコミュニティだからこそ、子離れすべきタイミングなのかなと。
今関わっていただいているオーガナイザーの皆さま、まずはvol.10を一緒に成功に導き、そして、そのあとはぜひ、皆さまの力で引き続き盛り上げていっていただければ幸いです。

SW北九州オーガナイザーではないこれから

SW北九州オーガナイザーを辞めるからといって、全く関りを断ちたい、というわけではありませんので、その辺りも補足させていただければと。

SW北九州との関わり方

懇親会の中でもお話ししましたが、コーチ・ジャッジ・スポンサーとなっていただける方を地域内で発掘しては、オーガナイザーに紹介していく、という役割は担い続けたいと考えています。
これは私が元々オーガナイザーを務める上での目的でもあった部分なので、この役割は捨てる気はありません。そういう意味では、オーガナイザーはやめても、サポーターではあり続けたいと考えています。
また、要望いただければコーチとしても関わらせていただければと。ただし、ファシリテーターとしては関わらないと決めています。(理由は所信表明内に書いていますのでご参照を)
そういう意味で、vol.10が終わっても連絡は行わせてくださいませ。

北九州を基点としたSWの展開を目指して

先日行われた全国のリード級オーガナイザー/ファシリテーターが集まる場でも再認識しましたが、SW北九州はコミュニティ形成の観点では特異点ともなっています。(もちろん、特異点は北九州だけではありませんが)
その様な状況において、今後私が取り組んでいきたいのは、SW北九州で経験を積んだオーガナイザーが自分にとって所縁のある場所でSWを立ち上げていく、あるいはSWを立ち上げたいと思いながらもオーガナイザー不足で立ち上げられないという他地域へのサポートをSW北九州オーガナイザーが担い、その立ち上げた地域からも北九州でのオーガナイザー経験を積む人が出てくる、というような循環を産むことが出来たら、と思っています。

前述の通り、北九州はオーガナイザーの数も多く、醍醐味を得られにくいという反面、支えていただけるスポンサーも多くいる状況です。残念ながら北九州内で得にくくなっている醍醐味を、他地域の立ち上げで得ていただきながら、北九州での活動に関わっていただけるような人たちが増えていくと、結果的に北九州においては自らの頭で考え行動いただけるような人たちも増えていき、ひいては「九州内のStartupWeekendを支えているのは北九州である」という誇りにもつながるのではと。(驕りにはならないよう気を付ける必要がありますが)
実際に、前者(オーガナイザー経験者が所縁の地で立ち上げる)としてはSW久留米が、後者としてはSW宮崎が実例となっています。

SW久留米のオーガナイザーキックオフより。上段中央の北村さんはSW北九州vol.8よりオーガナイザーを務めていただいています。この中で私はファシリテーターとして場を盛り上げていきます。

SW北九州自体の進化を目指して

SWは地域内のアントレプレナーコミュニティ形成が目的、とは言いつつ、実情としては3日間のイベントに終始しがち、という課題も内包していると感じています。
であるならば、コミュニティが形成されてきた北九州でならば、実験的に、3日間に留まらない、一定期間伴走するようなプログラムを、共助(=ボランティア)として提供できるのではないかと考えています。
イメージ的には、先述の対話会を、完全民間のボランティアベースで実施する形です。
ボランティアとはいえ、各種の費用がかかるのは間違いなく、少なくとも会場スポンサーや、物品等のスポンサー、そして関わっていただけるメンターの方なども必要となります。こういった企画を立てながら、次の一手を打っていきたいと考えていますので、このような取り組みをご一緒いただける方はぜひお声がけください。一緒に企画を練らせていただければと。

SW北九州を通じた深化を目指して

SW北九州の活動を通じて感じたのは、地域の企業内においても新規事業のアイディエーションは課題になっているということ。実際に今年、とある地域内企業様内にて新規事業立ち上げに向けたアイディエーション~MVPプロセスをご一緒させていただき、その中でSW北九州で過去にコーチいただいた方にも関わっていただきました。
その様に個別企業のファシリテートあるいはプロデュースすることで、地域内から新規事業が生まれやすい環境を作っていきたいと考えています。お陰様で地域の中で専門性をもって様々コーチジャッジいただける方とは繋がっているので、新規事業の立ち上げにおいてお困りの企業様がいらっしゃいましたらお声がけいただければと。(こちらはボランティア、というわけにはいかないので個人事業として対応させていただきます)

SWのノウハウを活用した転化を目指して

関わっていながらつくづく感じますが、SWは新規事業という軸ではノウハウの塊です。これは単に起業家予備群にだけ提供するのではなく、多くの方々に知っていただくことで、大きく言えば日本の底上げになると感じています。
特に、事業承継者(アトツギ)においても、例えばSW周南のリードは昨年度のアトツギ甲子園の出場者だったり、今年度は私自身、大分県が取り組むアトツギ向けプログラムGushでのバディを務めさせていただいているなど、このノウハウを提供することで第二創業に向けたきっかけ創りは出来るのではないかと考えています。ぜひそういった文脈でも、北九州内外で盛り上げていきたいと考えています。

最後に

これら、諸々上げてきましたが、基本的には全て冒頭にあげた「北九州の人たちが北九州のことを好きなのと同じ位、北九州に誇りを持てるようにしたい」という軸はぶれることなく活動を進めていきたいと考えています。
何より大事なのは、北九州の方々が、北九州を想いながら活動できるような場や機会を作っていくこと。そのための裏方としてやれることを様々な形で提供していきたいと考えております。
関わり方が変わったとしても、現オーガナイザー(だけでなくこれまで関わった方々も含めて)とは引き続きパートナーとして取り組ませていただきたいですので、何卒よろしくお願い申し上げます。
と書いていたらそろそろ6,000字に到達しそうなのでぼちぼち筆をおきます。

最後にもう一言だけ。私がSW北九州オーガナイザーとして関わるのは次回vol.10が最後です。ぜひその場でお会いできることを楽しみにしています!早割は9/26までですよ!(笑)


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