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#45 "北海道の名付け親" 松浦武四郎

江戸時代の終わり近く、旧伊勢街道沿の松坂三雲村の裕福な家に生まれた松浦武四郎は、日本国内、特に北海道を渡り歩き多くの書物を残しました。記念館の売店で購入した書籍『がいなもん  松浦武四郎 一代 』(河合和香 著、小学館)は読みやすい歴史小説で、武四郎さんの本当の凄さがわかり、三重の偉人だなぁーと思えてきます。

 以前、札幌の博物館を訪れた時、入り口付近の展示ケースを覗くと武四郎さんの直筆の文書(もんじょ)がありました。「北海道」と書いてあります。「オゥー」と唸っていたら、係の人が「どうしたんですか?」と不審者を見る目でたずねます。(確かに、書き付けをみて「オゥー」では、不審者。)「私三重から来て、松浦武四郎さんの文字があり感動してました。」と言うと、「ほー、三重からですか?ご苦労様です。」

 昨年、NHKのドラマ番組「永遠のニシパ」で、嵐の松本潤さんが松浦武四郎役を演じていました。武四郎さんの生誕200年記念事業の一環だったと思うのですが、撮影を予定していた北海道が台風被害が甚大で撮影が伸び、当初の放送予定から随分遅れました。

 ドラマ撮影の開始頃、松坂の松浦武四郎記念館と近くにある生家(せいか)を訪れました。案内をしてくれた女性の方に、「今、松潤が深キョンとドラマロケしてますよ。」と言ったら、”キャァー”とうれしい悲鳴をあげました。(あらまぁ。)「”鶴瓶の家族に乾杯”の TV番組観てると、朝ドラや大河の主役がゆかりの地に来てロケをするから、そろそろ松潤くるんじゃないですか?」と自分の予想を告げたら、”ギャァー、ァー、ゲホゲホ”と歓喜狂乱状態になりました。(オバさま、ファンでしたか、、。)生家を後にする時、瞳を見ると、嬉しさの”涙目”でした。

 あれから”鶴瓶の家族に乾杯”を見ていても、松浦武四郎記念館・生家は放送されませんでした。台風の影響で北海道での現地撮影のスケジュールが乱れ、番組宣伝のロケどころではなくなったのだと思います。あの受付の方の”涙目”が、待ちわびれて悲しくなった”涙目”に変わったことでしょう。どうもすいません。良かれと思って人に期待を持たせるのは、時に酷(こく)ですね。心からお詫びします。

(写真:『がいなもん 松浦武四郎 一代』 「がいなもん」は方言で”途方もない”という意味だそうです。この本読むと、単に”冒険家”と呼ぶには言葉が足りない気がします。)

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