見出し画像

#150 ”もし私が,あなたの靴の中にいたなら,,,”

「あり得ない仮定には,あり得ない動詞を.」私が高校生の頃,英語の先生が例文を示しながら,解説していました.”If I were in your shoes, ・・・” 「もし私が,あなたの靴の中にいたなら」(もし私が,あなたの靴を履く→もし私が,あなたの立場なら)という状態は実際にはあり得ないので,"am"の過去形"was"ではなく,"are"の過去形”were”にするという説明でした.教室でこの説明を聞いたとき,英語の説明に納得したようなしなかったようなモヤモヤしたのを覚えています.

突然の停電で知った”日常”

 ちょうど,この英語表現の授業のすぐあと,自宅でAMラジオ放送をたまたま聴いていて”衝撃”をうけました.ある旦那さんからの投書で,奥さんは視覚障害があり,普段は奥さんことを「わかったつもり」でいたそうです.ある夏の日の夕食時間,突然停電が起きました.旦那さんは,突然の”漆黒(しっこく)の世界”に驚いて箸が止まり食事ができなくなったのですが,”コツコツ”と目の前の奥さんの箸の音がいつものように響き続けました.その時始めて,奥さんがこの”何も見えない世界にいつもいる”ことを理解できたそうです.それまでわかっていたつもりでも,実際に自分がそこに身を置かないと,”本当に”はわからないものです.”If I were in your shoes, ・・・” ナルホド,こういう事かと思いました.

 他人の立場を理解するために,わざわざ停電と同じようにすべての電源を落とす必要はありません.但し,知ろうとする気持ち・想像力・相手に語りかける心配りがあれば,”少し”は互いに楽になると思います.

”優しさ”

 最近は夏場の停電も電力会社のみなさんの努力で,ほとんど経験しなくなり”突然の暗闇”が訪れることはほとんどなくなりましたが,ふとしたキッカケで,あのAMラジオの停電のはなし,時々思い返しています.

 「人」の横に「憂い(うれい)」があるのが「優しさ」の文字.「優秀」の「優(ゆう)」でもあります.誰かの立場に立って,共感して時には悲しみ(憂い),時には喜ぶのが”優しさ”かなと思います.そんな人が,本当に「優れている優しいひと」だと思います.

 ”If I were in your shoes, ・・・”