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#139 エンスト&パワステ

ハイブリッド自動車や電気自動車では、たぶん”坂道発進”をする時に突然、エンジンがストップする”エンスト”は起きないのだろうと想像します。バッテリー切れや、”ガス欠”はあるかもしれませんが、ガソリン自動車で運転免許を取り立ての頃、路上で初めて坂道でエンストした時の、あの焦りは、今となっては懐かしい思い出です。

 運転免許を取った学生時代には、実家のトランスミッション車を時々運転していたくらいでした。自分の車(本当の意味の”自家用車”)は、オートマチックの中古車でしたが、いつも快調に走行してくれてよく家族でドライブしたものです。坂道で渋滞時があっても、クラッチペダルを踏まなくても、”オートマ”のご利益で楽々な運転でした(その代わり、加速時のギアチェンジの楽しみは減りましたが、、、)。そんな車を乗り換えようと思ったのは、走行中の突然のエンストが起きたのがきっかけでした。

 その日はいつもの週末の夕方、実家に子供たちを連れて顔を出してからの自宅への帰り道、とても流れの良い国道に、県道からの合流するランプで加速しながら、「さあ、本線に合流するぞ」という時です。突然、アクセルを踏んでも車が加速せず、むしろ力がなくなり減速し始めます。ハンドルが突然、重くなります。(エッ、、、)焦ってパネルを見ると、電気系統の表示が全て消えています。(まさか、下り道の加速中に、エンスト?!!!)

 パワーステアリング(略してパワステ)は、いつの間にか軽自動車にも装備されている標準品になりました。パワーウインドウも、出始めのころは、カーエアコンと同じく”高級車”だけでした。(今のこの暑い気候では、エアコンがない車は、多分一部の車種に限られていると思いますが、昔の日本は我慢しようと思えば、まだなんとか凌げる夏だったとお思います。)パワステは、大型トラックの装備品で、一般車には贅沢品という印象がありました。自分が自家用車に乗り始めた頃は、パワステはもう標準品でした。

 パワステは、エンジンがかかっている時だけ補助ができるとは知りませんでした。エンストしたら、パワステなしの頃のハンドル(ステアリング)より、むしろ重くなってしまい”オモステ”に様変わりしていました。ビュンビュン走る幹線国道への陸橋高架からの下り合流ランプ途中でのエンスト、重いハンドルと格闘しながら、まずはハザードランプをすぐに点滅させ、ゆっくりブレーキを掛け、ちょうど目の前にあったレストランの駐車場に、なんとか無事停車できました。家族は皆、実家で従姉妹たち親族と遊び疲れて眠っています。運転手一人、後続車に衝突されないかヒヤヒヤしながら、汗握る数秒を過ごしました。

 エンストした車のボンネットを開け、エンジンオイルやラジエターの冷却水が漏れていないことをまず確認しました。エンジンオイルを見たのは、以前、免許取り立ての友人の中古車でドライブした頃、エンジンオイルがすっかり漏れてエンジンが停止したことがあったからです。バッテリーも、見た目は大丈夫そうなので、恐る恐る、もう一度エンジンをかけようとキーを回したら、セルモータが無事回りどうやら出発できそうでした。

 近くにディーラーの販売店があったので、そこに車を入れてみたもらったら、テスト用のコンピュータにコネクタで接続して診断してもらうと、電子制御の基盤を交換ということになりました。自動車が電子制御されていることは、知っていたつもりですが、自分の車の故障診断までしてくれるとはたまげました。(今から30年ほど前の話です。)

 その後自宅に無事帰ってから、また原因不明のエンストが起きました。走行中ではなく、駐車場に車を止めエンジンを切ると、再発進ができなくなりました。これは困ります。走行中の突然の停止も命の危険がありますが、もし登山にいって、誰も通らない山の中で車が立ち往生すると、困ります(その頃は、ワンゲル部顧問でよく山行に行っていました。)結局、部品交換しても症状が改善しない中古車にお別れをすることにして、新車を購入することにしました。

 色々なアシスト(支援)を受けている時には、その存在はなかなか気づきにくいものです。まさか走行中にエンストをすると、カーブでハンドルが急に重くなってしまうとは、夢にも思っていませんでした。新型コロナ感染症で”新しい生活様式”が言われ始めて、”今までの生活様式”の無駄にも気づきますが、同時に色々なアシスト(支援)を目に見えないところで受けていたことに気づきました。過去を振り返りつつ、新しいアシスト(支援)を互いに構築したいと思う今日この頃です。