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#43 うたう英語

”今は昔、私が高校一年生の頃、英語授業に「ラジカセ」と言う音楽を鳴らす道具を持って教室に来る先生ありけり。” 授業の最初に、"The Sound of Silence"など洋楽ヒット曲の歌詞を解説しながら、みんなで教室で歌っていました。受験勉強とは違う英語の愉しみを、新入生に伝えたかったのだと思います。

 一方、中学の英語の授業では、ひたすら本文を暗唱(あんしょう)していました。学年が進み、高校・大学となると”暗唱”することは減り、数学や物理の理論や証明で”暗礁”に乗り上げていました(笑)。英語の暗礁、いや暗唱は、とても効果的だと思います。考える前に、頭に”浮かぶ”ようになるためには、まずは何も見ずにでも話す(そらんじる)ことができないと無理でしょう。冬休みの宿題だった”百人一首”の暗唱も、上の句を読まれたら理屈抜きで下の句が浮かぶように反復練習(ドリル学習)しました。中学での英語も同様で、”基本例文集”をひたすら繰り返し覚えることで、頭に記憶が刻み込まれたのだと思います。

 ”本当”に英語が読めることが面白いなと思ったのは、英語の実力テストの問題で、古代マヤ文明の数字の読み方を解説した問題文でした。定期テストの問題文は、教科書のほぼ暗唱している文章ばかりで読んでいても面白くありません。実力テストは、初見の英文が問題文なので新鮮で、内容が日本語で読んでも面白いものだったのでテストを受けながら読んでいて楽しかったのを覚えています。(古代マヤ人、スゴーッ。)英語で文章読めると、もっとたくさんのオモシロいもの読めるヤァーン。とテスト問題を解きながら感じていました。

 大学の教養課程で選択した英語授業では、工学系学生に英語に興味を持たせようとやはり先生方が苦心されたのか、短編集を取り上げ半期で一冊読み終えていました。O.ヘンリー endingの小気味よさにシビレ、イギリスの建築家であり小説家のトーマス・ハーディの計算された物語の骨組みと面白みを感じ英語の授業が楽しかったです。

 簡単に「○○の役に立つための勉強」と言える勉強は、おそらく○○が達成されるとすぐに忘れてしまうと思います。しかし、何のためにしているのかわからないような勉強、例えば教室で声に出してみんなで洋楽ヒット曲を歌うなどは、忘れることはありません。”Hello darkness, old my friend ,  ”