思考のコンパス - 私用の心理学
はじめに 「痛みの戦友であるあなたへ」
数ある記事の中から、私の記事を選んでいただきありがとうございます。
さて突然ですが、この記事を読み始めようとしているあなたはいま、自分を変えたいと感じていますか?
もし変えたいと感じているのであれば、この記事はあなたにとって役に立つものになるかもしれません。
なぜなら私自身が悩み、苦しみ、そんな自分を変えたいと心から願っていたからです。そして私たちに共通して言えることは、目の前に何らかの壁が立ちはだかっているという点です。
最初はその壁を壊そうと戦っていたかもしれません、何度も何度もその壁を壊そうと戦ったかもしれません、でもその壁は壊れることなく、今も目の前に立ちはだかっている。
ときに回り道をすることも考えたでしょう。しかし、どこにも抜け道はなかった、そんなことを繰り返すうちに、あなたはいつからか自分を責めてしまっているのではありませんか?
ええ、私もそうでした。
壁がどうにもできないなら自分を変えるしかない‥‥いや、変えようとしなくても状況に応じてあなたは変わらざるおえないでしょう。もしかするとその変化についていけず、足を止めてしまっているかもしれません。
ですが安心してください。そこから抜け出す道を、私が一緒に探したいと思います。この記事が、あなたが自分らしく自らの人生を歩くための思考のコンパスとなることを願っています。
それではゆっくりと顔を上げて、共に思考の地図を歩いていきましょう。
第一部 「全ては知ることから始まる」
まずは目の前にある壁がいったい何なのか、それについて考えてみましょう。その壁はどこにありますか?
家庭、学校、職場、あるいはそれ以外の場所かもしれませんね。
ここで一つ言えることは、その壁とは全て、対人関係の悩みだということです。なぜならその悩みは、自分以外の誰かが存在して初めて成立する悩みだからです。
では、なぜ自分はこんなにも悩み苦しまなければならないのか。
結論から先に言わせてもらいます。今あなたが感じている悩みというのは、あなたの心が世界や他者に対して矛盾や疑念を感じ取ったことによって、世界に対する認識、あるいは自分に対する認識がズレてしまったことで生じているものです。
これを読む全ての仲間に向けて、少し長くなりますが私の過去を話したいと思います。
第二部 「私の過去」
私は物心ついたころから母と二人で生活していました。当然母がいなければ生きていくことすらままならない、私がこの環境で選んだ生き方は、母の機嫌を伺いながら自らの行動を変化させるというものでした。
当然私も人間なので処理しきれない感情が芽生えることも多々ありました。
そんな時は無言になり一人になったところで自分を叩いたり、他者に感じた怒りという感情を、壁を殴るという行為で発散し、そこで生じる痛みによって感情を抑制していました。
兄弟もおらず学校から帰って一人になることが多かったこともあり、誰かと競争したりライバル視したりなどの感情が芽生えることはほとんどなく、比較する相手は常に自分でした。
のちにこの生き方が私の命運を分けることになります。
張り合うことをしない、簡単に言うとマイペースであるということは、自分の好きなことしかやらなかったり、他者にあまり関心を持たなかったり、課題と向き合う勇気を持たない自分を作る、きっかけとなりました。
この生き方は高校を卒業して社会人になるまで続くこととなり、そこで始めて超えられぬ大きな壁と出会います。
自分が努力しないことで他者に迷惑がかかることの重圧、義務教育の過程ではあまり感じることのなかった感覚です。ですがそういった努力をしてこなかった私は、その勇気を持てませんでした。
自然と周囲は私を厄介者扱いし、軽蔑し、ときに罵る。最初は反抗していましたが、それも長くは続かずその中で私は孤立していきました。
仕事が終わると公園など人気のないところで一人自問自答をする。何度問いかけてもその答えが返ってくることはなく、返ってくるのは自分を責める言葉だけ。
自分に問いかけても答えは出ない、ここからの私は当時持っていたスマホでひたすらネット検索をするようになります。検索履歴は「変える」「変えたい」「自分 変えるには」「変われない なぜ」こんな言葉で埋め尽くされていました。そんなことを繰り返していたある日、私はとある言葉と出会います。
その言葉とは「心理学」、今の私を作るきっかけとなった言葉です。
ここまで過去を振り返ってきましたが、私はここでようやく思考のコンパスが入った心理学という名の箱を見つけたのです。
私が探し求め、そして見つけた心理学という名の箱から手に入れた思考のコンパスは、世界の認識と自分の認識を明らかにしてくれるものでした。
これを読んでいるあなたも、私のように探しているかもしれませんね。
人が自身の悩みと向き合うきっかけになるもの、私はそれを思考のコンパスが入った箱と呼んでいます。
私たちは常に、コンパスが入った箱を心のどこかで探している。
私が見つけた思考のコンパスが、あなたに合うかはわかりません。ですが私の思考のコンパスが、あなたの探す箱を見つけることの役に立てれば幸いです。
第三部 「思考のコンパスとその箱」
その箱がなんなのかは人によって異なりますが、悩みを抱えると人は自然とその答えを探そうと行動します。私のように悩みについてネットなどを使い検索をするかもしれませんし、中には本を読んでみたり、同じ悩みを抱える人について関心を持つようになるかもしれません。
ですがここで注意すべきなのは、その悩みについて原因の中に答えを探しているうちは、その箱を見つけることができないという点です。私は原因の中に答えを求め続けるあまり、多くの時間と仲間を失いました。
そうならないためにも、原因ではなく今の目的に目を向ける必要があります。できないの反対ができるであるように、原因の裏には必ず今の目的があります。
つまりその箱を見つけるには、あなたが普段探そうとしている原因についてではなく、その反対のある目的について関心を持ち知ろうとすることが重要なのです。
例えば過去の私のように、「目の前の課題に対して努力をすることができない」という悩みを抱えていたとするのなら、その原因としては「集中力がない」ことや「勉強をすることが嫌い」などが考えられるでしょう。
そして「私は集中力がないし勉強が嫌いだから課題に向き合うことができないのだ」と周囲の人に話したり、自然と自分に言い聞かせたりするかもしれません。そうしていくうちにいわゆる「暗示にかかった状態」に近い状態になります。
これが自分に対する認識のズレの正体であり、アドラー心理学でいう見かけの因果律へとつながります。見かけの因果律とは、「本来は何の因果関係もないところに、あたかも重大な因果関係があるように物事を説明し正当化しようとすること」それが見かけの因果律です。そこから抜け出すには、そう説明することの目的について理解する必要があります。
もう、お気付きかもしれませんね。
そう、私には課題に向き合わないという目的が先にあり、それを達成するために集中力のない自分や勉強が嫌いな自分を作り出していたのです。
当時の私がそれに気が付いていた訳ではありませんが、ただ漠然と変わらなければならないということには気が付いていたのだと思います。そして私は「変わりたい」とネットで検索をしました。この思考の変化こそが、次の変化を生むきっかけとなり、原因論の住人から卒業した瞬間でもありました。
そして私が見つけた心理学という名のついた箱、その中には無数の考え方や人を理解するための方法などが散らばっていました。
有名な心理学者であるフロイトやユングそしてアドラーが唱えた理論、そしてそこから派生したものを含めると数え切れないほどの量になる、当然どれを選べばよいかなど分かるはずもありません。
でもそれでいい、きっかけとはそんなものです。
知ろうとすることから始まり、実際に知識に触れ、そして学ぶこと‥。実際に始める必要はありません、まずは興味を持ち知ろうとすることが大切なのです。
そうして学んでいくうちに最後に自分の中に残ったもの、それが思考のコンパスなのです。
ではもう一度お聞きします。
「あなたの抱える悩みは何ですか?」
もし原因について探し求めているのなら、原因ではなくその目的について考えてみてください。そうすることであなたの自分に対する認識は確かなものになり、その過程の中で少しずつですが、またあなたは変化していくことでしょう。
変化とは一気に起こるものではありません、変わりたいと感じるとこからすでに変化は始まっている。一番大切なのは変化を恐れない勇気を持つことです。
ここで勘違いしてはならないことが一つあります、それは変化とは誰かの手によって起こされるものであってはならないということです。
もし誰かに起こされた変化だとするなら、それはあなたらしい人生とは言えず、きっと生きづらい人生を歩くことになるでしょう。
例えその誰かがきっかけであったとしてもそれ自体に意味はなく、その中から自分の意思で選び、どんな意味を付けるか が重要なのです。
更にいうなら、なにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか が重要なのです。
ここまでの内容で、あなたが思考のコンパスを使うために必要である、自分に対する認識のズレは解消することができるはずです。
ではここからはどうすれば思考のコンパスを使いこなせるかについて説明していきます。
第四部 「忘れられたもう一つの対人関係」
思考のコンパスを使いこなすために必要なのが自己との対話であり、自問自答やセルフトークなどと呼ばれているものがそれにあたります。なぜそれが必要なのか、それは今のあなたの心に関係しています。
過去の私を例にするなら、私は自分を追い詰めるあまり、自分以外の誰かに助けを求めることができず、たとえ誰かに声をかけられても悩みを打ち明けることすらできませんでした。
そこには打ち明けることで幻滅させてしまうことの恐怖や、話すことで自分の置かれている状況を受け入れなければいけないことへの苦しみがありました。そしてこれを読まれているあなたの心も、当時の私と同じことを感じているかもしれません。
この記事のサブタイトルにもなっている私用の心理学という言葉、それは普段あまり意識されることのない、もう一つの対人関係である自己との対話と方法について考察しようとするものです。
思考のコンパスを使いこなすにはまず自分を知り、自分と仲間になることから始める必要があります。自分と仲間になる感覚とは、自分は自分を助けてくれる存在だと認識している状態のことを指します。
それを認識するためにはまず、自分への問いかけの方法を変えてみるとよいでしょう。
※自問自答は続けているうちに頭痛を引き起こすこともあるので休みながらやることをおすすめします。
では実際に以下の内容を誰かと会話するような感覚で問いかけてみてください。
自問① 「自分はなにに悩んでいるの?」
自答① 「○○に悩んでいるんだよ。」(複数あるならもっとも解決したいもの)
自問② 「どうすれば解決できると思う?」
自答② 「○○があれば、○○がなければ、○○になれば、解決できると思うよ。」
もしここで自分が、自分以外の他者を変えることを望んだのであれば、もう一度自問②に戻り、こう問いかけてください。
自問②「その悩みを放置したとして、最終的に困るのは誰だと思う?」 と。
その自問に対し自分が困ると自答したのなら、「自分以外の他者を変えようとするのはすごく疲れることだから別の方法を考えてみよう」と提案してみてください。
もし自分は困らないと自答したのなら、それはあなたの悩むべき問題ではありません。その悩みを持ち続けることは他者の人生を生きることにつながるのと同時に、他者から大きな反発を受けることになります。
こういった具合で自問自答を繰り返します。紙に書きながら行うと効果は高くなり、整理もしやすくなります。スマホなどのメモ機能などを活用するのもよいでしょう。
そして自答②で自答した解決策につながるであろう言葉をまずはネットなどで検索してみてください、すべてはそこから始まります。
自分で自分に関心を持ち、自分のために行動すること。
そうしていくうちに自然と自分のことを仲間だと思えるようになることでしょう。その感覚を少しでも感じられるようになったなら、次はそこで手に入れた知識を指針に、今からできることを考えてみてください。
なんでも構いません、自分のためになると思えることを考え、少しずつ行動に起こしていけばよいのです。このときに重要なことは、自分は自分の人生に貢献できているという貢献感を持つことです。
それと自分のために行動できた自分に感謝することも忘れてはいけません。
そしてこの感覚は他者とも共有することができるものであり、「共同体感覚」としてあなたの心に永遠と残り続け、支えとなってくれることでしょう。
第五部 「最後に」
あなたは、あなた自身のかけがえのない仲間です。
そして私も、あなたの仲間です。
思考のコンパスがあれば、あなたは自分自身の手で
自らの人生を切り開くことができる。
踏み出したその一歩をとめることなく
あなたの人生をどこまでも歩き続けるのです。
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