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【パパ研究レビュー①】パパ特有の育児ストレスとは?

こんにちは!高橋あいです。

noteで、たくさんの男性が自身の子育てについて書いているのを読んでいるうち、パパの子育てについてもっと理解を深めたいなと思い、「父親」「育児(子育て)」などのキーワードで論文を探してみました。

興味深い知見について、【パパの子育て・研究レビュー】と題して、いくつかnoteに書いていこうと思います。

今日はパパとママの育児ストレスの違いや、パパ特有のストレスについて書きます。

現代のパパたち

女性の社会進出が進み、子どもを持つ家庭でも夫婦共働きすることが一般的になってきています。こうした社会構造の変化によって、父親にも多くの役割が求められるようになりました。

しかし、モデルとなる新しい父親像がない中で、パパたちは求められる役割を遂行することに困難を感じていることが指摘されています。

参考文献
山下・石田・加藤(2018)父親アイデンティティを規定する要因に関する探索的検討 十文字学園女子大学研究紀要,49,13-25

パパとママ、育児ストレスの違い

おそらく多くの方がお察しのことかと思いますが、複数の研究において、父親よりも母親の方が育児ストレスは高いことが明らかになっています。

ただし、育児ストレスには2種類あり、ある研究では、「子どもが気が散りやすい」「私につきまとって離れない」「不機嫌で泣きやすい」などの【子どもの特徴に関わるストレス】については、父親も母親も同程度に感じていることが示されています⑴。

子どもと関わる時間が長いママたちの方が子どものグズグズや困った行動に対して強くストレスを感じていると思いきや、パパも同程度だというのは少し意外でした。ただ、関わる時間が短いからこそ「どう対処したら良いかわからない」という戸惑いや困惑などのストレスを感じやすいのかもしれません。

一方で、「私は子どもの要求を満たすために、自分の生活をあきらめている」「以前よりも物事を楽しめない」「子どもが何か悪いことをすると、わたしの過ちだと感じてしまう」など親役割による規制や社会的孤立、抑鬱など【親自身に関わるストレス】において、母親の方が父親よりも強く感じているとされています⑴。

核家族化で身近に頼れる人がいないこと、「男は仕事・女は子育て」という役割意識が根強く残っていること、父親が育児に参加するための体制が十分整っていないなどの状況の中で、ママたちは孤立し、生活での制約を受け、育児の困難さを感じているのが現状です。

かたやパパは、子どもとの関わりに対して当然困難さは感じるものの、親になったことによる制約や孤立などは感じづらい、ということが、これらの知見からいえることです。

(確かにうちの夫も「子どもが産まれて制約と感じたことは一度もないよ」と言っていました!わたしは、めちゃめちゃ制約に感じることあります)

でももしかすると、この自粛生活で在宅ワークになったパパたちは、子どもがいることで自分の仕事がはかどらないなど、親役割による制約を強く感じるようになった方も増えたかもしれないな、と思いました。

参考文献
⑴立林・西村・吉岡(2012)保育園児をもつ父親と母親の育児ストレスと不安の比較 米子医学雑誌63(2).56-66
⑵奈良間・兼松・荒木・丸・中村・武田・自畑・工藤(1999)日本版ParentingStressIndex(PSI) の信頼性・妥当性の検討 小児保健研究58(5)610-618

パパ特有の育児ストレス

パパよりもママの方が育児ストレスが高いとされていますが、実は「パパ特有の育児ストレス」があることもわかっています。

それが「かわいがっているのにお母さんのほうが好きと言われる」「パパ嫌いといわれたとき」「子どもに無視されたとき」などに感じる【むなしさ】です⑶。これらは母親には見られない特異なもの、とされています。

たしかに、子どものことを想っているのにそんな風に言われてしまうと切ないですよね・・一緒にいる時間が短いパパたちは、ママよりもこうした言葉をかけられる機会が多いのかもしれません。

もちろん「パパっ子」のお子さんも多いでしょうし、「ママ嫌い」というお子さんもいると思います。ただ、ママの場合は子どもに対して罪悪感を感じている人も多く⑷、子どもに「ママ嫌い」や「パパの方が好き」と言われても、むなしさよりも「ま〜そうだよね」と思ってしまう部分があるのかな?と個人的には思います。

(わたしの場合、子どもがもし「パパの方が好き」とか言ったら、それを理由に夫にもっと子どもの世話を任せられるな〜それも悪くないなとか考えちゃいました)

引用文献
⑶清水(2006)父親の育児ストレスの実態に関する研究 小児保健研究65(1)26-34
⑷濱田(2004)仕事と家庭の多重役割が母親の意識に及ぼす影響  日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (3), 147-158

まとめ

◻︎今のパパたちはロールモデルがない中で多くの役割を担うよう求められている

◻︎子どもに関するストレスはパパとママ同程度に感じている一方、親役割による制約などはママの方がストレスが高い

◻︎パパに特徴的な育児ストレスとして「パパ嫌い」「ママの方が好き」と言われたことによるむなしさ、がある

読んでみて、いかがだったでしょうか?

※研究参加者の属性(住んでいる場所や年齢、子どもの数など)にはばらつきがあるため、これらの知見=日本のパパの様相を正確に表しているとまでは言えません。

わかるな〜と思う部分があったら、ぜひ「スキ」やコメント頂けたら嬉しいです!

今後は「パパの父親アイデンティティのキーとなるものは?」「パパの育児幸福感」などをテーマに、また論文のレビューしていきたいと思います。

それでは、今日はこの辺で!

ストレスは溜め過ぎず、どうにかこの日々を乗り切っていきましょう。

【ストレス危機をどう乗り越えるか?】
https://note.com/aitakahashi_3776/n/n9f9e33c58c9d

【家族のこと、こころの悩み、相談窓口まとめ】
https://note.com/aitakahashi_3776/n/n642a28d798d0

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