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わたしは大切な友人の前でスイッチを切る

自分の中に、「スイッチ」を持っていますか?

私の答えは、間違いなく「イエス」。
ONモード、OFFモードの私がいて、無意識にそのスイッチを押してしまう。

今まで、みんながそのスイッチを持って、社会生活をなんとかやり過ごしているのかと思ったら、どうやら違うらしい。

先日、「スイッチってなんですか?」とまっすぐな目で問われて、たじろいでしまった。

対人場面では基本的にONモードが発動し、仕事ではフル稼働。プライベートで心を許した人にだけ、スイッチが切れてOFFになってしまう。

すると途端に、遅刻をしたり、忘れ物をしたり、ケアレスミスが多発する。どうやら、仕事以外の常識もあまり持ち合わせてないらしい。

ONモードが長女だとすると、OFFモードは末っ子。だから、プライベートの友人はお兄ちゃん、お姉ちゃん気質の人が多い。

外に見せる自分はONの時が多いから、今日はOFFで過ごせる貴重な友人について書いてみたいと思う。

名刺を持たない、はじめまして

はじめましては、フィリピンのセブ島だった。

私は新卒で3年間勤めた会社を退職し、セブ島に短期留学中。その時に、同じくセブ島の語学学校でインターンをしていた彼女に出会った。

SNSで存在を知っていたものの、実際に話すのは初めて。活動的で、誰に対してもフレンドリーな印象だった。旅と語学が好きという共通点で、すぐに仲良くなった。

懐かしの面々との集合写真

しかし、お互い旅好きということもあり、次の再会は半年後。オーストラリアでだった。

メルボルンでワーホリ中だった私を旅行中の彼女が訪ねにきてくれた。私も国内旅行を兼ねて、ブリスベンを訪れたり、メルボルンを案内したりした。

ブリスベンの素敵な公園

日本から離れた場所だからこそ、抱えている”荷物”や”ものさし”を手放して、自由に会話をすることができた。自分の深い部分の話をすることが苦手だけれど、オープンな性格の彼女のおかげで私も自分の話を打ち明けることができた。

今振り返ると、海外を旅していた当時、お互い人生のモラトリアム真っ最中で、しっかりした名刺も肩書きも持っていなかった。だからこそ、5歳の年齢差も感じずに、私たちはそのまま友だちになれたのかなと思う。

長崎で語り合った人生の”B面”

お互い長期での海外生活期間を終え、日本に帰国。そこからよく会うメンバーでグループが結成され(中学生みたいですね)、複数人で会うことも多くなった。

コロナ禍も一定の落ち着きを見せたタイミングで、ふたりで長崎に行こうという話になった。

中心地から少し離れた海が目の前に広がる宿を予約。到着して部屋に入ると、ウェルカムワインが用意されていた。

この後、2本開けました🍾

ホテルの1階にもダイニングがあり、美味しいごはんでお腹を満たしたら、そのまま部屋に戻ってベッドにダイブ!

お酒で気分が解け、お互いの人生の"B面"を語り合った。SNSには書けない、マジョリティの共感は得にくいような個人的な意見やエピソードを包み隠さずに。

悲しかったこと、大変だったこと、憤りを覚えていること...。旅の非日常の空気に押されて、普段は口に出さないことまで一切合切ぶちまけた。

「当たり前だとされているけど、私もそれいやだったな」「この気持ちを持ってるのは自分だけじゃないんだ」そんな気づきがたくさんあった。

後ろ向きだったり、集団に混ざれなかったりする自分も、認めることができた時間だった。

セーブポイントとしての手紙

この記憶が薄れないように深夜に書きあった手紙も、すっかり夜更かした翌日に見たキラキラした海も大切な思い出だ。

今年この宿が閉じてしまったと知って、とても悲しい

ゆるやかに糸が交わる四国旅

そして時は流れて、2024年。友人と再び国内旅行をしようという話になり、四国に行ってきた。

旅の道中、社会人1年目の頃から仲の良い共通の友人も合流することになり、事前にオンラインでミーティングを組み、ワクワクしながら旅程を決めた。

現地に着いてからは、仕事と観光のメリハリをつけて、やりたいことをどんどん叶えていった。

夕焼けが水面に反射して美しい父母ヶ浜

出会った当初、お互い駆け出しフリーランスに近い状態だったが、そこから5年の月日を経て、すっかりリモートワークが板についた。

もうひとりの友人も、ライター・編プロの代表から、自分の出版社を立ち上げ、複数の本を出版するようになった。

その間に、私たちの交友関係もさまざま変化し、毎日のように会っていたのに、SNSで眺めるだけの関係になったり、今はもう連絡もつかない人もいる。

学校のような強制力のない大人の交友関係は、自由な反面、気づいたらその糸がすっかり切れていることもある。

だが同時に、こうして続いてる関係もある。決してマメではない私たちが、この系は解けないようにとお互いに思いやり、交差する場所を探り続けているのはなんだかとても尊い行為に思える。

この旅行中も、毎晩眠くなるまで話して、変わったことと、変わらないことを確かめ合った。

💿 💿 💿

彼女といると、スイッチをOFFにして、柔らかい私で過ごすことができる。できないことも、傷ついている部分もすべてをさらけ出して良いのだと思える。

わたしの"B面"はここで再生されているのだ。

どんなわたしでも受け入れてくれる友人がいるから、たっぷり深呼吸をして、A面でもがんばれる。

いつかその両面を裏返したりしなくてもいいようになったらいいなと思いつつ、こうやってnoteを書くことも、その試みのひとつなのである。

読んでいただき、ありがとうございます!サポートは、お疲れさまのビールとして美味しくいただきます🍻