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『日本人の自覚するより深い傷』 第11話【中国の独裁社会主義と一帯一路侵略】

【中国の独裁社会主義と一帯一路侵略】
 
市民革命によって、市民は基本的人権などの政治的な自由と平等を獲得しましたが、資本主義の進展により少数の資本家と大多数の労働者の間に経済的格差が広がり、労働者の生活は困窮し、社会不安が拡大したため、貧富の差がない社会の実現を目標とする社会主義思想が生まれました。
『社会主義』とは、個人主義・自由主義・資本主義・市場経済の弊害に反対し、資本は国のもので、国がそれらを管理して計画的に利益分配をする体制を作り、平等で公正な社会を目指す思想・社会体制です。
 
『共産主義』とは、財産の私有を否定し、生産手段・生産物などすべての財産を共有することによって貧富の差や搾取、階級のない社会を実現しようとする思想・運動です。
「共産主義」と「社会主義」は、ほぼ同義からの派生であり、共産主義革命後は過渡期の「社会主義」社会を経て、理想的な「共産主義」社会に到達すると主張されることもあります。
 
真の社会主義国家では、労働者の能力や労働時間に関わらず対価が一律のため、「効率的に仕事をしよう」という意欲がなくなり、生産率の低下が起こり、農業などの場合、自然災害対策や品質改良も行われないため、食料飢饉などが発生します。
職業選択の自由や生産量、備蓄量の自由度がなく、政府の計画に依存するため、国内生産量が少ないと飢餓や物不足が生じます。
 
社会主義、共産主義では大衆、国民を政党、国家が先導する形をとるので、国家の中で権力を得た人間による独裁政治になりやすく、資本主義社会から社会主義社会・共産主義社会に移行するためには、「共産党による一党独裁が必要不可欠」と共産主義者は考えており、逆に言えば、独裁者であれば、いとも簡単に権力と富を独占できる体制を築けてしまいます。
 
大企業は国営化され、政府を批判する事ができず、国営テレビ、国営報道機関も真っ先に政権に掌握され、報道の制限や国民への洗脳、言論や権利に制限が起こります。
言論の自由がなく、報道制限が強ければ、強いほど、賢い国民が育たない社会を形成し、国の政策の途中修正や危機回避に対応ができず、ただ服従するか暴動を起こすだけになり、技術や政策、経済の発展を妨げていきます。
 
中国は社会主義国で、資本主義経済を行う国であり、政治面を中国共産党の一党独裁で維持し、経済面は中国政府が定めている規制の中で市場経済を実行しています。
しかし、権力と経済を別離することは不可能な理論であるため、社会主義とは表向きの隠れ蓑であり、共産主義は大衆への建前となり、独裁国家への道を辿ることになりました。
 
そのため、社会主義国にも拘らず、経済格差が生じ、政府の号令で集団行動を行うため、その格差は資本主義の格差よりも大きくなり、指導者の判断ミスで国家全体の急速な衰退につながります。
近年では不動産建設が中断されたゴーストタウン、EV車の大量廃棄など、過去最大の対GDP債務比率279.7%を記録し、建設バブル崩壊、世界の工場機能の崩壊、外国企業の撤退、関係諸国の依存度転換などの兆候が顕著になっています。
 
日本にいる中国人によれば、日本のほうが「社会主義国」だそうで、世界から見た日本は「理想の社会主義国家」「世界最大の社会主義国家」などと呼ばれています。
日本では教育機会の平等がおおむね保障されており、国民皆保険制度により医療費負担が少ないため、病気になれば貧しくても医者にかかることができ、失業保険、生活保護、年金等の制度が整い、地方交付税制度による都市部と地方の格差是正など、民主主義国家の資本主義経済にも関わらず、平等思想が限りなく強い国です。
日本のメディアは格差拡大の現状を憂い、政府の施策を厳しく批判しますが、それは言論の自由があり、報道環境が健全であることの証しだと言うのです。
 
「失われた30年」。日本は、経済成長をしないのが当たり前になりつつあります。
これは、国民皆横並び主義、格差是正を行い、平等と均衡を求めすぎた結果、給与が上がらず、物価が上がる中で、社会保障負担や税金負担も改定されず、個人のポテンシャルが発揮されていない社会になっているからなのかもしれません。つまり、行き過ぎた社会主義は、国民の税負担を大きくしてしまいました。
世界の現状を見れば、まさに今の日本は「世界で一番安全で清潔で長寿の社会主義国家」と呼ばれるにふさわしい様相を呈しています。
 
最近の中国では、台風災害時の遊水地化問題など、国民に人権を与えず、人命と土地と作物と財産を水に流し、国家の重要都市を守るということまで行われました。
なぜそのような決断ができるのか。倫理的に問題のある政治を行う党首は何を思い、なぜそれが起こりえる構造になるのかを考える必要があると思います。
 
まず、役人はお金が目的と言われることが多いです。しかし、それは目の前の欲を満たすだけで、金銭的な安定が得られると、それより強くなるのが名誉欲です。
人間は、人を欲し、承認される欲求を持っています。
 
長い歴史を持つ中国党首のプレッシャーたるや計り知れないことでしょう。その膨大な人口と広大な土地を統治し、まだ情報拡散が制限されていた時代に過大評価された過去の指導者が残した奇跡のような功績の幻影を追わなければならないからです。
歴史上の虚構を目指し、張りぼてであっても地位に見合った功績を残さなければならないというプライドと焦りが非人道的な政策へと導くのではないでしょうか。
「悪名は無名に勝る」という存在承認欲求のために、歴史に名を残す。これまでも多くの国でそのような指導者がいました。
 
プロパガンダ、報道規制、虚偽情報で国内外から悪評だけを隠す中国ですが、その政治的な意図は、社会主義国でありながら、とても私欲的なのかも知れません。
甚大な自然災害が起こっても海外に援助を求めず、内々に処理し、なかったように葬り去る。
国民を助けてもらうより、自己の地位を守りたいのです。
中国には独自の思想と厳格なルールがあり、自然災害であっても、人災であっても、規模と死者数によって、責任者への責任追及や辞任、失踪させる規則があるため、事実を報道すると、中央政権の求心力が弱くなり、国民に混乱を招き、暴動が起きやすいのです。
 
自国の常識が他国で当てはまると思ってはいけません。
中国政府は、ダムの水を放流され、遊水地の対象となった土地の生き延びた農民に「おめでとうございます。あなたたちは首都北京と雄安新区を守った英雄として誇りを持ってください。」と言ったそうです。
しかし、自分の親を失い、農地や家の惨劇を目の当たりにし、虫のように扱われた国民が一切無言でいることは難しく、中央政府の計画的人災であることがすぐにばれて、暴動がおこりました。
そして、軍による救援活動の偽装や密告命令が実施され、家族であっても党を批判する者、撮影をする者、外国に災害地を配信する者がいた場合は、密告、自首させたのです。
 
その膨大な土地と国民は党首や中央政府にとって、脅威でもあるのです。
 
中国においては、強い言論規制があるため、韓国より国民の声は聞こえにくい傾向がありましたが、歴史教育において、日本との対立や過去の歴史的出来事に対して共産党政権の主張や中国の思想に合わせて歪曲させ、反日感情を助長する教育を行い、日本に対する意図的な印象操作が行われてきました。
また、コロナウィルスの発生源、死者数、GDP、失業率などのデータを偽装したり、フェイクニュースを作るなど、情報の意図的操作により、中国政府の印象を国内外に対して誇大に表現することや、特定の政治的メッセージの洗脳などが常態化しています。
 
中国のメディア規制は厳しさを増しており、すべての報道機関は中国共産党の指導の下で運営され、個人の発信についても、制約が強く、海外で活動する発信者も、帰国すれば拘束され、日本でも身柄を追われて、暴力や買収の対象として危険な生活を強いられている中国人がいます。
その反対に、中国国民がその不満感情を他国に向けているときは、中国政府による情報修正や言論統制、行動規制は行われません。
 
こうした中国政府の動きは国際的に信頼を損ない、外交関係にも支障をきたしており、アジアンヘイトなど国民、中国系や東アジア人の印象を悪くし、差別思想の引き金や経済の発展を妨げる原因になっています。
 
日本とは、東シナ海の「日中中間線」付近でのガス田開発や5つの島と3つの岩礁からなる沖縄県・尖閣諸島を突然中国が領有権を主張し始めるなどの衝突があります。
 
南シナ海の南沙諸島は、日本が戦後に領有権を放棄しましたが、中国は南シナ海の領海を一方的に主張し、フィリピン、ベトナム、マレーシアの主張する領海と管轄権を争っています。
中国は南沙諸島の7カ所の岩礁を埋め立てて人工島をつくり、滑走路やビルなどを建設して軍事拠点化を進め、人工島を「領土」と主張し、フィリピン領海への侵入や周辺各国の自由な航行の妨げとなっており、南シナ海はインド洋から太平洋に抜ける重要な貿易の通路であるため、アジア全域の安全保障バランスに重大な影響を招いています。
 
領土問題ではインド、パキスタン、ブータンが領土侵入され、紛争の火種となっており、「一帯一路構想」と称して、航路と陸路で世界に侵略する構想を企てました。
中国国内で余剰生産した鉄を消費し、格安で鉄道や港などのインフラを整え、アジア、ヨーロッパ、アフリカをつなぐことで発展途上国のインフラ整備と経済発展を促すと甘い言葉で参加国を募り、借金を負わせる借金漬け外交を開始しました。
 
エチオピアは、ジブチ・エチオピア鉄道、環状道路や高速道路といった全土の道路の7割、風力・水力発電所、工業団地、携帯電話工場、通信網の整備などのインフラ投資を中国から受けて、経済成長率では世界1位も記録し、シルクロード経済圏構想「一帯一路」の「モデル国家」として、中国共産党から称賛されていますが、対外債務額は約87兆円に及び、ほとんどが中国からの借金で、中国国民、中国企業が押し寄せ、主導権を握り、中国化が急加速で進んでいます。
エチオピアの文化、自国企業、自国産業、就業先、言語などが中国に奪われ、自国力が衰退しているのです。
 
企業や個人が身分を偽って外国の土地を買い漁り、改めて調べてみたら中国資本、中国籍だったなど、問題も多数発生しています。

ギリシャ、ジプチ、スリランカ、オーストラリア、ベルギーは港湾運営権を譲渡し、アラブ首長国連邦、パキスタンでは港湾利用権を中国からの借金の担保に取られました。
他にもアンゴラ、ケニア、トルクメニスタン、ベネズエラ、モルディブ、バヌアツ、タジキスタン、ラオス、ハンガリー、インドネシアなど、返済能力を超える中国の融資で借金漬けとなり、最後には国家の権益を譲り渡して返済に充てるなど、中国の侵略行為は中国の軍事活動を活発化させ、世界の大きな懸念事項となっています。
 
マレーシアは、強権的で腐敗していたとされるナジブ・ラザク政権中に、中国との関係を強めてインフラ投資を進めました。
2018年5月にマハティール・ビン・モハマドが首相に返り咲いた時点で約27兆2千億円の巨額債務があったものの、中国主導で進められてきた公共事業等の見直しが始められ、2019年には、総工費約2兆1500億円に達する東海岸鉄道計画を正式に中止させ、中国は財政再建を行うマレーシアと約5800億円まで建設費用を削減することで合意しました。
外国人には「フォレストシティー」に住むためのビザは発給しないなどの中国人100万人移住計画に対策を打ち、無事に中国からの借金漬け外交と侵略から逃れたと思われましたが、現首相アンワル氏に政権が変わると、就任会見で「最大貿易国の中国との関係を強化したい」と強調し、中国は再びマレーシアに推計5兆7千億円を投資するとの見通しを示しました。
投資対象には石油化学業界と自動車業界が含まれ、マレーシア中央銀行は、マレーシアと中国がリンギットと人民元を使って貿易できるようにする取り組みを進めているそうです。
 
中国の一帯一路政策は何が問題なのでしょう。
一帯一路政策は、現在資金難の国に中国が融資し、親交国のインフラを整備し、工事は中国企業、中国国民が請け負い、対輸入額を増やすことを約束します。
交通インフラが整備されれば、人、モノ、資金の流通が盛んになり、相互に貿易経済が発展し、広域経済圏でつながる国々が相互繁栄するであろうという構想でした。
目に見える支援で他国の経済発展を進めることで、国民単位で中国への恩恵を感じさせようとしていたわけですが、実際は中国の技術力の低さによる人身事故、計画の杜撰さによる地域経済の衰退と環境破壊を招き、さらに予算超過、期間超過、採算の取れない収支計画、低賃金過酷労働によって現地民の我慢が限界に達し、地域での暴動に発展しています。
 
インフラ整備に必要な資金の融資をするためにAIIB、アジアインフラ投資銀行を設立し、債務を負担させるのですが、金額、利息を隠蔽し、予算の倍となっても、超過分を負担させるなど、当初の工事見積、収益試算など、あってないようなもので、国民が気付いた時には国が破産状態に陥り、採算の合わないインフラや土地や港を債務の担保に奪われてしまい、国土と国民が侵略の危機に瀕する状態になっていることです。
 
もう一つは安全保障問題です。一帯一路に参加する国に人民解放軍や武装警察を駐留させ、中国が守ると言います。つまり、中国は多数の他国に軍を置くことで、現地民の権利や自由を奪い、戦地にする準備を進めている状態です。
 
「一帯一路構想」なる計画は、明確な侵略行為であるにも関わらず、なぜ協調する国があるのでしょうか。
国民に恩恵はありませんが、中国政府が説得しなければならないのは、相手国のトップ数名です。
個人への利益供与、不正行為、賄賂の約束をし、相手国のトップを口車に乗せるのは最短最安の方法です。
また原発をちらつかせて牽制する、反米感情を逆手にとる、国民に納得させるだけの輸入額を保証するなどの手も使われたかもしれません。

アメリカ政府においても、似たり寄ったりの方法で外交を行い、どちらの何が悪いと互いに批判し合っているわけですが、中国においては不透明性の強さと国民の監視が及ばない独裁社会主義政治を行っていることが更なる問題です。
一国の国家元首の思い付きで数値も情報も犯罪も操作され、どの情報もでたらめの国家がこれを行っていることは、国民にとっても、世界の関係諸国にとっても、恐怖でしかないはずですが、まさかここまで倫理観がなく、意思疎通ができないとは、誰も気づいていなかったのです。
 
インドネシアは中国の手法にはまり、後にも引けない状態になってしまいました。残念ながら、日本も救済に介入できない状態になっており、暴動による死者も出ています。アフリカ同様に中国化は免れないでしょう。
そして、中国の侵略は現在アラブを目指しています。
資源を貪られ、侵略が進み、自然破壊を起こし続ける中国の姿が見えている日本人としては虚しく感じてしまいます。

中国とどのような関係を持つか、どの程度依存するべきか、日本を含めて世界の各国政府や企業は、今すぐ対中関係を見直さなけば、中国に浸食されてしまうことでしょう。
 
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