深夜に頭のおかしいおっさんが家の前でくしゃみしてた話
体感で、深夜2時。おっさんのでかいくしゃみで目が覚めた。
おかしいな。私は一人暮らしのはずだった。他人の立てる音で目が覚めるはずがない。
そう思ってうとうとしていると、またでかいくしゃみで、意識をハッと呼び起こされる。それにしてもでかいくしゃみだ。深夜なのに遠慮というものが全くない。
私は生乾きの臭いよりも、夜中に耳元で鳴る蚊の羽音が嫌いだった。要するに、眠りを妨げてくるものを激しく憎んでいるのだった。
布団を被って、くしゃみが極力聞こえないよう努力する。それでも、私の意識が消える直前におっさんはでかいくしゃみをする。私はちょっと神経質で、耳栓をしていつも寝ている。つまり、耳栓と布団の二段装甲を貫通してくるくしゃみだったのだ。
てかどんだけくしゃみすんねん。
埼玉出身の私が思わず関西弁で突っ込んでしまうほど、おっさんは連続でくしゃみをした。かれこれ、20連続くらい?風邪こじらせすぎじゃない?今日は秋口だけどそんな寒いってほどでもないし、てか雨も降ってないし、なんでそんなくしゃみすんねん。てか聞こえる音量からして、うちの部屋のすぐ近くだし、2階までわざわざ上がってきた理由って何?新手の嫌がらせなん?
最悪だ。もう寝れないわこれは。
誰か代わりにおっさんに説教してもらえないだろうか。私はもう布団から出たくないし、頭おかしいおっさんに逆ギレされたくないし。起こされるの怖くてねれなくなっちゃったじゃん。色々考えすぎてねれなくなっちゃったじゃん。はぁ、まじこの時間にでかいくしゃみなんかすんなよどこのキチガイだよ。
私は治安の悪さで有名な西成の近くに住んでいる。この辺りの住人は頭のネジが何個かゆるんでいる人が多かった。暑い日はふつうに上裸で出歩くし、チンコ丸出しでポリポリかいたりする。だから、家の前ででかいくしゃみをするおっさんがいてもなんら不思議なことではないのだ。
このままおっさんのくしゃみで永遠に寝れないのは嫌だな。もう覚悟を決めるしかないな。
私は重い腰を上げ、説教しにいくことにした。
そろそろと部屋のドアまで近づいた。そして勇気を出し、ガチャリとドアノブを捻った。
おっさんはドアを開けたすぐそこにいた。上裸だった。壁により掛かり、腹が出ていて、体は汚かった。私は過去、コインランドリーにいたおっさんを盗撮したのだが、その時の写真をご参照されたい。だいたいおんなじようなおっさんがそこにはいた。
私はドアをほんのちょっと開けた隙間から「くしゃみうるさいんですけど」と言った。
すると裸のおっさんは「あうお」とうめき声をあげ、すばやく階段を降りていった。私はその後、すぐに寝た。
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