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好きすぎると、語る言葉が出てこない。だから、

凛として時雨というバンドが好きだ。
聴かない日はないというくらい好きだ。

凛として時雨を知ったのは高校一年の時、mixiのプロフィールで全然知らない軽音部の人が、好きなアーティスト欄に「凛として時雨」と書いていたのがきっかけだ。

すげえ癖の強い名前のバンドだな。

第一印象はそれで、しばらく何も調べずに放置していたのだが、ふとした瞬間また気になって、YouTubeで聴いてみた。

すると、バンド名以上に癖の強いバンドだった。

TKのハイトーンボイスは、最初聴いた時は女性かと思ったほどだ。貫くようなギターサウンド、女性ボーカルである345との掛け合い。そしてシャウトを繰り返す『Disco Flight』。

それまでミスチルとスピッツのヘビーリスナーだった私には、初体験の音楽だった。

「な、なんだこれ」

一回目聴いた時はあまりの衝撃で、ちょっと嫌悪感すら抱いていた。

しかしその嫌悪感は、しばらくすると、もう一度聴きたいという、好奇心に変わった。

別の曲も聴いてみて、好奇心は「好き」へと変わった。

そして今現在、「好き」は、恋愛でいうところの「愛」へと到達しつつある。


好きすぎると、その理由を言葉で説明するのが難しくなる。

というか、言語化することによって、魅力が陳腐化してしまうような気がしてしまうのだ。

恋人と長く続くための秘訣として、

「なぜ自分のことが好きなのか聞かない」というのがある。

言語化してしまうと、その条件を満たさなくなったとたん「なんであの人のこと好きになったんだろう?」と正気に戻ってしまうのだ。

例えば「あなたのスタイルの良さが好き」と言われたときに、自分がそのスタイルを維持できなければ好きでいてもらえないという、明確な「好き」の定義づけをしてしまうのである。


だから私も凛として時雨を好きな理由をあえて言葉にすることはしない。

いつまでも好きすぎる感情を大切にしたいからだ。


語る代わりに、1つおすすめの曲を紹介したい。

『傍観』だ。​

冒頭の静かで不穏な雰囲気から、TKのささやき声をきっかけに、曲は激しさを増す。

最後のコード進行はめちゃめちゃで、「死にたい」「消えたい」を連呼する姿は、狂気そのものだ。

これこそまさに、音楽における芸術。

ライブで目にすることができたら、みなさんも私と同じようにしばらくの間立ち尽くしてしまうに違いない。

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